中島みゆきさん取材歴30年以上の音楽評論家の田家秀樹さん『中島みゆき「夜会工場VOL.2」劇場版』名古屋でインタビュー
5月3日に劇場公開される『中島みゆき「夜会工場VOL.2」劇場版』は中島みゆきさんがライフワークとして1989年から続けている音楽舞台をスクリーンで上映するものです。「夜会工場」は東京でのみ開催されている「夜会」の雰囲気を味わってもらうために過去の「夜会」19作品の名場面をダイジェスト・コンサートにしたもので、2017年11月から2018年2月まで東京、大阪、愛知、福岡の4都市にて計18回行われました。劇場版では全29曲と2編のポエムが全国の映画館の大スクリーンで楽しめます。
30年以上に渡って中島みゆきさんを取材し、「夜会」の全公演を見ている音楽評論家の田家秀樹さんが名古屋でインタビューに応じてくれました。田家さんが語る『中島みゆき「夜会工場VOL.2」劇場版』の魅力や楽しみ方をご紹介します。(取材日:2019年3月29日)
アーティスト中島みゆきによる世界に例のない舞台「夜会」
名古屋でインタビューに応じてくれた音楽評論家の田家秀樹さんは「夜会」のスタートについて1989年に渋谷にBunkamuraが開業した際、通常のコンサート会場ではできない演出が可能であったため「(中島みゆきさんは)普通のコンサートではないことがやりたい、面白いことができそうね、といって始まりました」と話していました。今年30周年を迎える「夜会」について田家さんは「原作、脚本を書き、作詞も作曲もして、歌も歌って、なおかつ演出もして、美術や照明も全部が彼女の頭の中にある、(「夜会」は)一人のアーティストがあらゆる角度から舞台を表現するという世界に例のないことですね」と特別なステージであることを熱弁しました。
「夜会工場VOL.2」は過去の「夜会」19作品の名場面をダイジェスト・コンサートにしたもので、披露されたのは全29曲と2編のポエムですが、この中に、いわゆる“中島みゆきのヒット曲”はありません。「夜会」はヒット曲やCDリリースされた楽曲を披露する一般的なコンサートとは異なり、音楽劇であり、劇のセリフや挿入歌となる書き下ろしの新曲が場合によっては50曲近く披露されてきました。田家さんは「歌う人、演技する人、舞台を作る人、あらゆる面の表現者・中島みゆきがここにいます。何重人格なんだろうと思うほど多彩な魅力を持った人です」と中島さんの魅力を語りました。「それぞれの曲にセットがあったり、衣装があったり、ステージがあったり、一つ一つの曲がこんなに世界をもっている、世界が変わるコンサートを見たことないって戸惑われると思います」と一般的なコンサートとは異なるステージ「夜会」について解説しました。
東京でしか開催されていなかった「夜会」がどういうものかをまとめてみようということから始まったのが「夜会工場Vol.1」で、田家さんは「オペラのガラコンサートを参考に名場面を集めてきて一本コンサートにしたものでした」と話しました。「(過去に上演された「夜会」の)それぞれの内容を説明しようとしたところ、本人もうまくまとまらなかったというのがあって映画にしなかったんです」と明かしました。「夜会工場VOL.2」では「夜会」を制作している”工場”の現場を舞台に、中島みゆきさん本人が「夜会」の名場面をナビゲートしていく形で進行していきます。田家さんは「これまで映像化されていない実験的な「ウインター・ガーデン」の曲が4曲も含まれていて、どんなことをしたのか残したかったという気持ちもあったのではないか」と話し、満を持して映像化・劇場版への展開が決定したようです。
スポンサーリンク尽きることがない中島みゆきの創造力
田家さんはこれまでに中島さんにインタビューをする中で「創作のエネルギーの源は尽きることがないんですか?」と聞いたことがあると教えてくれました。その時の様子を「(みゆきさんは)あざ笑うように『一つの事終わるとやり残したこと、やり足りなかったこと、次にやりたいこと、色々できてきて一つのことが終わると やりたいことが5倍になる』と言っていました」と振り返り、「やったことのないことをやってみようという積み重ねでこうなっているんだと思います」「どんどん求めるものは高くなっている」とアーティスト・中島みゆきの魅力を語りました。
「夜会工場VOL.2」には中島さんだけでなく、中村中さんや石田匠さんも出演しています。中村さん、石田さんは2014年に上演された夜会VOL.18「橋の下のアルカディア」から参加していて、田家さんは「すごく手応えがあり、2人が出てない回の(過去の)夜会の曲を歌ってもらったらどうなるのか(という考えから)あたかも共演みたいな形で役柄をもって歌うという流れができました」と話しました。過去の「夜会」で中島さんが演じていた役を中村さんが演じ、歌うことでさらなる表現の広がりがみられ、見どころのひとつとなっています。
また、舞台に組み込まれたセットに入っているミュージシャンが客席から見えるようになっていて、田家さんは「(夜会のコンダクターをつとめる)瀬尾一三さんがステージに出ているです。これは初めてなんです」と興奮した様子で教えてくれました。瀬尾さんは演者のタイミングにあわせて生演奏の夜会の開催になくてはならない存在です。「二時間半立ちっぱなしですから、ものすごいダイエットをてお酒をやめて、ほんとうにすっきりですよ!」と普段は目にすることができない瀬尾さんの姿がスクリーンで観られることを話してくれました。
田家さんは『中島みゆき「夜会工場VOL.2」劇場版』を「夜会の入口でありながら、ひとつの最終形でしょう」と言い「考えないで観てくださいって自信ですよ。そこまで言えるんです」と中島さんの発言を紹介しました。「よく聞いていてくださいとか全神経を集中していてくださいっていうのが普通なのに、ぼーっと観ていてとは言えませんよ。これは画期的だと思います」と絶賛しました。
作品概要
5月3日(金・祝)全国ロードショー
公式サイト:yakaikojo-movie.jp
配給:ローソンエンタテインメント
協力:ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス
©︎ 2018 Yamaha Music Entertainment Holdings, Inc.
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