名古屋出身の木庭撫子監督が故郷で上映決定!!映画『骨なし灯籠』移住先の山鹿(やまが)でオールロケ 熊本では5か月のロングラン上映&リピーター続出の話題作
10月18日(金)~24日(木)にミッドランドクスエアシネマ、10月25日(金)~11月7日(金)にミッドランドシネマ名古屋空港で上映される映画『骨なし灯籠』は名古屋出身で熊本県に移住した木庭撫子(こば なでしこ)監督の第1作目の長編映画で、2023年あいち国際女性映画祭の上映で観客数ナンバー1となり話題になった作品です。亡き妻の遺骨を抱いて彷徨う男が熊本豊前街道の温泉町「山鹿(やまが)」に辿り着き、深い孤独と喪失感を持ちながら暮らす姿と町の人々のさ月りげない優しさが描かれ、意外な展開に驚かされるまるで万華鏡のような作品です。
映画『骨なし灯籠』の名古屋での公開を前に、木庭撫子監督が故郷の名古屋に凱旋し、インタビューに応えてくれました。名古屋で過ごした日々のこと、作品企画の経緯、移住先の山鹿についてなどを話してくれました。(取材日:2024年9月18日)
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母校の県立明和高校の学校祭で映画のチラシ配り「高校へは地下鉄で市役所駅(現:名古屋城駅)まで、短大では瀬戸電に乗って通っていた」
名古屋市出身で熊本県山鹿市に移住した木庭撫子監督の第1作目の映画『骨なし灯籠』は、最愛の妻を亡くした元美術教師の男が、美しい山鹿の町並みや人情に癒されながらも深い喪失と孤独がぬぐえず、しかしあるきっかけで新たに歩みを進める様子が描かれている優しい、命と再生の物語です。『骨なし灯籠』というタイトルから怪談「牡丹灯籠」を連想する方もいるかもしれませんが、ホラーではありません。
木庭監督は、先日行われた母校:県立明和高校の学校祭でご自身でチラシを配布したそうです。名古屋での学生時代について伺うと木庭監督は、「小学校(八熊小)のころから映像や放送に興味がありました。小学校のころ、先生が作文が上手だと言ってくれてコンクールに出してくれたりしました。でも実は書くことは好きではなくて」とお茶目な口調で小学校時代について話しました。中学(山王中)・高校時代は、映像や映画の世界はもちろん、声を褒められたり朗読も好きだったりしたそうでアナウンサーに憧れたこと、話し方コンクールに出場して受賞したことがあると教えてくれました。「高校の時は私は金山に住んでいたので、地下鉄で市役所(現:名古屋城駅)まで行って通っていましたね」と二コリ。表情が一転して「その高校時代にNHKで青年の主張っていうのがあって、中部地区大会に挑んだ時に30秒くらい真っ白になっちゃって…話すのは向いていないって思いました。それで、自分が好きなテレビや映画の世界で生きていくのだったら何がいいか考えました」と思わぬ転機があったと明かし「それで文章を書く方向性、脚本家となろうと考えました」と新たな夢ができたと語りました。金城大学短大在学時について木庭監督は「栄から瀬戸電で通っていましたね。短大ではお友達もいて、楽しく2年間過ごしました」と振り返りました。その短大の2年のうちに脚本を書き貯めていたと言い「だって、名古屋だと習う人が居なくて。独学で書くしかなかったんです」と当時の背景を語りました。
運命の扉を開いた行動力 倉本聰さん主宰の富良野塾で2年の修行 監督デビューは「今更やめると言えなくなっちゃった」から?!
独学で書き貯めた脚本をどうしたのかと尋ねると、「名古屋に倉本聰先生が講演会でいらしたんです。出待ちしてタクシーに乗車する直前に『これ、読んでください!』とお渡ししました」と木庭監督のおっとりした雰囲気からは想像もつかないエピソードが飛び出しました。諦めていたその3か月後、倉本氏から直接電話があったそうです。木庭監督は「倉本先生に『富良野塾に来る気があるなら一次試験は免除するから二次試験に来なさい、東京に来なさい』と言われて、それで入りました」と言い、自分のことを「私、思うより行動っていうタイプです」と笑顔を見せました。短大卒業後20歳で富良野塾5期生として入塾し2年の修行。その後は名古屋での放送作家、東京でのライター活動などを経て、1998年テレビ朝日「せつない」で脚本家デビューを飾りました
2008年東海テレビの「安宅家の人々」、2010年の「名古屋やっとかめ探偵団~前代未聞!!婆ちゃん探偵~」、2011年過ぎからドキュメント番組や、NHK教育番組の『おかあさんといっしょ』の「なんだっけ?!」の脚本など、当時は本名の浅野有生子の名前で精力的にご活躍。木庭撫子の名前は2016年の『おかあさんといっしょ」の月ウタ「まあるいせかい」の作詞家名として登場しています。
熊本山鹿の作品に携わった経緯を伺うと木庭監督は「夫の定年もあり彼の故郷の山鹿に移住することにしました。子どもが好きなので読書塾とかいうのをやろうとしていたんです。そうしたら引っ越し前に偶然、私が大杉漣さんの初主演映画『棚の隅』(2006年)のシナリオを書いた時のプロデューサーに映画の企画書を書いてくれないかと頼まれました。それで引っ越し前のバタバタの最中に書き上げたものが通ってしまって、シナリオを書いておしまいにするつもりが、資金作りなどの話がどんどん進んでしまいました」と話しました。
なぜ監督をすることになったかと尋ねると、オール山鹿ロケで東京から監督・スタッフを呼ぶと逗留費がかさむ点や、助成金が貰えるかどうかも未定で企画が進まなくなった点を挙げ、「せっかく書いた物語だし、俳優も自分の好きな人たちを呼んでいるから今更やめるって言えなくなっちゃったんです。結果的に私が監督するしかない」と決意した経緯を語りました。実際、監督をしてみた感想について、木庭監督は「今まで脚本を書いていて”どうしてこんな演出になるのか”と不満に思ったことが多々ありましたが、今回は自分が演出したので解消されましたね」と率直に答え、微笑みました。
豊田市出身で富良野塾10期生の水津聡さんが主演「色々な偶然が重なってできた映画です」 「今後は熊本三部作を撮ってみたい」と意欲
脚本を書くときは、頭に思い浮かべた絵や芝居を文字にすると話す木庭監督。本作『骨なし灯籠』の主演の水津聡(すいつ さとし)さんについて「富良野塾は2年しか居られなくて、彼は10期で私と一緒に過ごしていないのですが、水津さんは(倉本)先生の芝居にたくさん出ています。彼の芝居を見るたびに上手いなと思って、いつか一緒に仕事しようと言っていたんです」と話しました。水津さんが劇中、骨壺を首から下げて佇む姿が印象的だったと伝えると「汚い感じでね~」と笑い、「でも舞台挨拶に行くと結構スッとしたいい男なんだねって言われてます」と彼が豊田市出身であることと共に教えてくれました。また主人公の今井役について「水津さんの当て書きに近い感じです」と言いました。
亡き妻を演じた、まひろ玲希さんについては「彼女は当て書きじゃないです。彼女の本当の性格は高知生まれのスゴい…」といたずらっぽい表情を浮かべ「でも見た目は日本的な綺麗な人なので、そのイメージで書いています」と話しました。劇中、亡き妻が着る浴衣の柄から、彼女の人物像に言及する描写があります。実はまひろさんが自前で持ってきた浴衣を見て、ほぼ完成していたシナリオに木庭監督が反映したとのことで、脚本家としてのセンスが光ります。木庭監督は「偶然がいい方向にいったんです。他には橋のところで月が出ているシーンは日程上その日しか撮れなかったのですが、たまたま満月だったんです」と加え、「いろいろな偶然が重なってできた映画です」と振り返りました。
山鹿で暮らす人びとについて木庭監督は「移住した時に子どもたちに『おはようございます』と言われて、東京に長く住んでいたので”誰に言ったの?”って驚きました」と述べ、山鹿には知らない人でも挨拶することが推奨される挨拶条例があると教えてくれました。続けて「私は生きづらさを抱えている人は、頑張れとか大丈夫とか言われるよりも、さりげない優しさや挨拶、人との関わりに救われるんじゃないかと思います。風景の美しさと、さりげなさをたくさん取り入れた映画です。前半は静かに行きますが、後半はどっと加速します」と作品をアピールしました。
大切な人を亡くすことは万国共通の普遍的な痛みと言えるでしょう。木庭監督は「この作品はグリーフケアの観点で書いています。日本情緒の映画だからじゃなくて、人を亡くした時の悲しみの癒し方について皆さんグッと来られている感じなんです」と語りました。木庭監督自身、熊本山鹿への引っ越しを決めたきっかけは相次いで両親を亡くし、名古屋に帰る必要がなくなったことだと明かしました。「自分が鬱屈していたり悩んだりするときは、行動じゃないけれど環境をかえる事って大事だと思います。私は山鹿の温泉、子どもたちの挨拶に癒されて、癒された瞬間から映画の話になって、気づいたら走り続ける感じでした」と当時を振り返り、監督自身も映画製作の中で癒されていったことをにじませました。今後について伺うと「熊本三部作を撮ってみたいです。ひらけた土地で、少年少女の話がいいなあ」と目をキラキラさせて答えました。
熊本で異例の大ヒットロングラン、リピーター続出の映画『骨なし灯籠』。10月19日(土)と20日(日)には名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで、10月26日(土)にはミッドランドシネマ名古屋空港で、木庭撫子監督、主演の水津聡さん、まひろ玲希さんなどのキャストが登壇する舞台挨拶が予定されています。26日にはくまモンの来場も予定されているそうです!ぜひこの機会に映画館のスクリーンでご覧ください。
10/19(土)・20(日)『骨なし灯籠』名古屋・愛知 凱旋舞台挨拶 詳細
名古屋公開10月19日(土)20日(日)13時半からの舞台挨拶付き上映チケット、来週5日から販売になります‼️前売り券お持ちの方も5日から劇場窓口で交換できます〜皆さんお席無くなる前にどうかお早めに🙏#骨なし灯籠 #舞台挨拶 #ミッドランドスクエアシネマ pic.twitter.com/N5wRLYXLZs
— 映画『骨なし灯籠』公式🎬 Boneless Lantern (@movie_honenashi) September 27, 2024
10/26(土)『骨なし灯籠』名古屋・愛知 凱旋舞台挨拶 詳細
名古屋公開26(土)ミッドランドシネマ名古屋空港での舞台挨拶、くまモンが応援に来てくれます❣️座席指定チケットは10月5日から先行販売❣️皆さまお早めに❣️#骨なし灯籠 #ミッドランドスクエアシネマ #ミッドランドシネマ名古屋空港 #くまモン #熊本 #山鹿 pic.twitter.com/GlRHkDqpfy
— 映画『骨なし灯籠』公式🎬 Boneless Lantern (@movie_honenashi) October 1, 2024
作品概要
10月18日(金)~24日(木) ミッドランドスクエアシネマにて上映
10月25日(金)~11月7日(木) ミッドランドシネマ名古屋空港にて上映
監督・脚本:木庭撫子
出演:水津聡 / まひろ玲希 / 高山陽平
公式サイト https://honenashi.com/