「(次回作も)なんとか頑張りたい」映画『すずめの戸締まり』新海誠監督と原菜乃華さんが名古屋で舞台挨拶
11月11日(金)から全国公開した映画『すずめの戸締まり』は2016年公開の『君の名は。』、2019年公開『天気の子』に続く、新海誠監督の3年ぶりとなる最新作です。日本各地の廃墟を舞台に、災いの元となる“扉”を閉めていく旅をする少女・すずめの解放と成長を描く冒険物語で、主人公の岩戸鈴芽の声優を原菜乃華さんつとめています。
映画『すずめの戸締まり』では、11月17日の神戸を皮切りに全国舞台挨拶キャンペーン「行ってきます日本」が開催されていて、11月20日と21日に愛知県内3カ所で新海監督と原さんが登壇する舞台挨拶が行われました。名古屋の観客の鑑賞回数の多さに嬉しそうな様子をみせ、観客の前で生アフレコを披露し、観客からのたくさんの質問に答えたり、この日は不在だった宗像草太役の松村北斗さんについてのエピソード、次回作の話も飛び出したミッドランドスクエアシネマで行われた舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2022年11月21日)
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「名古屋、優秀ですね!初回であっても等しく嬉しいです」鑑賞回数3回以上に多くの挙手
映画『すずめの戸締まり』は新海誠監督の3年ぶりとなる最新作、11月11日(金)からの公開7日間の観客動員数が200万人、興行収入は27.7億円を突破したことが発表されています。11月17日の神戸を皮切りに全国舞台挨拶キャンペーン「行ってきます日本」が開催されていて、11月20日には109シネマズ名古屋で、21日にはTOHOシネマズ赤池とミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶が行われ、新海誠監督と原菜乃華さんが登壇しました。
名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマでの映画上映後、大きな拍手で迎えられてスクリーン前に登場した新海監督と原さんは、ステージ上でそろって深々と一礼。新海監督は「映画を観てくださり、ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えました。原さんは「こんなにもたくさんの方に観てもらいただくことができて嬉しいです」と笑顔で挨拶しました。
新海監督が名古屋に来るのは3年ぶり。2019年に『天気の子』、2016年に『君の名は。』、3年毎に来名していて「この3年間、コロナとか大変なことがあったと思いますが、みなさんの顔が見られたことが幸せです。みなさん元気でしたか?」と声をかけると、観客から拍手が起きました。原さんは6~7年ぶりの名古屋、2017年公開の『はらはらなのか。』で来名されて以来のようで「名古屋めし、昨日は名古屋コーチン、今日のお昼も味噌煮込みうどん、最高に美味しかったです」と教えてくれました。
公開から11日目のこの日、鑑賞回数の話題になり「3回以上の方」という問いかけに多くの手が挙がり、新海監督は思わず「名古屋、優秀ですね!初回であっても等しく嬉しいです」とニッコリ「たくさんの情報をギュッと詰め込んだ映画ですので、初めて見た方はまだ整理できていない方もいるかもしれないですね」と話しました。
2か月かけたアフレコを振り返り 新海誠監督と原菜乃華さんが生アフレコ
映画『すずめの戸締まり』の主人公・岩戸鈴芽の声優をつとめた原菜乃華さんは、1700人のオーディションの中から選ばれました。「大げさではなく、声優さん、女優さん、アーティストやアイドルの方まで1700人の候補がいました」と実際に1700人の声を聴いて原さんを選んだ新海監督は「目の前に1000人の子供がいても、自分の子供がパッとわかるようにわかった」と原さんの声を聴いた時に鈴芽にピッタリだと感じたそうで、何人かの候補に絞って原さんに会ったのは「直観を確認していく作業」だったと教えてくれました。新海監督は「オーディションに彼女がいなかったら途方に暮れていたと思う」と原さんと出会えたことを感慨深い様子で話していました。
原さんは「アフレコに入るまでは嬉しさよりも不安や重圧が大きくて、そのたびに監督が『僕たちは何も心配していません』とはっきり言ってくださったのを思い出して頑張っていました」と当時の気持ちを語りました。さらに原さんは草太役の松村北斗さんについて「『できないーーーー!』って叫んでいらっしゃって、松村さんでもこれだけ緊張するなら、私の緊張は当たり前だと感じられて、松村さんなりの優しさだったんだろうと思いました。すごくありがたくて、隣で一緒に戦っている感覚でした」と松村さんとのアフレコを振り返っていました。
松村さんのアフレコの様子に対して新海監督は「僕は大丈夫かな?って思いましたけど」と笑いを交え、「不安そうに取り組んでいたのも嬉しかった」と言いました。その理由として「主人公は物語がスタートした時は、欠落や不安、不全感を抱えているんですよね。それがエンディングを迎えた時には一歩背筋が伸びて、行ってきますと言えるようになっている。同じ行程を役者たちが辿ってくれて、2ヶ月かけて鈴芽の成長とシンクロするようなお芝居をしてもらえたと思います」と原さんと松村さんの不安も映画にとって良いものだったと語りました。
アフレコの話題から舞台挨拶での恒例になっているという生アフレコを披露してもらうことになり、原さんと新海監督はアフレコ時の定位置に移動し、アフレコ時の様子や状況を原さんが説明してくれました。新海監督は「皆さんは今日、芝居をする役者の顔を正面から見られます」と紹介。2回目の戸締りのシーンを実演してくれたのですが、草太役の松村さんが不在のため、草太の唱える祝詞を原さんが、草太のセリフは新海監督が担当することになりました。新海監督は不在の松村さんについて「(松村さん)本人がとても悔しがっていて、“どうしても仕事があって行けないので、みなさんによろしくお伝えください”って頻繁にLINEが来て、だったら来れば?って思いながら・・」と観客を笑わせていました。
観客を前に迫真の演技を披露してくれた原さんと新海監督。生アフレコの後には、実際の演出のやり取りなども話してくれて「10回、20回、30回と何回もやりました」と2ヶ月間かけてアフレコを行ったそうです。原さんの演技はもちろんですが、新海監督のアフレコも素晴らしく、原さんは「一番最初に、鈴芽役も草太役も監督が声を入れたVコンテを見本でもらうんですけど、まあ監督がお上手で。これを超えなきゃいけないとハードルが高くて、鈴芽役も違和感がなくて」と教えてくれました。
新海監督は「2時間のビデオコンテを作るんですけど、役者さんの声、アニメーターの画や背景美術、CG、みんなで上書きしていくんですよ。1年8か月くらいかけて、全部が完成カットになって、全部が役者さんの声になった時には、空気が入れ替わったような、新しい作品になったような感動があります」と話していました。
ひとりひとりに向き合い丁寧に答える新海誠監督 原菜乃華さんからはリピート鑑賞の際のポイントも
舞台挨拶の後半では観客からの質問を募るティーチインが行われ、客席では質問をしたい多くの観客の手が挙がっていました。2011年公開の『星を追う子ども』が大好きという観客から、『星を追う子ども』で描かれている地下世界「アガルタ」と『すずめの戸締まり』で描かれているある情景が似ていることについて質問され、新海監督は「確かに似ていますよね。あの風景って実際に観たことがあるわけではないけれど、自分の原風景のような気がしています」と答えました。「いろいろな連続感の中で作っているのは確かですので、そこに気づいていただけたのは嬉しいです」と昔から作品を観てくれていることに感謝の気持ちを伝えていました。
『すずめの戸締まり』は主人公の鈴芽が各地で災いの元となる“扉”を閉めていく旅をする物語、観客から「立ち寄る場所を選んだ理由」と聞かれると「神話をモチーフにしているのでヤマトタケルノミコトの東征、“戸”が地名に入る場所を辿る案もあった」と新海監督。「映画の中で描き切れる、観客を飽きさせないルートを考えて、作劇的に必要な場所を選んでいきました。それぞれの場所に思い入れを持って、方言もだんだん変化していく行程を描けたので、僕にとっては楽しかったです」と答えてくれました。この日で3回目の鑑賞だという観客から「回数を重ねるごとに楽しめる注目ポイントを教えてほしい」というリクエストにいくつかのポイントを教えてくれた原さんと新海監督。さらに、あまり細かくは書けないのですが、草太と鈴芽のラストシーンについても新海監督のこだわったポイントが紹介されると「私もすごい好きです」と原さん。新海監督も「鈴芽が先に行ってる!?ってね」と2人で盛り上がっていました。
最後の質問として「次の作品って作り始めているんですか?」と聞かれた新海監督は苦笑いしながら『すずめの戸締まり』が出来上がったばかりで「ぜいぜい息を切りながらなんとか終わって、プロモーションもあって休む間もなくて、白紙なんです」と答えました。さらに「8年くらい自分がずっと考えてきたことを描けて、最高のスタッフを集めてこれ以上ないという映画を出したつもりで、これで無理だったら、次にどうしたらいいかわからないという怖さがあります」と映画が公開されたばかりの今の気持ちを吐露し「『すずめの戸締まり』よりいいと自分で思える映画を作れるかどうかの自信がないので、どうしたらいいですかね?」と逆質問。笑いを交えながらも「キャンペーンで全国を回って、次を作れと言われた気がしますので、なんとか頑張りたいと思います」と言ってくれました。
たくさんの質問に丁寧に答えてくれた新海監督と原さん。舞台挨拶の最後に新海監督が「これから日本全国、世界へ旅立っていく映画です。では、すずめさん!」と声をかけると原さんが「行ってきます!」と笑顔で宣言して締めくくりました。
ミッドランドスクエアシネマのロビーには、新海監督と原さんのサインが入ったポスターが掲出されていて、スクリーンを出た観客の多くが記念写真を撮ろうと集まっていて、行列もできていました。
作品概要
公開日:2022年11月11日(金)
原作・脚本・監督:新海誠
声の出演:原菜乃華、松村北斗
キャラクターデザイン:田中将賀
作画監督:土屋堅一
美術監督:丹治匠
制作:コミックス・ウェーブ・フィルム
制作プロデュース:STORY inc.
©2022「すずめの戸締まり」製作委員会
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