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2019-04-23

「電撃引退はやめてくださいね(笑)」映画『愛がなんだ』岸井ゆきのさん、今泉力哉監督 名古屋での公開初日舞台挨拶&インタビュー


 

4月19日から全国で公開中の映画『愛がなんだ』は、角田光代さんの同名小説を映画化したラブストーリー。一目惚れしたマモルに一方通行の愛を捧げる28歳のOLテルコと、2人を取り巻く人々の姿が描かれています。テルコを演じたのはNHK連続テレビ小説「まんぷく」で“タカちゃん”こと香田タカを演じた岸井ゆきのさん。テルコが盲目的に愛するマモルを出演作が途切れない人気俳優の成田凌さんが演じました。監督は“正解のない恋”を模索し続けてきた、恋愛映画の旗手・今泉力哉さんです。永遠に埋まることのない男女の距離感を、様々な片思いにもがく5人の登場人物の視点から描きだしています。

映画の公開初日、同日に移転しグランドオープンした名古屋の伏見ミリオン座で公開記念の舞台挨拶が上映前に行われ、岸井ゆきのさんと今泉力哉監督が登壇しました。また、舞台挨拶後にはおふたりにインタビューをすることができ、岸井さんのテルコへの想いや話題になっている成田凌さんの“追いケチャップ”や岸井さんと成田さんの対面シャンプーシーンの誕生秘話を聞くことができました。舞台挨拶のレポートと合わせてご紹介します。(取材日:2019年4月19日)

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名古屋に前泊した岸井ゆきのさん「緊張で昨日はあまり眠れませんでした!」

4月19日の午前10時過ぎ、グランドオープンを祝う伏見ミリオン座ファンの熱気に溢れる中、映画『愛がなんだ』の公開を待ちわびた観客の前に岸井ゆきのさんと今泉力哉監督が登場し舞台挨拶がスタートしました。映画館のオープンに立ち会ったのは初めてという岸井さんは「私の映画が最初に上映されて嬉しいです。公開初日を迎えて緊張しています。いよいよ本当にこの作品が羽ばたいていくと思うと、ちょっとヒヤヒヤして昨日あまり眠れなかったんです。でも楽しみです!」と挨拶しました。

名古屋市立大学の卒業生で4年間を名古屋で過ごしたという今泉監督は「ミリオン座グランドオープンおめでとうございます。(移転前の)ミリオン座には(大学卒業後に)何回か映画を観にきたことがあるので、思い出のある劇場で自分の映画がオープニング作品に選んでいただけたことが嬉しいです」と話しました。

「(映画祭、試写、上映会などを通し)今のところ届いている感想はバラバラです。(自分が)そういう映画を目指しているのもありますが、特殊な片思いの恋愛を扱っているので、共感できる人と“そんな男やめとけよ”っていう人と、いろんな意見が聞ける映画になっていると思います。どんな感想が聞けるのか楽しみです!」と公開初日を迎えた喜びを話しました。

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3つの片思いの恋を描く映画『愛がなんだ』では、テルコとマモルを取り巻く人物としてテルコの唯一の女友達“葉子”をNHK連続テレビ小説「まんぷく」で岸井さんと姉妹役で共演していた深川麻衣さんが演じています。また、葉子に一途な想いを寄せ続けるカメラマン志望の“ナカハラ”を若葉竜也さん。マモルが恋する年上の女性“すみれ”を江口のりこさんが演じています。今泉監督が「登場人物ひとりひとりの人生を大切にしながら描きました」と言う通り、どのキャラクターも繊細かつ個性的に描かれています。

岸井さんに「テルコ以外に共感できたキャラクターはいましたか?」と聞いたところ悩みながら「みんなエキセントリックで普通じゃない恋愛をしている方が多くて・・・。すごく難しい質問です・・・。監督はいましたか?“これはオレだ”みたいな?」と岸井さんから質問を振られた監督は「(マモル役の)成田さんとも喋っていたんですけど、(キャラクター)全員に自分がいるように感じます。みんな特殊でダメな部分もあるし弱いし。そういう人を強く指摘する“すみれ”も優しい部分や弱い部分もあるんですよね」と、いつのまにかそれぞれのキャラクターの魅力にはまってしまう映画であることを教えてくれました。

岸井さんと成田凌さん、離れてジャンプ!?テルコとマモルの微妙な距離感を表した撮影の合間の息抜きとは?

映画『愛がなんだ』はテルコからマモルへの一方通行の恋を描いているため岸井さんは成田さんと距離感を保ちながら撮影に臨んでいたそうです。

その微妙な距離感は撮影の合間の息抜きにしていた成田さん持参の“縄跳び”にも表れていたそうで、「成田くんは鍛えるためにやっていたみたいなんですけど、私は楽しくやっていました!一緒にやっていたというより、外に出ておのおのやるって感じでした(笑)テルコとマモルには言葉で説明できないくらいの微妙な距離感があるので、その距離感は保ちたいなと思っていました。だから縄跳びは一緒にやらなかったんだと思います(笑)」と息抜きの時間にもふたりの間に不思議な距離感があったことを教えてくれました。

今泉監督は「謎ですよね。成田君も縄跳び渡すけど一緒にやってくれないって」と面白がりながらも「ちゃんと(映画でも)その距離感になっていたんじゃないですかね」と改めて映画を振り返っていました。

舞台挨拶終盤には観客による写真撮影の時間も設けられ公開初日に駆けつけたファンとの時間を楽しんでいました。最後に今泉監督は「映画は撮影して作品の完成がありますが、お客さんに観てもらってもうひとつの完成だと思っています。みなさんに(作品を)育ててもらえたら嬉しいです。たくさんの映画がある中から、今日この時間この映画を選んでくださってありがとうございます。お楽しみください!」と挨拶。

岸井さんは自身のインスタグラムに映画の感想を書いてくれたら嬉しいと話し「何度観ても楽しい映画だと思います。ぜひお友達に紹介してください。そして、“この映画好きだなぁ”と思ってくださったら嬉しいです。今日はありがとうございました!」と舞台挨拶を締めくくりました。

舞台挨拶後のインタビューで今泉監督が岸井さんに「電撃引退はやめてくださいね(笑)」

映画『愛がなんだ』舞台挨拶後、岸井さんと今泉監督にインタビューすることができ、改めて作品の見どころや撮影エピソードなどを聞くことができました。お昼ごはんに名古屋の名店“蓬莱軒のひつまぶし”を召し上がった岸井さんは「美味しかったー!すっごく美味しかったです!」と満たされた笑顔でした。その表情は映画の中でマモちゃんと一緒にいる時の幸せに溢れたテルコそのものでしたが、原作小説の“テルコ”の印象を「私とは違うと思いました。テルコほど好きな人になりふり構わず行くこともないし、仕事も辞めないし!チョイスが全部違いました!」と自分とは真逆のキャラクターだと感じたことを教えてくれました。「でも現場に入って撮影していたら全然分かる。(テルコにとってのマモちゃんのような)そういう相手に出会えば、そうなる危険性は孕んでいると思いました。たぶん誰にでもあるんだと思います」と自分の中にも隠れテルコが潜んでいることを明かしてくれました。

今泉監督からは「電撃引退はやめてくださいね。“岸井さん、仕事辞めたぞ”みたいな。最近、連絡とれないなみたいな。もしそうなった時は(そういう相手と)出会ったな!と思うことにします」とつっこまれる場面もありました。

岸井さん、追いケチャップ&対面シャンプーに「バカだねぇ♡」

映画『愛がなんだ』では、女の子がキュンとするシチュエーションも見逃せません。テルコとマモルがくっつきながら料理をする最中、つまみ食いした料理を頬張ったテルコの口元にマモルがさらに追加でケチャップを指で食べさせる“追いケチャップ”は公開前から既に話題になっていました。また、一緒に入ったお風呂でマモルがテルコと向かい合ってシャンプーする場面はテルコにとってこれ以上ないほど幸せで甘い時間を描き出したシーンとして印象的です。

岸井さんに自分がしてもらったら嬉しいシチュエーションを聞いたところ「私だったらイヤだなっていう事の方が多かった!」と意外な答えが返ってきました。とにかく恥ずかしいという岸井さんは「シャンプーもしてほしくないし、追いケチャップとかされたらどうしていいか分からないからイヤだし、焼き芋を分け合うシーンも私が(別に)1個買うよーって思っちゃう!」と話ました。実際にされたらどうなるかを聞いてみると恥ずかしがりながら「“バカだねぇ♡”って思います」とニヤニヤする岸井さんに監督から「完全に受け入れてる!嬉しいほうになっちゃってる」と笑われる場面もありました。

“風邪のマモルに味噌煮込み”は名古屋人でも・・・

今泉監督は「テルコの肩にアゴを乗せるところまでは僕の演出ですけど」と“追いケチャップ”自体は成田さんのアドリブから誕生したシーンだと話し、「マモちゃんはこんなことができる人じゃない。あれは(かっこいい)成田凌が出ちゃってるから」と初めはイメージと違うことを気にしたそうですが、「“追いケチャップ”で検索すると“吉沢亮くんに追いケチャップされたい!”とか、色々な追いケチャップを妄想している人がいて面白いんですよ(笑)」と話題になっていることを楽しんでいるようでした。

また岸井さんと成田さんから「向かい合うの!?」と驚かれたという対面シャンプーシーンは脚本上では対面とまでは書いていなかったのですが、今泉監督の中では当然だったそうで、過去作品の中に誕生のきっかけがあったことを教えてくれました。WEBドラマ「午前3時の無法地帯」(2013年)でオダギリジョーさんが本田翼さんをシャンプーするシーンが当時話題になったことから「男前が(女性の)頭を洗うっていうのはキュンキュンくるっていうのがあったんで、向かい合わせのシャンプーシーンは入れたほうがいいと思いました。流行ったシーンやセリフはガンガン使いまわしますよ!」と茶目っ気たっぷりに話していました。今後もしかしたら、“対面シャンプー”や“追いケチャップ”がまた観られる時がくるかもしれませんね!

大学4年間を過ごした名古屋は駅に降り立っただけで勝手にノスタルジーな気持ちになる「思い出の場所」と話す監督は、映画冒頭のテルコが風邪のマモルに呼ばれ“味噌煮込みうどん”を作る場面について「ちょっと悪い登場のさせ方をしてしまった」と申し訳なさそうに話しました。「名古屋人にとっては地元の名物が登場して嬉しい反面、風邪のマモちゃんに(味の濃い)味噌煮込みうどんはちょっと・・・」と記者から言われると、気まずそうにする監督の横で岸井さんは「名古屋の方にも(風邪の時の味噌煮込みうどんは)ダメだと思ってもらえて良かった!」と安心した様子でした。

3つの切ない片思いを丁寧に描いた映画『愛がなんだ』は観るたびに違う感情に出会える切なくもあり清々しい気持ちも味わえる作品です。それぞれのキャラクターに心を寄せながらご覧ください。

作品概要

映画『愛がなんだ』

2019年4月19日(金) 伏見ミリオン座ほか全国ロードショー

【ストーリー】
28歳のOL山田テルコ。マモルに一目ぼれした5カ月前から、テルコの生活はマモル中心となってしまいました。
仕事中、真夜中と、どんな状況でもマモルが最優先。仕事を失いかけても、友だちから冷ややかな目で見られてもとにかくマモル一筋の毎日を送っていました。
しかし、そんなテルコの熱い思いとは裏腹に、マモルはテルコにまったく恋愛感情がなく、マモルにとってテルコは単なる都合のいい女でしかありませんでした。テルコがマモルの部屋に泊まったことをきっかけに、2人は急接近したかに思えましたが、ある日を境にマモルからの連絡が突然途絶えてしまいます。
マモルへの想いが膨れ上がっていくテルコ。全力すぎる片思いの末にテルコが下した思いがけない“決断”とは・・・。

出演:岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、片岡礼子、筒井真理子、江口のりこ

原作:角田光代『愛がなんだ』(角川文庫刊)

監督:今泉力哉

脚本:澤井香織、今泉力哉

音楽:ゲイリー芦屋

主題歌:Homecomings「Cakes」(fellcity / SECOND ROYAL RECORDS)

エグゼクティブプロデューサー:福嶋更一郎、成宏基

プロデューサー:前原美野里、新村裕、村田亮

撮影:岩永洋

照明:加藤大輝

録音:根本飛鳥

美術:禪洲幸久

装飾:うてなまさたか

スタイリスト:馬場恭子

ヘアメイク:寺沢ルミ

編集:佐藤崇

助監督:八神隆治

制作担当:柴野淳

助成:文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業) 独立行政法人日本芸術文化振興会

企画協力:KADOKAWA

配給:エレファントハウス

制作プロダクション:アンリコ

企画・制作・プロデュース:アニモプロデュース

製作:映画「愛がなんだ」製作委員会


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