「30年若かったら私がやりたかった」三吉彩花さんと黒木瞳監督が映画『十二単衣を着た悪魔』名古屋舞台挨拶に登壇
11月6日から全国公開されている映画『十二単衣を来た悪魔』は女優・黒木瞳さんが監督をつとめた作品で三吉彩花さん、伊藤健太郎さんが出演しています。ある日突然、“源氏物語の世界”にトリップしてしまった主人公がそこで出会った人々の言葉や自らの経験を重ね成長していく物語です。三吉さんと黒木監督が名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われた公開記念舞台挨拶に登壇し、満席の観客を前に名古屋にまつわるお話、衣装のこだわり、三吉さんが演じた弘徽殿女御について和やかにお話してくれました。（取材日：2020年11月14日）
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名古屋の徳川美術館で閃いた”源氏物語の世界”の描き方
映画『十二単衣を着た悪魔』は現代のフリーターが突然迷い込んだ“源氏物語の世界”で出会った人々との関わりから自己肯定感を回復していく成長物語であり、『源氏物語』では悪役として存在する弘徽殿女御が聡明で魅力的な女性として描かれています。
黒木監督は映画の原作となった内館牧子さんの小説『十二単衣を来た悪魔・源氏物語異聞』を読み、弘徽殿女御を理想の女性とあこがれたことから映画を撮りたいと思い、源氏物語について勉強を始めたそうです。黒木監督は2018年12月に名古屋市東区の徳川園内にある徳川美術館で国宝の源氏物語絵巻の特別展を訪れ、実際に絵巻を鑑賞したそうで「主人公は絵巻の中にトリップすれば良いのではないかと閃きました」と教えてくれました。「屋根を取ったり、金色の雲が浮かんだりと、そんな場面もございますのでお見逃しなく」と自信の表情をみせました。また「映画冒頭の絵巻は徳川美術館からお借りしたものなのです」と教えてくれました。そして「徳川美術館では企画展『読み継がれた源氏物語』が12月13日まで開催されています。映画をご覧になったらぜひ徳川美術館の展示もご覧いただけると二倍お楽しみいただけると思います」と笑顔とともに徳川美術館のPRもしていました。
三吉彩花さんは昨年8月の映画『ダンス・ウィズ・ミー』のキャンペーン以来の名古屋で「毎回、山本屋さんに寄れるかどうかが名古屋に来るたびに気になります」と話していましたが、時間がとれず今回は残念ながら行けないことが舞台挨拶中に判明し、少し肩を落とした様子をみせました。
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色彩豊かな美しい十二単衣姿の三吉さんはインナーマッスルを使って
映画『十二単衣を着た悪魔』は平安時代に紫式部によって書かれた物語“源氏物語の世界”にトリップするストーリーなので、十二単衣は欠かせない衣装です。黒木監督は様々な先生方から十二単衣のことを学んだそうですが、源氏物語の世界を誰もみたことがないことから「最終的には『あなたの好きにしなさい』と言われたことで励まされました」と語り「弘徽殿女御には十二枚の着物を絶対に着せたいと思い、劇中の彼女の26年の変化を表す色合いなどにもこだわって決めていきました」と教えてくれました。
撮影で実際に十二単衣を着た三吉さんは「とても重かったです」と実感をこめてつぶやくと会場が笑いで包まれました。そして「役の年齢が上がるごとに羽織の色が変わりますし、中の重ねの色も変わってくるので、そこを楽しんでいただきたいです」と話しました。着物だけでなく長い髪のかつらつけていたことを振り返り「後ろにグンっと持って行かれるような感覚なので姿勢を保つためにインナーマッスルを使いました」と教えてくれました。
「30年若かったら私がやりたかった」黒木瞳監督が語る弘徽殿女御の魅力
映画『十二単衣を着た悪魔』の弘徽殿女御について黒木監督は「悪魔と呼ばれた女性には内面にいろんな葛藤があって、さまざまな気持ちが渦巻いているからこそ強く立っていようという志があるのでは」と話し、「そのような人が強い女に見えるのだと思います。（内館牧子さんの）原作を読んで共感しました」と並々ならぬ想いを語りました。
映画の中でたくさんの名言を披露する聡明で魅力的な弘徽殿女御のキャラクターについて三吉さんは「自分で役を考える前に（黒木）瞳さんから弘徽殿女御としての基礎を指導していただいて二人で作り上げていきました。そこから自分の弘徽殿女御が見えてきました」と黒木監督によるマンツーマンレッスンを振り返りました。黒木監督は「はじめは台詞の口真似から始まったのですが、殻を破ってご自分の役を作り上げていかれたので頼もしく見ておりました。三吉さんが強さだけでなく内面まで表現してくださったので本当にすばらしい弘徽殿の女御様でした」と絶賛で返しました。互いに賛辞を交わし、三吉さんと黒木監督が互いに一礼しあったことで会場内は一層和やかな空気に包まれました。そして三吉さんは「弘徽殿女御が若いときと一生懸命に経験を積んだあとでは、内面からくる台詞の説得力や凄みが違っています。完成した作品を観て自分でも驚きましたし、弘徽殿女御と共に成長させてもらったと感じています」と満足そうな表情をみせました。
撮影を通して三吉さんは黒木監督こそ弘徽殿女御のような方だと感じたと話し「意外と撮影のときには“やっちゃいなさい”と懐の大きい方でもありカッコいいし、お母さんのような、すばらしい方です」と役をつかむ上でも大きな影響を受けたようでした。加えて「30年若かったら（弘徽殿女御役を）私がやりたかった」と黒木監督が話したエピソードも紹介してくれました。黒木監督はこれから映画をご覧になるお客様に対して、笹野高史さんのアドリブ演技やEXITの兼近大樹さんの活舌の悪い演技などいくつかの裏エピソードも紹介しつつ、舞台挨拶は幕を閉じました。
作品概要
2020年11月6日（金）から全国ロードショー
出演:伊藤健太郎、三吉彩花、伊藤沙莉/山村紅葉、笹野高史
監督:黒木瞳
原作:内館牧子(十二単衣を着た悪魔 源氏物語異聞・幻冬舎刊)
制作・配給:キノフィルムズ
©2019「十二単衣を着た悪魔」フィルムパートナー
