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2024-04-23

琵琶湖に浮かぶ竹生島で映画のヒットを祈願したエピソードを披露 福士蒼汰さん、松本まりかさん、大森立嗣監督が登壇 映画『湖の女たち』名古屋先行上映会


 

5月17日(金)より公開となる映画『湖の女たち』は琵琶湖の近くにある介護施設で老人が殺害された事件をきっかけに、刑事と容疑者がインモラルな関係になっていき、事件を取材する記者によって過去の闇が引き摺り出されていく、人間の本質を問いかけるヒューマンミステリーで、福士蒼汰さんと松本まりかさんがW主演しています。本作の原作は吉田修一さんの同名小説で、大森立嗣さんが監督・脚本をつとめています。

公開まで約1ヶ月となったこの日、名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで舞台挨拶付き先行上映会が行われ、上映前の舞台挨拶に福士蒼汰さん、松本まりかさん、大森立嗣監督が登壇しました。福士さんが完成した映画を観て驚いた自分の表情について、松本さんが本作を通じて学んだこと、滋賀県で撮影期間中のエピソードなども披露したり、名古屋の印象なども話しました。約30分間に渡って和気あいあい、リラックスした雰囲気で繰り広げられた舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2024年4月22日)

映画『さよなら渓谷』から10年 大森立嗣監督と吉田修一さんが再タッグ

映画『湖の女たち』は『パレード』『悪人』『横道世之介』『怒り』など数多くの小説が映画化されてきたベストセラー作家、吉田修一さんによる同名小説が原作で、『MOTHER マザー』『星の子』などの大森立嗣さんが監督・脚本をつとめています。2人のタッグは2013年公開の映画『さよなら渓谷』以来で、第35回モスクワ国際映画祭で日本映画48年ぶりとなる審査員特別賞など、数々の賞に輝いたことでも話題となりました。

『さよなら渓谷』と『湖の女たち』は“渓谷と湖”という水に関連する場所を舞台にしている点や説明の難しい男女の関係を描いている点で似た印象を受けます。『湖の女たち』ではタイトルに“女たち”とあるように、主人公だけでなくそれぞれに悩みや問題を抱えた様々な立場の女性たちが登場し、深みのある物語となっています。

映画『湖の女たち』は琵琶湖近くの介護施設で100歳の老人が殺害され、容疑者となった介護施設職員の女性・佳代を松本まりかさんが演じ、彼女を取り調べ、歪んだ支配欲を抱いていく刑事・圭介を福士蒼汰さんが演じています。福地桃子さんが演じる事件を追う週刊誌記者によって、警察署が隠蔽してきたある薬害事件との関連が浮かび上がり、想像を超えた過去の闇が引き摺り出されるヒューマンミステリーです。

W主演をつとめている福士さんと松本さんはもちろんですが、福士さん演じる刑事を精神的に追い詰める上司刑事役に浅野忠信さん、もう一人の容疑者として厳しい取り調べを受ける別の介護施設職員役に財前直見さん、ある過去を知る重要な人物を演じる三田佳子さんなど、実力派の俳優たちの素晴らしいお芝居も見どころの一つになっています。

福士蒼汰さん「こんなにも嫌らしい、人を追い詰める顔をしていることにビックリしました」

名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われた先行上映会の上映前舞台挨拶に福士蒼汰さん、松本まりかさん、大森立嗣監督が登壇し、満席の客席から大きな拍手で迎えられました。福士さんは「名古屋の皆さんにこの映画を体感してもらえるのが嬉しいです」と喜びの気持ちを口にしました。続いて松本さんは「皆さんがどういった感想を持たれるのか、どういった感覚になるのか、とても興味を持っております」と挨拶し、鑑賞後に感想を呟いてほしいと伝えました。大森監督は「これは演技なのだろうか、こんなことしていいのだろうかと思うようなシーンもありますので楽しんでいただければ」と福士さんと松本さんのお芝居の見どころに含みを持たせました。

本作の撮影で新たに発見したことを聞かれた福士さんはこれまで出演してきたエンターテインメント作品では「頭で考えて演じていた」と話し、本作では大森監督から「脳みそを使わずに脊髄で反射してお芝居ができるところに行ってほしい」と言われたことを明かし「完成した映画を観たときに、こんなにも嫌らしい、嫌な顔、人を追い詰める顔をしていることにビックリしました」と自分自身の表情に驚いたことを教えてくれました。

松本さんは介護士役を演じるにあたり、介護士の仕事について座学で多くのことを学んだそうで「利用者さんにありがとうと言ってもらえることで、そこに自分の存在意義を感じられる素晴らしい職業だと思いました」と語り「介護職に対する見方が変わったのは、私の人生において、ありがたい経験で発見だったと思いました」と話しました。

福士蒼汰さんについて「勘が良い」「撮影中にもどんどん成長」と大森立嗣監督

本作のキャスティングの決め手について聞かれた大森監督は福士さんについて「頭が良いなっていうことは何となくわかる」と前置きし「頭が良いからこそ、きっと今のままでは良くないと思っているはず」と福士さんの胸中を推察し、本作に興味を持ってくれるのではないかと感じたことを明かしました。大森監督は福士さんに初めて会った時の印象を「すごく信じてくれているなと感じたので、僕はとにかく信じ返そうというところから始まりました」と話し、一方の福士さんも「大森さんのスタンスが自分にとって心地よくて、この人のものの捉え方、考え方は信頼してもいいんだろうなと思って、この人についていこうとシンプルに思ったんです」と答え、互いに信頼し合う関係性が生まれていたことを話しました。

さらに大森監督は福士さんに対して「勘が良いのでしょう。撮影中にもどんどん成長していって、別人のようでした」と撮影中の変化を伝えると、福士さんは「どんどん成長していってたっていうのは嬉しさもあるんですが不甲斐なさも同時にあって、最初から提示できたらよかったとも思います」と撮影を振り返りました。会話の端々から大森監督と福士さんの間に芽生えた深い関係性が窺え、照れながらも互いに信頼し合っていることが伝わってきました。

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琵琶湖に浮かぶ竹生島で映画のヒットを祈願した福士蒼汰さん

滋賀県で撮影が行われた本作、撮影中にどこかに出かけたのかを聞かれた松本さんは「行っていません」と即答。「ずっと琵琶湖のほとりの小さな旅館に、皆さんとは別の宿に、ちょっと離れたところで、一人で悶々と、壁にぶち当たりながら、痛みを感じながら撮影に臨んでいました」と作品と役に向き合い続けていたことを明かしました。クランクインの1週間前まで愛知が舞台のドラマ「最高のオバハン 中島ハルコ」の撮影をしていた松本さんは「佳代が住んでいる静かな琵琶湖を自分に体感させないと到底できる作品じゃなかったので隔離方法を選びました」とストイックな撮影期間を過ごしていたと話しました。

福士さんは「最初はみんな泊まっているホテルが一緒だったんです。まりかさんがいなくなり、次に浅野(忠信)さんもいなくなり、結局、俺が1人になっちゃって」と笑いながら話しました。ホテルに1人になった福士さんも松本さんと同じように過ごしていたのかと思いきや「竹生島に行きました。神社があって、お皿を投げて鳥居の間に入ると願いが叶うというのをやりました」と気分転換もしていたことがわかると「そんな楽しいことしてたんだ~いいなぁ」と羨ましそうな様子の松本さん。竹生島には記者役の福地桃子さんやマネージャーさんも一緒に行ったそうで、福士さんが「『湖の女たち』と書いたお皿は鳥居の間に入りましたよ!」と報告すると大森監督と松本さんも嬉しそうな表情を見せ、会場から拍手が起きました。

竹生島は琵琶湖に浮かぶ小さな島で、映画『湖の女たち』のロケ地である滋賀県高島市の今津港から観光船で約30分ほどで行くことができます。都久夫須麻神社・竜神拝所での「かわらけ投げ」は竹生島に行ったらぜひやってみてほしいです。

竜神拝所から鳥居までは少し距離があり、かわらけ(小さなお皿のような土器)を投げて鳥居をくぐらせるのはなかなか難しいですよ。成功させた福士さん、流石です!(↓↑竹生島の写真は記者が行った際に撮影したものです)

松本まりかさんがCBCテレビ「チャント!」生出演の感想「幸せな気持ちになりました」

舞台挨拶も終盤になり、名古屋の印象を聞かれた松本さんは「美味しい!」と一言。福士さんは「名古屋に高校からの友人が住んでいて遊びに来た事があって、その時にひつまぶしを食べに行きました。美味しかった~」と話すと松本さんも「美味しいよね~食べたい~」と呼応していました。また名古屋には作品の度に来ている大森監督が「名古屋は好きですよ~」と言うと「どんなところが?」と福士さんが間髪入れずにMCのように聞き「駅前にシネマスコーレとここ(ミッドランドスクエアシネマ)があるというところが素晴らしい」と答えてくれました。

この日、福士さんと松本さんは舞台挨拶の前にCBCテレビの「チャント!」に生出演していて、松本さんは「報道フロアの各部屋を通るたびに、皆さんが総立ちで拍手で迎えてくださって、こんな出迎えを受けたことはなくて幸せな気持ちになりました」と名古屋の感想も語ってくれました。ぜひまた、名古屋に来てほしいですね。

松本まりかさん「演技だけでなく、どう生きるか、自分の人生において大事なことを学びました」

舞台挨拶の最後に松本さんは「並々ならぬ覚悟がないとここまで人を信頼する、信用するということができないということをこの作品で知ることができました」と語り、撮影後に松本さんも人を信じることを実践しているそうで「演技だけでなく、どう生きるか、自分の人生において大事なことを学びました」と話しました。「言語化が難しい作品ですけど、皆さんに感じ取っていただけると信じています。たっぷり、どっぷり、この映画に浸かっていただければと思います」と客席に向けて思いを伝えました。

福士さんは「人間の心の奥底を描いた作品だと思います」と言い、複雑で言葉で表すのが難しい作品かもしれないと言及し「僕たちが演じたキャラクターのその先を想像してみることで解決することがあるかもしれません」とこれから作品を観る観客に向けて語り掛けました。

最後に大森監督が福地桃子さん演じる女性記者について、原作では男性記者だったことを伝え「若くて世の中にまだ疑いがない記者の女性が事件に出会ったときに、心を純粋にグラグラと揺らしていくことが始まりになります」と話しました。映画の中での福士さんと松本さんが演じる2人と記者について、映画が観やすくなるヒントを話しながら「2人が最後に琵琶湖の沖へ旅立っていきますが、そこで戦っている姿はものすごく好きなシーンです」と伝えて舞台挨拶を締めくくりました。

作品概要

映画『湖の女たち』

5月17日(金)公開

キャスト:福士蒼汰 松本まりか 福地桃子 近藤芳正 平田満 根岸季衣 菅原大吉 土屋希乃 北香那 大後寿々花 川面千晶 呉城久美 穂志もえか 奥野瑛太 吉岡睦雄 信太昌之 鈴木晋介 長尾卓磨 伊藤佳範 岡本智札 泉拓磨 荒巻全紀 財前直見/三田佳子 浅野忠信

原作:吉田修一『湖の女たち』(新潮文庫刊) 監督・脚本:大森立嗣

製作幹事・配給:東京テアトル、ヨアケ

公式HP:thewomeninthelakes.jp

SNS: @thewomeninthelakes

©️2024 映画「湖の女たち」製作委員会


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