ZIP-FM「Sparkling」(2026年1月10日放送)〈2025年から2026年 要チェックの映画〉
2017年7月にスタートした名古屋の映画情報サイトCine@nagoya(シネアナゴヤ)は〝名古屋でもっと映画を楽しもう!″を合言葉に名古屋を生活圏とする皆さんに向けて名古屋に特化した映画情報を発信しています。「名古屋で映画に携わる活動がしたい」「名古屋で映画の魅力を伝えたい」という想いではじめたCine@nagoya(シネアナゴヤ)は今年でスタートから8年目。サイトの運営とあわせて、シネマアナウンサーという肩書きで映画イベントの司会やインタビュアーとしてのお仕事をしている水野由美子に面白いお声かけをいただきました。ZIP-FMで毎週土曜日13:00~16:00に放送、清里千聖さんがナビゲーターをしている「Sparkling」内のコーナー「Sparklingrammar」に毎月1回レギュラーで出演し、テーマにあわせた映画を紹介しています。

10回目となる2026年1月10日(土)の放送ではたくさんの映画が公開された2025年に話題になった作品、個人的に痺れた作品、そして2026年に注目している作品を紹介。ラジオ出演に連動する形で、番組で話した〈2025年から2026年 要チェックの映画〉、ラジオでは話し切れなかったことも含めてまとめました。
新着情報
『チェンソーマン レゼ篇』(2025年9月19日公開)
『チェンソーマン レゼ篇』は藤本タツキさんの大ヒットコミック「チェンソーマン」が原作で、2022年に放送されたテレビアニメに続くエピソードを劇場版長編アニメ作品となります。公開から100日で興行収入100億円を突破し、主題歌の「IRIS OUT」を米津玄師さんが「第76回NHK紅白歌合戦」で初パフォーマンスしたことも大きな話題となりました。「チェンソーマン」は悪魔が当たり前のように存在する世界で主人公はチェンソーマンに変身して悪魔と戦うデビルハンターとして働く少年・デンジです。『チェンソーマン レゼ篇』では、ある日、カフェで働く、明るくて可愛い女の子・レゼと出会い、好意を持たれていると感じ、これまでに感じたことのない“普通の幸せな日常”、初恋を体験。憧れの女性であり上司であるマキマさんがいるのに、レゼに惹かれていくデンジ、レゼにはある目的があって、恋と戦いが交差する物語です。アクションだけでなく恋愛ドラマとしても評価が高い、デンジとレゼのそれぞれの心の葛藤が描かれていて、原作ファンの間でも特に人気の高いエピソードです。
序盤にデンジとマキマさんの“映画デート”が描かれています。マキマさんがデンジをデートに誘い、「今日は映画を観まくります」と言って、朝から夜まで映画館をハシゴします。休憩がてらカフェで観た映画の感想を話しながら「よくわからなかった」というデンジにマキマさんが「私も10本に1本くらいしか面白い映画に出会えないよ」「でも、その1本に人生を変えられたことがあるんだ」と答えます。また、最後の一本の何気ないシーンでデンジが涙を流し、マキマも泣いているんです。一般的な人間の感情がよくわからないデンジが涙を流す、映画にはそういう力があるんだと感じることができて、嬉しかったです。
また、夜のプールでデンジがレゼに誘惑されるシーンで、蜘蛛と蝶がメタファー(暗喩)として描かれていることにもグッときたのですが、映画を最後まで観ると、蜘蛛と蝶の描写は違う暗喩だったのかもとさらに面白く感じたり、オープニングから見上げた照明、転がったペットボトルの口、日の丸、真上から見たコーヒーカップなど正円のモチーフが続くのにも視線が引き寄せられます。途中で円のモチーフがなくなるんですが、最後にまた正円が現れ、このモチーフの意味について考えを巡らせる楽しさもあって、観れば観るほど映画的な作りの上手さに驚かされる作品です。ちなみに、紅白の米津玄師さんのパフォーマンスでもセットに正円がいくつか使われていました。
『チェンソーマン レゼ篇』は多くの映画館で公開が続いていて、1月10日(土)17時~全国一斉応援上映が行われ、名古屋ではミッドランドスクエアシネマで行われます。応援上映のガイド映像も公開されているので、以下をチェックして参加してみてくださいね。
『ひゃくえむ。』(2025年9月19日公開)
『ひゃくえむ。』は「チ。―地球の運動について―」の魚豊さんによる陸上競技の100メートル短距離走が題材になっている同名漫画が原作の長編アニメーション作品です。主人公は生まれつき足が速い“トガシ”、小学生の時に出会い彼の指導で100m走に魅入られた“小宮”、この2人を中心に、100m走に人生を捧げた人々の“本気(ガチ)”な想いと哲学的な言葉が心に響く物語です。天才型のトガシと努力型の小宮、二人の関係性や、それぞれの内面が深く描かれていて、小学生時代、高校生時代、20代の3つの時代の彼らがアスリートとして栄光と挫折、苦悩を経験しながら、スポーツに情熱を注ぐ素敵さと大変さを感じることができます。
登場人物の哲学的な名言が連発するのですが、特にベテラン陸上選手の海棠がトガシにアドバイスする「何のために走るのかがわかれば現実からはいくらでも逃避できる」というセリフに痺れました。海棠は不動の王者・財津に一度も勝てない万年2位の選手、勝てない現実にどう向き合うか、現実逃避は自分への期待であり、自分が自分を諦めていないということを貫いている海棠がめちゃくちゃカッコよいのです。津田健次郎さんが海棠の声を担当しているというのも名言に痺れるポイントの一つだったかもしれません。小学生、高校生、20代という3つの時代のアスリートの姿を描いていて、小学生の頃は苦労しなくても誰よりも早く走ることができたトガシの高校時代、20代になって苦労する姿などは、子供のスポーツを応援する親にも深く刺さる内容です。
ロトスコープという実写映像を撮影し、その映像を1コマずつなぞって(トレースして)アニメーションを制作する技法を使っているので、実写のような臨場感ある独特のアニメーション表現になっていて、アスリートが走るシーンの効果音、足音や雨の音など、シーンごとに考え抜かれた音楽演出も素晴らしく、エンドロールで流れる主題歌はOfficial 髭男dism の書き下ろし最新曲「らしさ」に号泣してしまいます。
劇場公開が続いていて公開100日を突破し、名古屋ではセンチュリーシネマで1月15日まで上映されています。また2月7日から2月13日まで(2月10日、11日は休映)は名古屋駅のミニシアター・シネマスコーレで公開されます。シネマスコーレは『ひゃくえむ。』の岩井澤健治監督の『音楽 ブラッシュアップ版』も同時に上映されます。『音楽』は愛知県出身の大橋裕之さんの漫画が原作で、楽器を触ったこともない不良学生たちが、思いつきでバンドを組むことから始まる物語。シネマスコーレは『音楽』の公開時に、作品の世界観を体験できるイベントや関連グッズが販売されたり、監督自身も登壇するなど縁の深い映画館です。
『音楽 ブラッシュアップ版』2/7㊏アンコール上映決定!
⇒ https://t.co/wnTKQsUmW9
2.7㊏より岩井澤健治監督祭!!!!!大橋裕之原作の『音楽 ブラッシュアップ版』ふたたび上映決定!『ひゃくえむ。』と連続でスクリーンで体験できるまたとない機会をお見逃しなく🎸🥁 pic.twitter.com/L4lvgYDST3— シネマスコーレ (@cinemaskhole) January 3, 2026
2025年12月31日よりNetflixにて独占配信が開始されていますが、お時間があれば、ぜひ劇場で観ていただきたい作品です。
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『恋愛裁判』(2026年1月23日公開)
『恋愛裁判』は5人組のアイドルグループ「ハッピー☆ファンファーレ」のセンターを務める女性が「恋愛禁止ルール」を破ったことで裁判にかけられる物語。カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に正式出品され、主演の齊藤京子さんがレッドカーペットを歩くなど、世界からも注目を集め話題となりました。「ハッピー☆ファンファーレ」はデビューし、人気上昇中で、「目指せ武道館」を志すアイドルグループ。齊藤京子さん演じる主人公はリーダーではないものの年長で真面目なしっかり者、一番人気のセンターでメンカラは赤。中学時代の同級生と再会し、恋愛禁止ルールを破り、事務所から訴えられることになります。
深田晃司監督が実際にあった出来事に着想を得て、10年間かけて作り上げたフィクション、オリジナルストーリーで、日本で独自に発展したアイドル文化や華やかな世界の裏側にある様々な問題に切り込んだ社会派ドラマです。実際のアイドルやアイドルのプロデューサ、マネージャーにも取材を重ね、齊藤京子さん(元・日向坂46)、仲村悠菜さん(私立恵比寿中学)、桜ひなのさん(いぎなり東北産)がアイドル役で出演しています。映画サイトの中に「ハッピー☆ファンファーレ」の公式サイトやInstagramがあり、実在するグループのように感じます。
映画の中では、ファンの前でパフォーマンスしたりチェキ会でファンと交流する表の姿と、裏側の様子、楽屋での様子やマネージャーに共同生活する自宅まで送り届けられ、自宅でもSNS配信なども描かれていて、表と裏、両方を観ることができます。事務所スタッフとの関係や厳しい現実、人目を忍んで友達と遊びに行く様子などからアイドルの素の姿にも注目です。後半の裁判のシーンや、裁判を続ける中で主人公の中に起きる変化、裁判の結果がどのようなものになるのか、彼女がどんな道を進むことにするのか、見どころがたくさんある作品です。
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