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2021-10-13

実はラーメンには興味がなかった?! 映画『RAMEN FEVER』 小林真里監督、名古屋でインタビュー


 

10月23日(土)に名古屋シネマテークで公開となる映画『RAMEN FEVER』は、日本の国民食の「ラーメン」の世界的な大熱狂(フィーバー)ぶりと和食麺料理「ラーメン」の奥深い魅力とエッセンスを検証しながら、世界的なラーメン人気を支えてワールドワイドな活躍を見せる中村比呂人(ひろと)さんと中村栄利(しげとし)さん兄弟の情熱とあつい生き様に焦点をあてた、胃袋と魂を激しく揺さぶるドキュメンタリーです。

映画の公開を記念して、三重県出身の小林真里監督が名古屋でインタビューに応えてくれました。監督の経歴、職人へのリスペクト、撮影秘話などを話してくれました。(取材日:2021年9月22日)

ラーメンを愛する第一人者たちの言葉に注目 職人はロック魂をもっている?

映画『RAMEN FEVER』はラーメンブームを牽引する中村栄利さん・中村比呂人さん兄弟の情熱的な生き様と、著名な料理人や批評家たちがラーメンについて語る言葉から、日本の麺料理“ラーメン”の世界的フィーバーの現象を捉えた作品です。

「中村屋」開業から国内のラーメンブームを牽引したのち、世界のラーメン伝道師として活躍するニューヨークの名店「NAKAMURAYA」の天才シェフ:中村栄利さんと、柚子塩ラーメンでおなじみ、世界進出も目覚しい「AFURI」の代表取締役:中村比呂人さん兄弟が出演。加えて日本のトップシェフ「NARISAWA」の成澤由浩さん、世界的な名声を誇るイタリアンシェフの山田宏巳さん、福島の伝説的な名店「とら食堂」店主の竹井和之さん、ドキュメンタリー映画『次郎は鮨の夢を見る』監督のデビット・ゲルブさんが登場します。料理人(職人)としての哲学、料理へのこだわりや情熱、厨房の舞台裏、ラーメンに魅了される姿が映し出され、それぞれの第一人者が語る言葉が見所のひとつになっています。

小林監督に、元々ラーメンが好きだったのか尋ねると「ラーメンにまったく興味がありませんでした」と意外な答えが返ってきました!「数年前にNYのイースト・ヴィレッジを歩いていたとき、ラーメン店が増えていて街の風景が変わっていたので驚いたんです。調べてみると、世界的にラーメン人気が高まっていて“現象”になっていることがわかりまして…その現象が起こった謎を映画にしたいと思いました」と製作の経緯を教えてくれました。ラーメンについては未開拓分野だったので、ラーメンに関わる人を探しに探して、中村比呂人さんにたどり着き、弟の栄利さん、「とら食堂」の竹井さんなどに繋がったと述べました。

そこで特に栄利さんと竹井さんが持つ、ラーメン職人としての固い意志・反骨心・開拓精神が「ロック」魂に通じると感じたそうです。作中には器に絵を描く職人、看板を彫る職人の手元をカメラで追うシーンがあり、職人に惹かれる監督の気持ちが画面越しに伝わってくるようです。裏話として「器のシーンは多治見の窯場で、看板作成のシーンは“赤福”の看板を作った作業場で撮影しました」と教えてくれました。

映画と音楽と人間を愛する小林真里監督!インタビューの名人が作る映画『RAMEN FEVER』

『RAMEN FEVER』の監督・脚本・撮影・編集・プロデューサーとマルチな活躍を見せたのは、三重県出身の小林真里(こばやしまさと)さんです。小林監督は「名古屋に友人がいたので、子どもの頃からちょくちょく遊びに来ていたんですよ」と名古屋との地縁を話しました。経歴について伺うと「大学進学で上京して、卒業後は映画の興行の仕事やライターの仕事をしていていました。でも音楽(ロック)にも同じくらいの興味があって、自分のレーベルを立ち上げたいと30歳のとき2年ほどアメリカに留学しました」と映画と音楽にかなりの熱量を注いだエピソードを教えてくれました。本作に登場するラーメンシェフ:中村栄利さんと留学にまつわる共通点があり、いっそう打ち解けたことも明かしてくれました。留学後(2006年)にライターの仕事を再開させ、さまざまな経験が基盤となって、今につながっていると語りました。そして「自分の作品だけでなく、自分が薦めたい映画を配給できるようにMK filmを立ち上げました。いい映画がたくさんあるんですよ」と今後の展望も明かしました。

本作では「インタビューした人の語りしか使いたくない」という小林監督の強いこだわりからナレーションは一切ありません。ほぼ初対面の人たちから、かなりディープに聞き出せなければ成立しない挑戦だったのでは、とお聞きすると、監督は飄々と「人と話すのが好きなんですよ」と人懐こい笑顔で答えました。「(本作でインタビューした)みなさんオープンな方々で…」と謙遜していましたが、このインタビューで見せる監督の自然体で相手を思いやる姿から、初対面でも思わず語ってしまうのも分かる温かな人柄が感じられました。本作ではラーメンの天才と呼ばれる中村比呂人さん・栄利さん兄弟のファミリーヒストリーが大きな柱として存在し、時には涙を交えて語るご家族の姿が胸に迫ります。中村家の真の姿をカメラに収められたのは、長年ライターとして多くの人と話し、相手に心を寄せてきた監督の凄みが発揮されたからこそではないでしょうか。

小林監督のこれまでの映画・音楽・人に対する愛情と、ラーメンに情熱を傾ける人々の想いが混ざり合った映画『RAMEN FEVER』。ミュージックビデオを観ているかのような軽快でおしゃれなシーン、ラーメンを視覚的に堪能できるシーン、ラーメンを愛する人たちの哲学、そして興味深い人間模様などさまざまな要素が盛り込まれ、ラーメンスープのように多層的な味わいがある映画です。観る人に「がんばろう」とエールを送ってくれる作品です。ぜひスクリーンでごらんください。

10月23日(土)公開初日舞台挨拶 小林真里監督が登壇!

映画『RAMEN FEVER』の名古屋シネマテークでの公開初日に小林真里監督の舞台挨拶が行われます。映画とあわせて、監督の話を直接聞くことができる機会です。ぜひ、足を運んでみてください。

日時:10月23日(土)11時35分~上映回

場所:名古屋シネマテーク

Address:名古屋市千種区今池1-6-13 今池スタービル2F

名古屋市千種区今池1-6-13

作品概要

映画『RAMEN FEVER』

10月23日から名古屋シネマテークにて公開

監督:脚本:撮影:編集:プロデューサー:小林真里

出演:中村栄利、中村比呂人、竹井和之、デビッド・ゲルブ、山田宏巳、成澤由浩、熊沢武士ほか

音楽:スロウダイヴ、小林純生、Hideki”Yoda”Suematsu

配給:MK Film (小林真里監督が立ち上げた配給会社です)

2021年/日本/91分

©MK Film

 


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