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2017-11-21

【11/25公開】映画『光』(原作:三浦しをん)の大森立嗣監督インタビュー


11月25日に公開となる映画『光』は三浦しをんさんの同名小説を原作とした作品で日常に潜む暴力や人間の心の底を描いている濃厚なサスペンス・ドラマです。井浦新さん、瑛太さん、長谷川京子さん、橋本まなみさんなど出演者の皆さんの演技が素晴らしく、観終わった後に消化しきれないザワザワ感の残る映画『光』のメガホンをとった大森立嗣監督が名古屋に来られた際に、インタビューさせていただくことができました。原作者である三浦さんとのやり取りや印象的な音楽、今作の制作にかけた想いなどを聞いてきました。(取材日:2017年11月7日)

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三浦しをんさんの小説『光』を映画化

2012年に本屋大賞を受賞した「舟を編む」など明るい雰囲気の作品が多いイメージなのですが、2008年発表の『光』は「日常に潜む暴力」を描いている野心的な作品です。『まほろ駅前』シリーズで三浦作品を映像化をしてきた大森立嗣監督は『光』の映画化を熱望し、「小説から感じていたパワー、生命力をバランスを取らずに噴き出そうと思った」と本作にかけた想いを話してくれました。

映画『光』は東京の離島、美浜島で生まれ育った中学生の信之と美花、信之を慕う年下の輔の3人が島を出てから25年後に再会して物語が進んでいきます。信之が美花のために島で起こしたある事件について輔は彼らを脅し、3人は互いの歪んだ関係や過去の忌まわしい記憶に翻弄されていきます。大人になった信之役を井浦新さん、輔役を瑛太さん、美花役を長谷川京子さんが演じています。橋本まなみさんは信之の妻であり、輔と情事を重ねる母親役を演じています。

出演者の熱い想い

大森監督とWOWOWのドラマの仕事をした際に、井浦さんから大森監督に「(『まほろ駅前』シリーズに出演されていた)瑛太くんと仕事がしたい。ガッツリ芝居ができるものをやらせてほしい。」と言われていたことがあり、『光』は男2人が目立つ作品だったので、井浦さんと瑛太さんにお願いしようと思ったそうです。
橋本まなみさんは大森監督のワークショップの生徒で、演技を教えていたそうです。大森監督は「グラビアをやる前で、真面目に演技に取り組んでいた。」と当時の様子をお話され、「グラビアでの活躍を見ながら、女優をやりたいんじゃないかと思っていた。俳優としての力があることはわかっていたので、オファーをしたところ、橋本さん本人も大喜びしてくれた。」と教えてくださいました。橋本さんは本作で瑛太さん演じる輔と肉体を重ねる濃厚なシーンにも挑戦しています。

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自分自身を超えていきたい

大森監督にとって8作目となる映画『光』は三浦しをんさんの原作小説を読んで生命力を感じ、ずっと映画化したいと思っていた作品だったと話していました。大森監督は「映画を始めたころの気持ちに戻りたい。そうしないと自分が壊れそうだと思い、自分自身を超えていきたいという気持ちがあった。」と語っていました。その想いから「いわゆる通常の映画作りのやり方をしない、最初に自分が思ったことを壊していく」ようにしていたそうです。
音楽に世界的なテクノDJであるジェフ・ミルズを起用することについても、監督は「ドキドキしながら、大失敗するんじゃないかと思っていた」そうですが、プロデューサーに背中を押してもらったと教えてくださいました。

原作者・三浦しをんさんからのメール

大森監督と原作者の三浦しをんさんは、映画の脚本の執筆中にメールでやり取りをされていたそうです。当初、大森監督が考えていた映画のラストはよくあるもので、三浦さんから「変えた方がよいのでは?」という意見もあり、大森監督はどういう形のラストにするのかとても悩まれたそうです。また三浦さんとのメールのやり取りを振り返り「興奮した小説家の壊れた文章を読むのは面白かった」と大森監督の脚本に対する熱い思いが文面で送られてきたことを教えてくれました。

頭で考えず体で感じてほしい

映画『光』は頭で理解したり、登場人物に感情移入することが難しい作品かもしれません。大森監督は「頭で理解をしようとしすぎるとわからない。見終わったらざわざわして、なんだろうこの感覚??というものが残ればいいのでは。」と話し、「昔の映画なんて、そういう映画が多かった。(最近の映画は)わかりやすすぎる。」と話し、「(監督としてデビューする前は)映画1本作って死んでもいいという気持ちでやっていた。お客さんに傷痕を残したい。」と今作にかける想いを語ってくださいました。

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作品概要

『光』

11月25日から伏見ミリオン座ほかで公開

監督・脚本:大森立嗣

原作:三浦しをん (『光』 集英社文庫刊)

音楽:ジェフ・ミルズ

出演:井浦新、瑛太、長谷川京子、橋本まなみ、南果歩、平田満 ほか

配給:ファントム・フィルム (2017年 日本 137分 R15+)

©三浦しをん/集英社・©2017『光』製作委員会

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伏見ミリオン座

Address:名古屋市中区栄一丁目4-16

Tel:052-212-2437

Map:

名古屋市中区栄一丁目4-16
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