「いろんな人の人生を肯定してくれる作品」映画『カモン カモン』映画ライターSYOさんにインタビュー・伏見ミリオン座トークイベント
4月22日より公開となる映画『カモン カモン』は『人生はビギナーズ』『20センチュリー・ウーマン』のマイク・ミルズが監督・脚本を手掛け、『ムーンライト』『レディ・バード』『ミッドサマー』など、数々の話題作を生み出してきたスタジオ・A24が制作を手掛けました。本作は映画『ジョーカー』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したホアキン・フェニックスにとって、受賞後の初の主演作となります。好奇心旺盛で少し風変わりな子供を演じるウディ・ノーマンと叔父役のホアキン・フェニックスの掛け合いが微笑ましく、対話によって人と人との関係性が変わっていくことが感じられる作品です。
伏見ミリオン座のリニューアル3周年を記念して、映画『カモン カモン』トークイベント付き試特別写会が開催され、映画上映後に映画ライターSYOさんが登壇しました。トークイベントの前にSYOさんがインタビューに応じ、映画『カモン カモン』の魅力やマイク・ミルズ監督へインタビューした際のエピソード、映画との出会いや映画を伝え手として気をつけていることなどを話してくれました。(取材日:2022年4月13日)
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「いろんな人の人生を肯定してくれる作品だと思います」
映画『カモン カモン』はホアキン・フェニックス演じるニューヨークでラジオジャーナリストとして1人で暮らしている主人公が妹から頼まれて9歳の甥を数日間預かることになり、振り回され、ぶつかりながらも真正面から向き合うことによって、新たな絆を見出していく物語です。
SYOさんは「ただの推しなんですよ。冷静に観れていないんです」とプロとして中立的に判断することができないほどマイク・ミルズ監督作品が好きであることに言及しながら「いろんな人の人生を肯定してくれる作品だと思います」「登場人物の中に悪い人がいない、こういう世界はいいなと思える」「ホアキン・フェニックスの表情の柔らかさは印象的」など作品の魅力を語ってくれました。また「高校生の時にサムサッカーを観ました。自分と同じ世代の主人公の話で、すごく共感しました。この監督が見ている世界の色や寂しさは自分と一緒だと感じて、生きていていいなと思いました」と話し、「新作が発表されるたびに、この作品と出会うために生まれてきたと思います」とマイク・ミルズ監督への愛を熱く語ってくれました。
映画『カモン カモン』で、主人公が子供たちにインタビューをするドキュメンタリー的な映像が含まれていることについてSYOさんは「マイク・ミルズ監督はこれまでの作品でも現実と物語をオーバーラップさせていく、フィクションとノンフィクションを回遊していく作り方をしていました」と話しました。さらに『人生はビギナーズ』では自身の父親を、『20センチュリー・ウーマン』では自身の母親をモチーフにしていて、今回は子供を描いていることから自身の子供のプライバシーを守る目的もあったと話し「身内に対する敬愛、ホアキン・フェニックスが体現している眼差しの優しさも感じました」とマイク・ミルズ監督へのインタビューでのエピソードも教えてくれました。対話を通じて、人と人との関係性が変わっていくことが感じられる本作について「どういう風に他者と接したら良いのか、コミュニケーションを描いた作品として今のトレンドだと思います」とコメント。9歳の子供と叔父だけでなく、兄と妹、夫婦、親子、大人と子供、様々な関係性の変化や互いへの優しさが感じられる作品です。
「名古屋に住んでいたら通い詰めたい」伏見ミリオン座トークイベント
SYOさんはこの日、伏見ミリオン座移転リニューアル3周年企画・映画『カモン カモン』特別試写会のトークイベントのゲストで、名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)の水野由美子がトークのお相手をつとめさせていいただきました。伏見ミリオン座に初めて来館したSYOさんは「名古屋に住んでいたら通い詰めたい」「ラインナップが最高」ととても気に入っている様子でした。
『カモン カモン』の公式Tシャツを着て、アウターに『ミッドサマー』のピンバッチを付けていたSYOさんは「A24 Shop」での買い物が止められないと話し、客席の試写会参加者を笑顔にしていました。映画『カモン カモン』の公開にあたり、オンラインでマイク・ミルズ監督にインタビューをすることができたSYOさんは「インタビューの後で、泣いちゃいました」と話しました。言葉の端々から、マイク・ミルズ監督や作品への愛、映画愛が伝わってきて、もっとたくさんの話を聞いてみたい、もう一度、映画『カモン カモン』を観たいと感じた方も多かったのではないでしょうか?
SYOさんはイベント前のインタビューで、福井県に住んでいた子供の頃から両親の影響で一緒に映画館へ行ったり、週末にビデオを借りて家族で映画を観ていたと映画との出会いについて教えてくれました。「特に母親が映画好きで」と言い、『名探偵コナン 瞳の中の暗殺者』と一緒に母親の薦めでペドロ・アルモドバル監督の『オール・アバウト・マイ・マザー』も観たと、10代前半の鑑賞歴を話してくれました。
映画の伝え手となった今、SYOさんは「その映画を観て貰える言葉を使うようにしています。批判は好きじゃないので、やらないです。みんなが楽しくなれる言葉を使っていきたい」と映画を伝える際の自身の考えを語っていました。トークイベントでも「面白いものを観た時は自然と言葉が湧いてくる」「感性を広げてくれる映画だと思います」など、多くのメッセージを伝えてくれました。
伏見駅1番出口から徒歩2分!2019年4月に駅の北東に移転&リニューアルオープンした伏見ミリオン座
作品概要
4月22日(金)より伏見ミリオン座ほかにてロードショー
監督・脚本 マイク ・ミルズ
出演:ホアキン ・フェニックス 、 ウディ ・ノーマン 、ギャビー ・ホフマン 、 モリー ・ ウェブスター 、 ジャブーキー ・ ヤング
2021 年/ アメリカ 108 分 ビスタ モノクロ
配給:ハピネット ・ファントムスタジオ
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