「役作りはよくわからない」「本番で120%をぶつけるだけです」香取慎吾さん 映画『凪待ち』名古屋でインタビュー
6月28日に公開となる映画『凪待ち』は人生につまずき落ちぶれた男の喪失と再生を描く重厚な人間ドラマです。香取慎吾さんがろくでなしの主人公を演じ、白石和彌監督と初タッグを組んだ話題作。東日本大震災で多くの被害を受けた石巻や女川を舞台に、香取さん演じる主人公がパートナーの女性とその娘と共に人生を再出発させようと奮闘するものの、小さな綻びからある悲劇に見舞われる物語。名古屋市内で行われた全国縦断完成披露上映会の舞台挨拶の前に、香取さんがインタビューに応じてくれました。
初参加となった白石組での撮影の感想や共演者とのエピソード、お芝居への取り組み方についてなどを語ってくれました。(取材日:2019年6月18日)
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先の見えない心境がスクリーンに「全てが恵まれているなと思います」
香取さんが演じた郁男の無精髭にボサボサ頭という風貌について「自分の素の状態というか、今日も髪ボサボサで東京から名古屋に来ていますし、映画の中は普段の自分に近くて違和感ないです」と周囲の反応に驚いたと話し、香取さんは「これまでアイドルとして生きてきて、それだけキレイにしてきたんだなって感じです」と笑顔をみせました。また「40歳を超えて、30代とは違う顔がスクリーンに映っているのは新鮮なのかな?」と言い「この数年での環境の変化もこの映画には映ってしまっていると思います」と語り始めました。「映画を撮影していた去年の6月頃はまだまだ先の見えなさがいっぱいあって、今、撮っていたらこの表情じゃないかもしれないです」と当時の心境を教えてくれました。
また『凪待ち』という作品について「このタイミングで白石監督とご一緒できたこと、全てが恵まれているなと思います」と感謝の気持ちをあらわし「自分一人で歩きだしてから初めて映画ということで今まで感じたことのないプレッシャーだったけど、いざ撮影が始まったら白石監督のことが好きになって、白石作品の中に参加できたことがよかったなって思います」と作品に参加できたことが幸せで多くの人にこの作品を観てほしいと想いを伝えました。
スポンサーリンク「役作りはよくわからない」「本番で120%をぶつけるだけです」
郁男を演じるための役作りについて聞くと「僕はいまだに役作りがよくわかっていなくて、台本もあまり読み込んだりするほうでもないんです」と言い切りました。「現場の空気と監督の演出、言われたことをするだけなので、事前に準備もなく、あまり悩むこともありません」と話し、リハーサルでは台本を持ったまま動きを確認するそうで「本番!と言われたら監督の要求以上の120%の自分をぶつけるだけですね」と香取さんの取り組み方を教えてくれました。
また香取さんは「決められたセリフを言うのは緊張しますし、一番苦手です。コツコツ勉強するのが嫌なくらい苦手なので、試験の前日に勉強するように感じです」とお芝居に対する気持ちを明かし「大河ドラマの時に、4‐5ページ分のセリフを一人でしゃべるシーンの時にメイクさんやかつらの床山さんが味方をしてくれて、(セリフを)覚える時間を作ってくれました。皆さんに助けられています」と大変だった撮影のエピソードを話しました。
スポンサーリンク「震災のことを話せるきっかけ」「スクリーンに遺る石巻」
映画『凪待ち』は東日本大震災で多くの被害を受けた石巻や女川を舞台に、香取慎吾さん演じるろくでなしの男の喪失と再生を描いた衝撃のヒューマンサスペンスです。映画の舞台について香取さんは「最初は被災地を映画というエンターテインメントとして映してして良いのかと思っていました。撮影が始まって、僕が会った方からは『映画の舞台に石巻を選んでくれてありがとう』『今の石巻を映画に遺してくれてありがとう』と言われたりしました」と話し、「この映画が震災のことを話せるきっかけにもなり、石巻の街が映画のスクリーンに遺るのは良かったと思います」と力強く語りました。
スポンサーリンク「(19歳の恒松祐里さんは)プロフェッショナルで引っ張ってもらいました」
香取さんが演じる郁男のパートナーの女性の娘・美波を演じた恒松祐里さんについて「撮影の時、彼女は19歳だったんですけど、自分からしたら考えられないくらいプロフェッショナルで彼女に引っ張ってもらった部分がありました」と話しました。郁男は人に対して心を開いていないキャラクターで、香取さんは「(美波にとって郁男は)父親のようであり、友達のようであり、ハイタッチをするシーンもあります。セリフにないこともいっぱい喋っていて、自然に僕の服を引っ張ったり、初共演であの年齢なのにすごく自然体でした」と恒松さんの撮影現場での様子を話しました。
香取さんは「撮影現場でワイワイするほうじゃなく、周りの共演者の方と明るく楽しく日々を過ごすほうじゃないんですけど、シーン的にもそういうのが多かったから」と撮影現場の様子を話しました。パートナーの女性の元夫という複雑な間側の男を演じた音尾琢真さんについて「僕の中では(あまり話さないほうがいいかなという)シーンなのに、けっこう深夜に2人きりで静かにスタンバイしてたら、気に入っているYouTubeの映像をみせてきたりしました」と笑いながら教えてくれました。
石巻で郁男の新生活を気にかけてくれる小野寺を演じたリリー・フランキーさんについて「初めての場所で温かい言葉をかけてくれたのが役の中の小野寺さんと郁男の関係と同じで、初体験の白石組に昔から知っているリリーさんがいてくれたことは安心できた部分がいっぱいありました」と撮影時を振り返りました。リリー・フランキーさんは25年以上前に、香取さんが草彅剛さんのラジオの放送作家をされていたそうで、その後、バラエティに進出し、俳優として活動されている姿を見て「素敵な俳優さんだなと思って、いつか共演できたらと思っていました」と話しました。
スポンサーリンク「“凪”を求めるより這い上がって生きていきたい」
『凪待ち』という映画のタイトルについて聞くと香取さんは「意味が分からなかったです。何なんだろうと思って、意味を調べても理解ができなかったです」と答え「撮影途中まではわからず、完成した映画をみてようやく凪待ちの意味が分かりました」と話しました。また香取さんは「辛いことや苦しいことも人生にはあるけど、そんな時に“凪”って必要だと思います。自分自身は荒れた中で生きてきているので“凪”を求めるより這い上がって生きていきたいという思いがあります」と香取さんの考えを話し「ちょっと大きい仕事が終わったら、ゆっくりしたいです」と言いながら、個展を終えて映画の公開を間近に控え「やっぱり僕に凪は必要ないのかもしれないです。何かしたくなっちゃってウズウズしちゃうタイプなので」とアーティストや服のデザイナーなどの仕事も楽しんでいる様子でした。
現在、デジタル配信中の「星のファンファーレ」は2,000万ダウンロードを突破したスマートフォン用タイトル『星のドラゴンクエスト』の応援ソングで、YouTubeのMusic Videoでは稲垣吾郎さん、草彅剛さんと一緒に美しい姿で歌い踊る香取さんの姿がみられますよ!
スポンサーリンク「僕はツイッター見ています!!」
香取さんは「エゴサーチっていう言葉は知らなかったんですけど、(昔から)エゴサーチしていました。今は自分のSNSがあるから、昔より楽ですね」と新しい環境で感じていることを話し、「僕はツイッター見ています!!」とかなりチェックしていることを明かしました。個展に来てくれたお客さんのツイートをチェックして「画がちょっと傾いている」「誤字がある」などをスタッフに伝えたりしていると話し、『凪待ち』の感想も楽しみにしている様子でした。「この映画だと簡単に呟けないところもあるけど、ネタバレについては今の時代、どうなっているのか(楽しみです)」「(これまでは)結末だけはみんなが暗黙(の了解)で守っているのは面白いなと思いました」と話していたので、ぜひ皆さん、映画の感想をSNSに投稿して香取さんに届けましょう!!
スポンサーリンク作品概要
6月28日(金)よりTOHOシネマズ名古屋ベイシティ、ミッドランドスクエアシネマほかロードショー
出演:香取慎吾、恒松祐里、西田尚美、吉澤健、音尾琢真、リリー・フランキー
監督:白石和彌 脚本:加藤正人
脚本:加藤正人
配給:キノフィルムズ
©2018「凪待ち」FILM PARTNERS
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