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2018-02-17

「吉永さんの華とオーラ、輝きをスクリーンに。」映画『北の桜守』名古屋での記者会見・舞台挨拶


 

3月10日に公開となる吉永小百合さんの映画出演120本目となる映画『北の桜守(さくらもり)』の記者会見が名古屋市内で行われ、主演の吉永小百合さん、岸部一徳さん、滝田洋二郎監督が登壇しました。また同日、名駅のミッドランドスクエアシネマでの上映会の舞台挨拶にも登壇しました。

吉永さんが主演した『北の零年』『北のカナリアたち』に続く北海道を舞台にした“北の三部作”の最終章である『北の桜守』は太平洋戦争下にソ連軍の侵攻により樺太を追われ、網走へとたどり着いた吉永さん演じる江蓮(えづれ)てつの人生が描かれています。息子と生きるために“強い母”として過酷な日々を過ごした頃から20年近くの時を経て、堺雅人さん演じるてつの息子・修二郎が年老いたてつと再会します。岸部一徳さんは江蓮家を見守ってきた山岡和夫を演じています。

公開を前に、名古屋で行われた記者会見と舞台挨拶の様子をレポートします。(取材日:2018年2月16日)

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名古屋での合同記者会見に登壇した吉永小百合さん、岸部一徳さん、滝田洋二郎監督

名古屋での合同記者会見に登壇した吉永さんは映画『北の桜守』について「私にとって120本目の映画になります。(『北の桜守』には)新しい試みがいろいろとあって、出来上がった作品を見て新鮮に感じました。」と話しました。

岸部さんは「俳優としてはとても幸せな仕事だったなと思います。」と吉永さんとの共演、滝田監督作品に参加した感想を述べました。今回初めて吉永さんと一緒に映画を作ったという滝田監督は「クランクインの1年以上前から(吉永さんと一緒に)網走や樺太に取材旅行をしました。」と撮影前から吉永さんと過ごした時間を振り返っていました。

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『北の桜守』への想いを語る

映画出演120本という節目に『北の桜守』への出演を決めた理由を聞かれた吉永さんは「前二作で北海道の魅力にとりつかれ、また北海道で仕事してみたいと思っていました。何年か前に初めて流氷を見てとても感動したので、滝田監督に映画の中に入れることができたら素敵ですねとお話しして、2年前に一緒に見に行って、撮ることができました。」と北海道を舞台にした作品への特別な想いを語りました。また北海道での撮影を振り返り、稚内の宗谷の海で行われた堺雅人さんと大切なシーンについて「リハーサルをした日は信じられないくらい冷たい風が吹いていて、これは死んでじゃうんじゃないかしらと思ったんですね。その翌々日に撮影をしたのですが、その日は太陽も出ていて風もあまりなく本当に私たちに味方をしてくれたという思いで海の中に入りました。」と教えてくれました。

吉永さんにとって節目となる作品のメガホンをとることになった滝田監督は嬉しい気持ちと共に「吉永さんが持っている強い華とオーラをちゃんと受け止めて、その輝きをスクリーンに残せるようにと思って撮りました。」と答えました。

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吉永さん演じる“強い母”

吉永さんはてつという役について「これほど強い母親の役は初めてでした。肉布団を着込んでたくましい母親像を作らなければと思って、(子供に対して)厳しく叱れるような雰囲気を出したいと思ってやりました。」とこれまでとは異なるキャラクターを演じるにあたって工夫したことを話しました。吉永さんにとって節目の作品であったことについては「120本目ではあるのですが、撮影の現場が和やかで、監督も楽しい方なので肩に力が入らずに演じることができたと思っています。他の俳優さん達が素晴らしいので、あまり悩まずに大自然の中に立っていれば、私は何もしなくても大丈夫という感じでした。」と撮影現場での様子を教えてくれました。

岸部さんは自分の母親と吉永さん演じるてつさんが重なって見えたと話し「その時代を生き抜いたという意味では共通しているので、小さい頃自分が見ていた頃の母は強かったということを自覚しました。」と語りました。

滝田監督は撮影を振り返り「吉永さんといろいろな俳優さんとのぶつかり合いが面白かったです。」と話し、ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが演出を担当した舞台パートを交えたことについて「(樺太からの)引き上げのところを舞台を使って抽象化することでお客さんの中にすっと入るように印象付けることができたと思いました。」と教えてくれました。「1人の母がどういう風に生きて、どういう風に老いていくのか、今、一番大切な問題をあの時代を通して描くことができたと思います。」と作品のテーマについて話しました。

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息子役を演じた堺雅人さんについて

10数年ぶりに再会する成長したてつの息子・修二郎を演じた堺雅人さんについて吉永さんは「堺さんは秀才。いろんなことをきちんと調べて演技プランを練って、その通りやって私たち共演者を関心させるような人です。ラストシーンではこんな表情されるんだと思わず引き込まれました。」と話し、2015年に公開された映画『母と暮らせば』で息子役を演じた二宮和也さんについて「二宮さんはフェアリーで天才ですね。」と当時の発言を引き合いに出しながら答えました。

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抽選会や花束贈呈も行われた舞台挨拶

名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われた舞台挨拶では満員のお客さんを前に感無量だと嬉しい表情をみせた吉永さんは「昨年の2月16日にクランクインしまして、網走の流氷が押し寄せた岸壁で撮影をしました。とてもとても寒かったのですが、美しい流氷に身が引き締まるような思いでした。6月には美しい緑の季節の稚内で(撮影をして)、とっても美味しいものをたくさんいただきました。」と撮影を紹介しました。また樺太へ取材に行かれたことについて「空の青さとか白樺林の美しさ、73年前に思いを馳せて感無量になりました。今もまだ日本人の方が故国に帰れないでいらっしゃるということをうかがって、何人かお会いしてその時の体験を話してくださり、今は幸せですと語っておられたのが印象に残っております。」と話していました。

映画の音楽を担当した小椋佳さんが作詞作曲をつとめた主題歌「花、闌(たけなわ)の時」も収録されている映画「北の桜守」オリジナルサウンドトラックやこの日に発売されたばかりの吉永小百合さんの著書「私が愛した映画たち」が当たる抽選会が行われました。

中日本ハイウェイエンジニアリング名古屋株式会社の方から吉永さん、岸部さん、滝田監督に花束が贈られ、マスコミ向けのフォトセッションも行われました。

舞台挨拶の終わりには滝田監督から「この映画は終戦から1,970年代前半の時代を描いていますが、今見ても家族や人が老いていくという大切なテーマが皆さんに共感していただけると思います。吉永小百合さんのてつ役を自分のお母様だと思って、自分に置き換えてご覧いただくと楽しめるのではないかと思います。」と作品に込めた熱い想いが伝えられました。

岸部さんは「自分が通ってきた人生で出会った両親や子供たちのことを思い出してしまうような映画だと思います。それぞれに届くものがあると確信していますのでいろいろな人に薦めていただければと思います。」と話しました。

吉永さんは「中学2年生の時に初めて映画に出ました。それから長い長い年月の間に120本の映画に出演しております。『北の桜守』という作品で滝田監督、岸部さんとご一緒して、楽しい現場で素敵な役をやらせていただいて、たくさんの方にこの映画を観ていただきたいです。」と締めくくりました。

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作品概要

映画『北の桜守』

3月10日(土)より109シネマズ名古屋、ミッドランドスクエアシネマほかで公開

出演:吉永小百合 堺雅人 篠原涼子 佐藤浩市 阿部 寛 高島礼子 中村雅俊 笑福亭鶴瓶 岸部一徳

監督:滝田洋二郎

脚本:那須真知子

舞台演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ

音楽:小椋 佳 星 勝

公式サイト:www.kitanosakuramori.jp/

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