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2022-11-18

「大丈夫だよ!と伝えたい」「揺らいでいる人たちを描きたい」映画『ミューズは溺れない』淺雄望監督にインタビュー


 

11月19日(土)から25日(金)まで名古屋のシネマスコーレで公開となる映画『ミューズは溺れない』は美術部に所属する高校生たち、それぞれの悩みや葛藤を繊細かつ瑞々しく描き切った青春映画です。主人公・朔子を上原実矩さん、美術部のエース・西原を若杉凩さん、朔子の親友・栄美を森田想さんが演じています。第15回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門で弁慶グランプリをはじめ4冠に輝き、若杉さんが俳優賞を獲得、第22回TAMA NEW WAVEコンペティションでグランプリ、上原さんがベスト女優賞を獲得、さらに2022年度の「新藤兼人賞」最終選考監督10名(10作品)に選出されています。本作の監督・脚本・編集をつとめた淺雄望監督にリモートでインタビューを行いました。本作に込めた想いや名古屋・大阪・京都での公開直前の気持ち、本作を通して伝えたいことなどを語ってくれました。(取材日:2022年11月17日)

「揺らいでいる10代の子たちの話を描きたい」

映画『ミューズは溺れない』は思春期のもがき、アイデンティティのゆらぎ、創作をめぐる葛藤などを抱えながら、社会の海へと漕ぎ出そうとする高校生たちの最後の夏を瑞々しく鮮烈に描き切った青春映画です。美術部に所属し、創作に悩み、人間関係に葛藤しながらも前に進もうとする主人公・朔子、「溺れる朔子」の絵を描いて絵画コンクールで受賞し、朔子をモデルに次作を描こうとする西原、ある出来事から朔子と仲たがいしてしまう朔子の親友・栄美。それぞれに抱えている悩みや葛藤、秘めた想い、揺れ動く心が繊細に描かれていて、観る人の心に残る作品です。

2012年頃から「見る/見られる」「セクシュアリティ」というテーマで脚本を書き進めてきた淺雄監督。2018年頃に立教大学大学院在学中より師事していた万田邦敏監督に形になった脚本を読んでもらったと話し、「『面白いから今すぐに撮ったほうがいい』と言われ、映画を撮る覚悟が決まりました」と本作の製作がスタートしたことを教えてくれました。

本作で描いているセクシュアリティについて淺雄監督は「(LGBTQの中でも)クエスチョニング(Q)、まだ自分のセクシャリティがわからない状態の子たちを描こうと考えていて、この映画では揺らいでいる10代の子たちの話を描きたいと思いました」と話しました。さらに「自分で自分のことがわからない状態ってものすごく苦しいと思うんですよ」と話し「グラデーションで良い、揺らぎ続けて良いと思っています」とセクシュアリティに対する持論も語ってくれました。

田辺・弁慶映画祭とTAMA NEW WAVEで6冠獲得「記念受験でもいいから」

映画『ミューズは溺れない』は第15回田辺・弁慶映画祭のコンペティション部門で弁慶グランプリ、観客賞、フィルミネーション賞、若杉さんが俳優賞を獲得、第22回TAMA NEW WAVEコンペティションでグランプリ、上原さんがベスト女優賞を獲得、さらに2022年度の「新藤兼人賞」最終選考監督10名(10作品)に選出されています。高い評価を受けている現状について淺雄監督は「いまだに信じられていないです」と全く予想もしていなかったそうで、「役者さん方がベスト女優賞や俳優賞がもらえたことは嬉しさを飛び越えて夢のような気持ちです」と話しました。

映画の完成が近づいて「一人でも多くの人に観てもらうチャンスが映画祭だと思って、記念受験でもいいから出したい」と考えて、映画祭にあわせて映画を完成させたことを教えてくれました。また映画祭に出品し、多くの方に観てもらえたことで「私が個人的に好きだと思っていたけど、この感覚は間違っていなかった。よかったですよって言ってもらえて、やっといい映画なんだなと実感できた」と嬉しそうに話してくれました。

「いつかここで自分の映画が上映されたら」シネマスコーレで上映

映画『ミューズは溺れない』は11月19日(土)から25日(金)まで名古屋のシネマスコーレで上映されます。若杉凩さんと朔子の義母役の広澤草さんが愛知県出身で地元での上映を喜んでいるそうで、淺雄監督は「今後、2人と一緒に舞台挨拶ができる機会があれば」と話していました。淺雄監督はコロナ前に仕事で名古屋に来るたびにシネマスコーレに立ち寄っていたそうで「いつかここで自分の映画が上映されたらと夢見ていました」と言い、11月20日(日)の舞台挨拶をとても楽しみにしているということでした。

『ミューズは溺れない』舞台挨拶 11月20日(日)17:40の回にて

10代の頃に生きることが苦しく、ネガティブな気持ちを抱えていたという淺雄監督は映画と出会い、人間関係が広がっていったことを教えてくれました。「自分のことを否定して人生を悲観していたけれど、生きてみたらこんなに明るい未来があったんだと映画を通して知ることができました。若い人たちに“大丈夫だよ!”と伝えられたらと思って、この映画を作りました」と映画に込めた想いを語りました。

映画祭や東京・大阪での上映を振り返り「若い人だけでなくて、親世代やいろいろな立場の方々が反応してくださって、いい作品だねと言ってもらえたことが、私の人生に光を指してくれて、幸せな気持ちにさせてもらっています」と映画を観た人との交流が力になっているそうで「誰かひとりでもこの映画を観て、明日も一日、生きてみるかと思ってもらえたら、やってきたことが全部、報われると思います」と名古屋・京都・大阪での公開直前の気持ちを語ってくれました。

シネマスコーレ(名駅)

『ミューズは溺れない』上映時間

11月19日(土)18:00~

11月20日(日)17:40~※淺雄望監督舞台挨拶

11月21日(月)~25日(金)17:40~

Address:名古屋市中村区椿町8-12 アートビル1階

名古屋市中村区椿町8-12

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作品概要

映画『ミューズは溺れない』

<公開情報>

●大阪:シネ・ヌーヴォ《11/19(土)〜》

●京都:出町座《11/19(土)〜11/24(木)》

●名古屋:シネマスコーレ《11/19(土)〜11/25(金)》

●栃木:小山シネマロブレ《12/16(金)~12/22(木)》

●シネマ尾道《12/24(土)〜12/30(金)》

●横川シネマ≪12/23(金)〜1/5(木) ※31日休映≫

<STORY>

美術部に所属する朔子は、船のスケッチに苦戦している最中に誤って海に転落。それを目撃した西原が「溺れる朔子」の絵を描いて絵画コンクールで受賞、朔子の絵は学校に飾られるハメに。さらに新聞記者に取材された西原は「次回作のモデルを朔子にする」と勝手に発表。朔子は、悔しさから絵の道を諦め、代わりに壊れた鳩時計などを使って造形物の創作に挑戦するが、再婚した父と臨月の義母、そして親友の栄美と仲違いしてしまう。引っ越しと自宅の取り壊し工事が迫る中、美術室で向き合う朔子と西原。“できること”を見つけられないことに焦る朔子は、「なぜ自分をモデルに選んだのか?」と西原に疑問をぶつける…。

出演:上原実矩 若杉凩 森田想 広澤草 新海ひろ子 渚まな美 桐島コルグ 佐久間祥朗 奥田智美 菊池正和 河野孝則・川瀬陽太

監督・脚本・編集:淺雄望

企画・制作・プロデュース:カブフィルム

配給宣伝:カブフィルム

公式ホームページ:https://www.a-muse-never-drowns.com/

|2021年|82分|16:9|カラー

(C)カブフィルム


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