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2023-11-28

上野樹里さんの作品への想い、林遣都さん「#ヒゲノハヤシ」エピソードも!映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』熊澤尚人監督にインタビュー


 

12月1日より全国公開となる映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』は上野樹里さんが主演する人間の姿をした“惑星難民X”をめぐる異色のミステリーロマンス作品で、林遣都さんと初共演しています。原作は第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子さんの小説『隣人X』で、名古屋出身の熊澤尚人さんが脚本・監督をつとめています。上野さんとは17年ぶり、林さんとも15年ぶりにタッグを組んだ熊澤監督が名古屋でインタビューに応じました。

原作小説の印象や映画化に際して変えた部分、上野さんと林さんに出演を依頼した理由や10数年前からの変化と変わらない部分、無精ヒゲ姿の林さんについてのエピソードを聞きました。(取材日:2023年11月16日)

コロナ禍を経験して「今、映画にするべきだと思いました」

映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』は第14回小説現代長編新人賞を受賞したパリュスあや子さんの小説『隣人X』が原作で、人間の姿をそっくりコピーして日常に紛れ込んだ惑星難民Xを見つけ出そうと誰もが躍起になっている日本社会が舞台で、X疑惑のかかった女性・良子を上野樹里さんが、スクープのために正体を隠しながら良子に近づいた週刊誌記者の笹を林遣都さんが演じています。

熊澤監督は「原作小説は、45歳の女性、26歳の女性、19歳の女性、3人の群像劇なんですが、映画は36歳の女性が主人公の話になっています」と登場人物に関して変更した部分をあげました。コロナ禍の最中に原作小説を読んだという熊澤監督は「無意識の偏見、色眼鏡で人を見ることをテーマに描かれている小説でした」と小説の印象を話し「コロナ禍を経験して他人との距離感に対する意識がすごく変わったと感じていて、これは今、映画にするべきだと思いました」と映画化を決めた理由を明かしました。また「惑星難民Xが日本に来てしまったという特別な設定の話だと思うかもしれませんが、コロナの時も未知の病気に対応していくしかなくなってしまったので、思いもよらないことが起きた時に皆さんどうしますか?どう考えますか?というのもこの作品の面白いポイントだと思います」と答えました。

さらに「30代中盤の女性って色眼鏡で見られたり、周りから偏見の目で見られる経験がたくさんあると思うんです。仕事、出産、子供、様々な問題に直面して、本当は自分で考えて決めたいのに親や周りから色々と言われて、気持ちが揺らいでしまう、良子を主人公にすることでドラマとして響いてくるのではないかと考えました」と上野さん演じる良子を中心に物語を作っていった理由を教えてくれました。

脚本作業は2年ほどかかったそうで「僕の中では見えない偏見をテーマにすることは決めていたのですが、入り口がSFで色々な要素のある作品なので、ラブストーリーを増やすのか、もっとSFチックにするのか、比重やバランスをどうするのか試行錯誤して、一番いいものを見つけ出す作業に時間がかかりました」と脚本完成までの苦労を明かしました。

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良子役の上野樹里さんは「素晴らしい女優さん」映画『虹の女神 Rainbow Song』撮影での記憶も振り返る

映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』のキャスティングについて聞くと、熊澤監督は主人公の良子役の上野樹里さんについて「脚本を書いている時点で上野さんだと思っていました」と話しました。その理由として「30代中盤の女性で、周りの価値観に動揺したり揺れることが全くなく、自分の心で感じたことを一番大切にするキャラクター」は上野さん自身と重なる部分があるので説得力もあるし、良子は惑星難民Xかもしれないと疑われるキャラクターであることから、上野さんの韓国映画『ビューティー・インサイド』への出演をあげ「ミステリアスな部分もあって、ハマるなと思っていました」と話しました。

また、熊澤監督がメガホンをとった上野さんが20歳の頃の主演作『虹の女神 Rainbow Song』の撮影で記憶に残っている出来事として「あるシーンのセリフで気になったことがあったようで、『自分が足りないのは申し訳ないけど』と言いながら、映画が悪くなるのは良くないと監督の僕に話してきて、撮影を止めて2時間ほど話したんです」と振り返りました。当時の上野さんの行動について「撮影現場を止めちゃいけない雰囲気があって周りに気を使って悪いまま進んでしまうこともある中で、素晴らしい女優さんだなと思いました」と言い、今作の主演をお願いすることに繋がったことを明かしました。

今作でも上野さんは熊澤監督と脚本について話し合いをたくさんしたそうで「周りのプロデューサーはビックリしていましたが、僕は上野さんとの話が止まらないだろうと思っていました」と上野さんの変わらない部分を話し「柔らかい大人の女性になっていると感じ、良子という女性についても、上野さんの柔和な感じを活かして柔らかい雰囲気を出していくことになりました」とキャラクターを作り上げていったことを教えてくれました。

「#ヒゲノハヤシ」の先駆者は熊澤尚人監督!「『VIVANT』が先になっちゃいました」

週刊誌の記者・笹役の林遣都さんについて「人間のダメな部分や弱い部分を徹底的に描きたいと思っていたので、カッコ悪い役をいい演技でできる俳優を考えた時に林遣都だったらできるなと思いました」と林さんに笹を演じてもらいたいと考えた理由を答えました。林さんが15歳の時に映画『ダイブ!!』で初めて仕事をした後も、ずっと林さんが出演の作品を観てきたという熊澤監督は「業界内で林遣都がいかに演技に真面目に取り組む人なのかというのは噂になっています」と話し「昔から誠実で真面目なんです。演技に対しても誠実に考える人です」と評しました。2021年に公開された篠原哲雄監督で林さんが主演した映画『犬部!』の初号試写を観に行った際に、熊澤監督は久しぶりに林さんに再会したそうで「少し話した時に笹を林遣都でやればいい感じになるなと感じました」と裏話を披露してくれました。

今までのイメージにない無精ヒゲ姿の林さんが話題になっていることについて聞くと「週刊誌の記者で家に帰っていなくて無精ヒゲで男らしい感じにしたくて」と熊澤監督が林さんに提案したところ、林さんは実際にヒゲを生やして撮影に臨んでくれたそうです。林さんは2023年7月~放送のTBSドラマ『VIVANT』で見せた長髪&無精ヒゲ姿も話題になっていましたが、映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』は昨年の10月頃に撮影していて「林遣都がヒゲを生やしたらいいんじゃないかと目を付けたのは僕の方が早かったのに、世の中に出るのは『VIVANT』が先になっちゃいました」とSNS上で話題になっている「#ヒゲノハヤシ」の先駆者である熊澤監督は照れたように笑いました。

作品概要

映画『隣人X ‐疑惑の彼女‐』

12月1日(金)ミッドランドスクエア シネマ他全国公開

出演:上野樹里 林 遣都 黃 姵 嘉 野村周平 川瀬陽太/嶋田久作/原日出子 バカリズム 酒向 芳

監督・脚本・編集:熊澤尚人

原作:パリュスあや子「隣人X」(講談社文庫) 音楽:成田 旬

主題歌:chilldspot「キラーワード」(PONY CANYON / RECA Records)

配給:ハピネットファントム・スタジオ

制作プロダクション:AMGエンタテインメント 制作協力:アミューズメントメディア総合学院

©2023 映画「隣人X 疑惑の彼女」製作委員会 ©パリュスあや子/講談社

公式サイト:https://happinet-phantom.com/rinjinX

公式X:@rinjin_x

 


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