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2025-06-14

ZIP-FM「Sparkling」(2025年6月14日放送)〈世界が注目する日本人監督の作品〉


 

2017年7月にスタートした名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)は〝名古屋でもっと映画を楽しもう!″を合言葉に名古屋を生活圏とする皆さんに向けて名古屋に特化した映画情報を発信しています。「名古屋で映画に携わる活動がしたい」「名古屋で映画の魅力を伝えたい」という想いではじめたCine@nagoya(シネアナゴヤ)は今年でスタートから8年目。サイトの運営とあわせて、シネマアナウンサーという肩書きで映画イベントの司会やインタビュアーとしてのお仕事をしている水野由美子に面白いお声かけをいただきました。ZIP-FMで毎週土曜日13:00~16:00に放送、清里千聖さんがナビゲーターをしている「Sparkling」内のコーナー「Sparklingrammar」に映画インフルエンサーとして呼んでいただき、映画を紹介させていただくことになりました。

月に1度のペースで映画を紹介していく予定で、3回目となる2025年6月14日(土)の放送では、5月に開催されたカンヌ国際映画祭の話題と共に〈世界が注目する日本人監督の作品〉をテーマに映画を紹介してきました。ラジオ出演に連動する形で、番組でご紹介した映画をCine@nagoya(シネアナゴヤ)にも掲載していくので、あわせてチェックしてくださいね!

放送はradikoでも聴けます!

カンヌ国際映画祭で多くの日本映画が上映

第78回カンヌ国際映画祭は2025年5月13日から24日にかけてフランス・カンヌで開催されました。コンペティション部門で映画『ルノワール』(早川千絵監督・6月20日公開)、監督週間部門で映画『国宝』(李相日監督・6月6日公開)、ある視点部門で映画『遠い山なみの光』(石川慶監督・9月5日公開)、カンヌ・プレミア部門で映画『恋愛裁判』(深田晃司監督・2025年冬公開)、ミッドナイト・スクリーニング部門で映画『8番出口』(川村元気監督・8月29日公開)、映画『見はらし世代』(団塚唯我監督・2025年秋公開)、ラ・シネフ部門で映画『ジンジャー・ボーイ』(田中未来監督・5月31日公開)、批評家週間には映画『Dandelion’s Odyssey』(瀬戸桃子監督・日本公開未定)、クラシック部門では映画『天使のたまご(4Kリマスター版)』(押井守監督)、映画『浮雲』(成瀬巳喜男監督)と多くの日本映画が上映されました。

6月6日(金)より公開となった映画『国宝』は吉田修一さんの同名小説を原作に李相日監督が手がけた歌舞伎の世界を舞台にした人間ドラマで、吉沢亮さんが主演し、歌舞伎の女形として芸に人生を捧げた男の激動の半生を描いた作品です。上映時間は174分。歌舞伎という日本の伝統芸能をスクリーンに映し出すとともに、血筋や運命に翻弄されながらも、芸の道を極めようとする男たちの情熱と葛藤は見ごたえ抜群です。カンヌ国際映画祭での公式上映では吉沢亮さん、横浜流星さん、渡辺謙さん、李相日監督が820人の観客と共に作品を鑑賞し、上映後は約6分にわたるスタンディングオベーションに沸いたことが話題となっています。

【Cine@nagoya’s Choice】映画『国宝』(6/6公開)芸に人生を捧げた者同士の共鳴と対立

名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)では是枝裕和監督が2018年にカンヌ国際映画祭でパルムドール(最高賞)を受賞した『万引き家族』は日本帰国後の最初の試写会が名古屋で行われ、パルムドールトロフィを一般の方に見せる初めての機会となった貴重な舞台挨拶を取材しています。

「AKB指原さんの気持ちわかった」映画『万引き家族』帰国後初の名古屋試写会に是枝監督とリリーさんが登壇

また、カンヌ国際映画祭では「脚本賞」「クィア・パルム賞」を受賞し映画た『怪物』(2023年公開)では、カンヌに滞在中の是枝監督にオンラインでインタビューしています。

タイトル決定までの経緯 坂元裕二さんとのやり取りを明かす 映画『怪物』カンヌ滞在中の是枝裕和監督にインタビュー

映画『ルノワール』

6月20日(金)より公開となる映画『ルノワール』は5月に開催された第78回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた作品です。日本がバブル経済だった1980年代後半の夏が舞台、闘病中の父親と仕事に追われる母親と暮らす11歳の少女がさまざまな事情を抱えた大人たちとふれあい、成長していく物語で、子どもの目線からみた様々な大人たちの「弱さ」「危うさ」が描かれています。少女フキを演じた鈴木唯さんの演技が瑞々しく、母親役に石田ひかりさん、父親役にリリー・フランキーさん、フキが出会う様々な大人たちを中島歩さん、河合優実さん、坂東龍汰さんなどが演じていて、確かな存在感がありお芝居に定評のある俳優陣が揃っています。

監督・脚本をつとめたのは本作が長編映画2作目となる早川千絵さんです。長編映画1作目の『PLAN75』(2022年公開)もカンヌ国際映画祭「ある視点」部門に正式出品され、カメラドール(新人監督賞)を受賞している世界が注目している監督です。『PLAN75』は倍賞千恵子さんが主演し、75歳以上が自らの生死を選択できるという制度ができた少子高齢化が一層進んだ近い将来の日本が舞台に、人は何を選択し、どう生きていくのかを問いかける作品です。

映画『PLAN75』(各種配信サイトで鑑賞可能)

映画『ルノワール』は岐阜市でも撮影されていて、ロケハンのために岐阜を訪れた早川監督が80年代の建物、美しい町並み、が作品に合うと感じたそうで、長良川・忠節橋、柳ケ瀬、みどり病院、笠松競馬場などで昨年8月に撮影が行われました。岐阜市内の橋の上で撮影したフキと父親のシーンは、予定外の雨になったそうですが、雨が降ったことによって、さらに素晴らしいシーンになっているので、ぜひスクリーンでご覧ください。

映画『JUNK WORLD』 

6月13日(金)より公開の映画『JUNK WORLD』は堀貴秀監督によるSFストップモーションアニメ「JUNKシリーズ」の第二弾です。2021年に公開された『JUNK HEAD』は環境破壊で地上に住めなくなり人類滅亡の危機が迫る未来で、地下世界で進化していった人工生命体を描いた物語で、堀監督が一人で7年の歳月をかけて完成させた作品で、インディーズ映画界に旋風を巻き起こしました。映像制作経験がない中で独学で完成させたこと、人形を少しずつ動かすコマ撮りという膨大な制作時間のかかる手法で作り上げたことにクリエイターの狂気を感じ、クオリティの高い映像に驚かされました。

映画『JUNK HEAD』(各種配信サイトで鑑賞可能)

前作の制作時に堀監督は内装業を本業にしながら作品制作を続けていたそうで、フィギュアもセットも全てが手作りで、エンドロールには、監督、原案、キャラクターデザイン、編集、撮影、照明、音楽、絵コンテ、造形、アニメーター、効果音、VFX、そして声の出演など、“堀貴秀”という名前が延々と続き、さらに驚かされました。ハリウッドの制作会社からのオファーを断って一人で作りきったというエピソードもあり、自分の作りたいものこだわり、諦めることなく最後までほぼ一人で完成させた点も魅力的です。「JUNKシリーズ」は廃墟や異形の生物が蠢くディストピア的な世界観で、時にグロテスクなシーンもあります。地下世界では観たことのないクリーチャーが次々に登場したり、可愛らしいけど毒があるキャラクターたちなど、不気味なのに癖になるキモカワイイ魅力があって、ブラックユーモアも満載です。

映画『JUNK WORLD』は『JUNK HEAD』の1000年以上前が舞台になっていて、地下世界の異変を探る人間と人工生命体による調査チームが地下都市を目指す物語です。3部作の完結編である『JUNK END』に繋がっていくので、この機会にぜひ「JUNKシリーズ」に注目してもらえたらと思います。6月15日(日)には、名古屋・ミッドランドスクエアシネマで堀監督が登壇する舞台挨拶が行われるので、名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)でレポートする予定です。

2025年6月14日(土)放送のZIP-FM「Sparkling」内のコーナー「Sparklingrammar」で紹介した映画をまとめました。

放送はradikoでも聴けるので、こちらをチェックしてくださいね!
ZIP-FM「Sparkling」放送はradikoでも聴けます!


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