名古屋でも大盛況!全国拡大公開で話題沸騰の映画『侍タイムスリッパー』安田淳一監督と沙倉ゆうのさんが舞台挨拶に登壇
9月13日から全国拡大公開中の映画『侍タイムスリッパー』は幕末の侍が現代の時代劇の撮影所にタイムスリップし、「斬られ役」として生きていく姿を描いたコメディ作品です。8月17日に東京の池袋シネマ・ロサ1館だけで上映が始まった自主制作映画ですが、設定やストーリーの面白さや時代劇愛、見応えのある殺陣など、見どころの多さに話題が集まり、1ヶ月経たずに全国のシネコンを含む120館以上での公開が決まって全国に広がっています。
全国拡大公開を記念して、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶が行われ、安田淳一監督と沙倉ゆうのさんが登壇しました。満席の観客からの質問にも答え、登壇した2人がスクリーンを出る鑑賞客をお見送りをするなどした様子をご紹介します。(取材日:2024年9月16日)
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助監督役の沙倉ゆうのさん 軽いノリで始まったリアル助監督 家族の協力も
映画『侍タイムスリッパー』は8月17日に東京の池袋シネマ・ロサ1館だけで上映が始まった自主制作映画。幕末の侍が現代の時代劇の撮影所にタイムスリップし、「斬られ役」として生きていく姿を描いたコメディ作品で、設定やストーリーの面白さや時代劇愛、見応えのある殺陣など、見どころの多さに話題が集まっています。全国拡大公開した週末3連休の最終日、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶が行われました。上映後のスクリーン前に監督・脚本をつとめた安田淳一監督と助監督役の沙倉ゆうのさんが登場し、満員の客席から大きな拍手が送られました。
沙倉さんは「ご覧いただき、ありがとうございました!」と可愛らしい声で挨拶、安田監督も観客に感謝の気持ちを伝えながら「京都で映画とお米を作っています」と簡単に自己紹介しました。東京で1館だけの上映から1ヶ月で、全国120館以上での上映が決まっている現状について安田監督は「今の状況を何が何だかわからない。ホップ・ステップ・宇宙!という感じで、ポカーンとしています」と独特な表現で驚きの心境を言葉にしました。映画『侍タイムスリッパー』は安田監督にとって3作目となる長編映画です。時代劇の企画コンペに応募するにあたって「タイムスリップしてきた侍が時代劇の撮影所に着地して“斬られ役”になっていくというプロットが面白くて、30分くらいで原型ができました」と本作の始まりについて話してくれました。コンペでは落選してしまったものの「この企画を他の人に撮られたら悔しいので、右往左往して作り上げました」と一般的に制作費用が高額になると言われている時代劇を自主映画で制作した理由を語りました。
本作の制作にあたり東映京都撮影所に相談に行ったことを振り返り「脚本を気に入ってくれて、良心的な価格で、人情を見せてくれて、完成しました」と大きな協力を得られたことを口にしました。自主映画のためスタッフの人数が10人程と少ないばかりか、普段は映画の仕事をしていない人が半分ほどだったそうで、沙倉さんは「助監督役をやることは決まっていて、本当に助監督をやったら面白いと軽いノリで始まったんですが、私が助監督、時代劇小道具、制作をやらないと回らなくて」と主要キャストでありながら助監督も務めていた上に「私の母も手伝ってくれました」と家族にも協力してもらっていたことを明かしました。安田監督は「撮影が終わってから100本ほどある刀を準備して残業してくれて、翌朝にはまた撮影で」と、かなり過酷なスケジュールで映画作りに励んでいたことも伝えました。
沙倉さんは「現場でみっちり助監督している中で、(出演する)シーンになると呼ばれるんです。最後のクライマックスのシーンも、直前まで刀を調整したりしていて、私の一番のシーンなのにあそこだけは気持ちの切り替えが大変でした」と大きな苦労があったことも話し「(主演の山口)馬木也さんが私のことをかばってくれました」と山口さんの優しさを語り、俳優と助監督の二刀流の大変さを伝えました。
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日本一の斬られ役・福本清三さんへの献辞 一番のオマージュは主人公の性格
映画『侍タイムスリッパー』の見どころの一つである時代劇の殺陣は東映の時代劇を支えてきた「東映剣会」によるもので、安田監督は「殺陣師もプロで、斬られ役の東映剣会の皆さんもプロで、20手~30手の1分以内の殺陣は30分ほどでさっと覚えて、すぐに撮影できました。立ち位置の変更があっても、対応してくれてプロの仕事だなと思いました」と振り返りました。観客からの質問で、映画のラストに日本一の斬られ役として活躍した時代劇俳優で、2021年1月に亡くなった福本清三さんへの献辞があることについて聞かれると「福本さんのことは大好きで、色々なオマージュが散りばめられているんですが、一番は主人公の性格です。タイムスリップしてきたのに、そのことを誰にも言わないのは自分のことで人を煩わせない、大騒ぎしないのは、福本さんの性格をキャラクターに取り入れているからです」と答えました。福本さんは安田監督の2作目の映画『ごはん』に主人公を助けてくれる百姓一筋の農夫役で出演しています。
映画『ごはん』で主人公を演じた沙倉さんも殺陣を頑張ったシーンがあるのですが、現在全国拡大公開中の本編には入っていないそうです。沙倉さんは「京都でのイベント上映で上映して好評だったので絶対入れてほしかったけど、一番に切られてしまって」と悔しそうに安田監督に視線を送りました。「鳥取砂丘や中之島公会堂など3ケ所でしっかりと撮影もして面白いシーンになっているのですが、(本編から)落とすとわかっているのに、面白いから撮りたくて、撮り直もしたり」と、安田監督は自主映画ならではの撮りたいものを撮るを貫いたことを打ち明けました。件のシーンが入ったデラックス版は神奈川県川崎市のチネチッタだけで上映中です。
舞台挨拶後半は観客からの質問に応じ、ある観客が「笑いと緊張感が絶妙なバランスで素晴らしかったです!」と感想を伝え、クライマックスのシーンで映画監督が「止めるな!」と言うことについて「カメラを止めるな!」を意識していたのか聞かれると「ご名答!脚本を書いた時は「キャメラを止めるな!」と書いてました」と安田監督。脚本執筆時は『カメラを止めるな!』のヒットが社会現象になっていた頃だったそうで、強く意識していたことを明かしました。
安田監督は東映京都撮影所の俳優部の方々のすばらしさを伝え「こちらから細かい演出をしなくても、自分の着た衣装や天候、状況を踏まえて自ずから動いてくださる東映京都俳優部の演技の職人としての見せどころだと思うので、注目してください」と観客に伝え、沙倉さんは「昭和にタイムスリップした気分で、映画をみんなで楽しんでほしいですね」と語りかけました。観客と一緒に記念撮影をしたり、舞台挨拶が終了すると安田監督と沙倉さんは会場の出口に立ってお客様のお見送りを行い、たくさんの観客と交流していました。
「往年の立ち回りの美しさやカッコよさ、刀の重さ、腰の低さを入れたい」
映画『侍タイムスリッパー』の主人公で現代にタイムスリップした幕末の会津藩士を演じた山口馬木也さんと主人公と対することになる時代劇スター俳優役の冨家ノリマサさんについて舞台挨拶では「脚本に入れ込むあまり、しょっちゅう撮影を止めるんですよ」と話していた安田監督。舞台挨拶後のインタビューで山口さんと冨家さんのキャスティングについて聞くと「実は、山口さんには最初、冨家さんが演じた時代劇スター役をお願いする予定でした」と話しました。主人公役が見つからずにいたところ、ある番組に出演している冨家さんがスター俳優役にピッタリだと感じ、山口さんを主人公役にするというパズルがはまったことを明かしました。安田監督は「途中から山口さんではなく、キャラクター本人と喋っている気分でした」と撮影中の山口さんの様子を話し「メソッドが完璧で、驚くシーンで5回のテイクで毎回さぶいぼ(鳥肌)が立っていたり、ケーキのシーンも毎回泣いてくれて・・」と称賛していました。
また、昔からテレビで見る時代劇が好きだったという安田監督は「時代劇には困っている人がいたら助ける姿勢、思いやりが濃く描かれています。時代劇のチャンバラだけじゃない魅力を描きたいと思っていました」と時代劇への思い入れを語り「今どきのアクション剣劇ではなく、往年の立ち回りの美しさやカッコよさ、刀の重さ、腰の低さを入れたいなと思っていました」とこだわった点を教えてくれました。映画『侍タイムスリッパー』の殺陣を担当した東映剣会の清家一斗さんについて「東映剣会の方は簡単な殺陣でも殺陣師がいないとやってくれなくて」と話し、山口さんも安田監督に「清家さんの確認は取っていますか?」と聞いてくることもあり、東映剣会の皆さんや俳優陣からの信頼が厚かったことを振り返りました。時代劇が初めてだった安田監督は無茶なリクエストをしてしまっていたこともあったようですが、東映京都撮影所、東映剣会、俳優たちは監督とぶつかり合いながらも、面白い脚本に魅せられて、良い作品にしようと力の限りを尽くしていたことが伝わってきました。
作品概要
9月13日より全国拡大公開
愛知県内の上映館:ミッドランドスクエアシネマ(愛知県名古屋市)9/13~、センチュリーシネマ(愛知県名古屋市)9/13~、MOVIX三好(愛知県みよし市)9/13~、TOHOシネマズ赤池(愛知県日進市)9/13~、刈谷日劇(愛知県刈谷市)9/13~、ユナイテッド・シネマ豊橋18(愛知県豊橋市)9/13~、イオンシネマ大高(愛知県名古屋市) 9/27~、イオンシネマ名古屋茶屋(愛知県名古屋市) 9/27~、イオンシネマ長久手(愛知県長久手市) 9/27~
※最新の上映スケジュール、詳細スケジュールは各映画館のホームページ等をご確認ください。
監督・脚本・撮影:安田淳一
殺陣:清家一斗 (東映剣会)
床山:川田政史 (東和美粧)
時代劇衣装:古賀博隆 片山郁江 (東映京都撮影所衣装部)
照明:土居欣也 はのひろし
出演:山口馬木也 冨家ノリマサ 沙倉ゆうの 峰蘭太郎 福田善晴 紅 壱子 庄野崎謙 田村ツトム
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