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2020-02-12

「はらからのような関係」佐藤浩市さんが火野正平さんと映画『Fukushima 50』名古屋試写会の舞台挨拶に登壇


3月6日に公開となる映画『Fukushima 50』は2011年3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた福島第一原発内に残った名もなき作業員たちの5日間を緊迫感のある映像で再現した作品です。90人以上の関係者への取材をもとに東日本大震災について綴った門田隆将さんのノンフィクション書籍『死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発』が原作です。

主演の佐藤浩市さんと火野正平さんが名古屋で行われた特別試写会の舞台挨拶に登壇しました。旧年来の仲である2人が撮影時の様子や共演の渡辺謙さんについて、福島での先行試写会についてや作品への想いを語りました。(取材日:2020年2月11日)

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神妙な面持ちの佐藤浩市さんと茶目っ気たっぷりの火野正平さん

映画『Fukushima 50』は2011年3月に発生した東日本大震災時の福島第一原発事故に焦点を当て、原発事故の現場で起きていた事柄を克明に描き出している作品です。名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われたメ~テレとCBCによる特別試写会の舞台挨拶に主演の佐藤浩市さんと火野正平さんが登壇しました。

佐藤さんは「楽しんでいってくださいと言える映画ではないんです。最後まで踏ん張って観て行ってください」と上映前のお客さんに挨拶し、火野さんは「渡辺謙です。頑張りました。よろしくお願いします」と挨拶して、客席を沸かせました。火野さんは前日に大阪でも同様の挨拶をしており「朝、謙さんから『掴みはバッチリでしたね』とメールが来ました」と話してくれました。火野さんは楽屋から持ってきたポップコーンを前方の席の男の子にプレゼントするなど終始、茶目っ気たっぷりの様子でした。

中央制御室の緊張感の中での旧知の顔を見た安心感

映画『Fukushima 50』は福島第一原発事故から5日間の福島第一原発1・2号機の中央制御室での作業員の様子を中心に描いています。佐藤さんは中央制御室にいた現地雇用の所員たちのリーダーである当直長を演じていて「ほぼ時系列に沿って撮影をして、その場にいるだけで緊張感が高まっていって、顔が変わっていくんですよね」と本物そっくりに作られたセットの中での撮影を振り返りました。

火野さんは事故の直後に中央制御室に駆けつけ現場最年長ながら危険な任務に就く管理グループ当直長を演じています。火野さんが登場するシーンについて佐藤さんは「『よく来てくださいました』という気持ちはリアルに合致したと思います」と話し、35年ほど前のテレビドラマ『ザ・ハングマン』からの仲だという火野さんが本作に参加してくれたことと重なるようなシーンだったと語りました。

火野さんは防護服を着ての撮影を振り返り「いやーきつかったよ!みんな、こうやっていたんだなと思った。ボンベは重くて、マスクが息苦しくて」と話しました。また出会った頃の佐藤さんについて「ヤンチャでしたよ」と話したり、「先輩なのに敬ってくれないんだよ」とボヤく火野さんに「敬ってるじゃないですか!何を言ってるんだあんた!いい加減にしろ、正平!」と仲の良さをうかがわせるやり取りをみせる一幕もありました。

福島第一原発所長・吉田昌郎役を演じた渡辺謙さんについて佐藤さんは「はらから(同胞)のような関係であると僕は思っていて、言葉を交わさなくてもお互いにやるべきことがわかっていたと思います」と話し、1歳の年齢差であることや謙ちゃんと呼んでいることも明かしました。

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「知らないことがこんなにあった」熱い想いを伝える

佐藤さんは1月下旬に福島市内で行われた先行特別試写会の舞台挨拶を振り返り「最初は(福島の皆さんの反応が)怖かったです。福島の方々がよく映画にしてくださいましたと言ってくださったのが救いになりました」と話し「単純な記録映画ではなく、これから先、あの時のことをわからない人たちが観る時のことを考えて、そういう映像が必要だったということをわかっていただけたことが嬉しかったです」と語りました。

火野さんは自転車に乗って全国を旅する番組「にっぽん縦断 こころ旅」(NHK BSプレミアム)に出演していて、事故から2年後に福島を訪れたことがあるそうで「頑張れ福島のつもりで来たのに、頑張ってと声をかけてくれた。(福島の人たちは)強いなと思った」と当時のエピソードを披露してくれました。

佐藤さんは本作で描かれている作業員たちの戦いについて「あれだけの事象があって、日本中が心配していたのに、知らないことがこんなにあったということがわかると思います」話しました。また舞台挨拶の最後には「正直、まだ早いのではないかという思いもありました。でも、今でよかったと思います。辛いシーンもあります。でも劇場を出た時に、行き交う人を見て、街の明かりを見て、必ず何か思うことがあると思います。そういう映画です」と来場したお客さんにメッセージを伝えました。

佐藤浩市さん、火野正平さんが名古屋でのインタビューで語った中操セット内での撮影

作品概要

映画『Fukushima 50』

3月6日(金)ミッドランドスクエア シネマ他 全国ロードショー

出演:佐藤浩市 渡辺謙 吉岡秀隆 緒形直人 火野正平 平田満 萩原聖人 吉岡里帆 斎藤工 富田靖子 佐野史郎 安田成美

監督:若松節朗

脚本:前川洋一

音楽:岩代太郎

原作:「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発」門田隆将(角川文庫刊)

製作:KADOKAWA

配給:松竹、KADOKAWA

© 2020『Fukushima 50』製作委員会


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