ゆるっと寄り道だらけのロードムービー『Good Luck』足立紳監督と妻でプロデューサーの晃子さんにインタビュー
12月27日(土)から名古屋のシネマスコーレで上映される映画『Good Luck』は、大分県豊後大野の優しい風景を舞台に、人生迷走中の男女のあてどないアンブリン(ぶらぶら歩き)を、驚きの演出と共に描く夢心地なロードムービーです。(12月13日(土)より東京・シアターイメージフォーラムで公開)メガホンをとったのは、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本や、2025年1月から放送されたテレビドラマ「それでも俺は、妻としたい」や夏に放送された「こんばんは、朝山家です。」など立て続けに話題作を手がける足立紳監督です。主人公の売れない映画監督・太郎を演じるのは、『SUPER HAPPYFOREVER』 での好演も記憶に新しい佐野弘樹さん。太郎が旅先で出会う正体不明の女性・未希を自然体で演じるのは『Chime』で強烈な存在感を放った天野はなさんです。共にオーディションで選ばれたふたりが、豊後大野をさまよう男女をユーモラスに演じ、ゆるっとした空気感満載の作品となっています。さらに篠田諒さん、愛知出身の加藤紗希さんが物語に血を通わせるほか、剛力彩芽さん、板谷由夏さんがユニークな役柄で驚かせてくれます。

映画『Good Luck』公開前に足立紳監督とパートナーの足立晃子プロデューサーが名古屋でインタビューに応えてくれました。撮影秘話、豊後大野の素晴らしさ、佐野さん・天野さんの魅力など、ご夫婦をモデルにした作品群を彷彿とさせる丁々発止の掛け合いで話しが弾みました。(取材日:2025年11月25日)
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佐野弘樹さん×天野はなさんの”夢見心地”な空気感 板谷由夏さんと剛力彩芽さんが意外な役柄で登場?!
映画『Good Luck』は世の中とチューニングがあわない2人の、可笑しくて、ささやかで、ちょっと切ない2日間の旅が描かれた多幸感あふれるロードムービーです。自称・映画監督の太郎(佐野弘樹さん)が、大分県で行われる映画祭で入選し、同棲する恋人(加藤紗希さん)が用立てたお金で意気揚々と現地に向かうも、作品を厳しく批判されて意気消沈。映画祭のパーティーをすっぽかして足を伸ばした豊後大野で太郎の映画を観ていた未希(天野はなさん)と出会い、共にショートトリップすることに…その旅の行方が気になるストーリーです。太郎役の佐野弘樹さん、旅先で出会う正体不明の未希役の天野はなさんが”ゆるっとした”存在感でストーリーを立体化させています。脚本とディレクションは『百円の恋』(2014年)や『喜劇愛妻物語』(2020年)などの話題作を生み出し、2023年度のNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本をつとめた足立紳監督です。
W主演の佐野弘樹さんと天野はなさんは男女含め700人以上の応募からオーディションで選ばれました。この2人を選出した理由を伺うと足立監督は「対面オーディションでペアや台詞などを変えながら演技をしてもらったときに、佐野君の印象が毎回違うんです。なので毎回違う人に会っているような佐野君に惹かれました」と話しました。テレビドラマ「こんばんは、朝山家です。」で佐野さんが畠山役として出演しているのは、映画『Good Luck』での出会いがきっかけだそうです。晃子プロデューサーは「太郎も『朝山家』の畠山も牛乳を飲んでいるっていうのが繋がっています」と明かすと足立監督は「別につなげたわけじゃ…」とタジタジ。晃子プロデューサーは「いや、絶対牛乳飲ませてたじゃん」とリアル朝山家のようなやり取りが繰り広げられました。
天野はなさんの起用について足立監督は「僕はオーディションで初めて天野さんという女優さんを知って、魅力的な人だなと思いました。ちょっと酔っぱらった感じのお芝居をしたらどうかなと思って、やってもらったらすごくハマった」と述べました。加えて未希がいつも何かしらのアルコール飲料を持っていることにしたのは天野さんの演技から閃いたと明かしました。そして「映画全体を少し夢見心地というか、半分酔っぱらっている雰囲気にしたいというのもありましたね」と話しました。
フレッシュな主演の二人以外にも、太郎の恋人:ユキ役の加藤紗希さん、2役を担当する篠田諒さんもオーディションで選出されました。様々なキャラクターの出演シーンにおいては「海外の上映会で、反応が国によって違って、声を出して反応してくれる国もあって面白かった。」と足立監督夫妻がニンマリしていました。劇中には板谷由夏さん、剛力彩芽さんも登場します。板谷さんは北九州映画祭、剛力さんは別府ブルーバード映画祭でのご縁が繋がっての出演だそうです。晃子プロデューサーは「1泊のスケジュールで、1つの役だけではもったいないとスケベ心が出て、複数の役柄になりました」と教えてくれました。板谷さんは2役、剛力さんは3役演じています。足立監督は剛力さんについて「クランクインで、いきなりハイテンションで演じられて面白かった」と振り返り、役柄については含みを持たせました。
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別府短編映画制作プロジェクトとは?別府ブルーバード劇場の名物館長もカメオ出演
舞台が大分県、豊後大野であることについて晃子プロデューサーは、「別府短編映画制作プロジェクトがきっかけでした。今回はご縁があって隣町の豊後大野をメインにということになりました」と述べました。(2021年に始まった)別府短編映画制作プロジェクトは、昭和24年に創業された別府駅前にある別府ブルーバード劇場の存続が危ぶまれる状況下で企画され、そこでしか観られないオリジナルの短編映画・地元の魅力が詰まった地元ロケで制作しようと始まりました。
現在94歳の別府ブルーバード劇場の名物館長:岡村照さんについて晃子プロデューサーは「お酒もお肉もたくさん召し上がるんです」と微笑み、足立監督も「お若くて、元気な方です」とうなずきました。晃子プロデューサーは、「照館長に受付で寝ている芝居を演出したときに”私は普段は寝んけんな!”って突っ込まれました」というエピソードを明かし、劇場のロビーが町の憩いの場になっていることも教えてくれました。足立監督は「劇場に舞台挨拶に行くと、反応が大らかで外国っぽいんですよ。そのあと観客と飲みに行くこともあるんです。皆さん、いろんな意見を遠慮なくバンバン言ってくれるのでそれはとても楽しい時間です。」と別府ブルーバード劇場の魅力を語りました。
地元に根付いたロケ撮影ということで、ブルーバード劇場のある町の風景・滝・鍾乳洞など魅力的な風景がスクリーンに映し出されます。どの風景も素晴らしく、編集する作業は難しかっただろうなという印象を受けます。そこで、本作『Good Luck』は短編映画に収まりきれていないのでは…と尋ねると、撮影しているときから薄々、長編になるっちゃいそう…と思っていたと言い、「編集したら1時間50分を越えてしまって、これはまずいと思い、別府のプロデューサーの方に見てもらったんです。怒られると思ったのですが結構ポジティブな反応をいただいて、結局自由に制作させてもらいました」と長編となった経緯を話しました。
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足立紳監督の実体験がチラホラ 晃子プロデューサーの監督評「人見知りと自意識の高さの両極端」
物語の初頭に登場する主人公の太郎と恋人のユキが暮らす部屋は、今年1月放送の「それでも俺は、妻としたい」と同じく足立監督のご自宅で撮影されたそうですが、足立監督が描く物語はご自身や身近な出来事をモチーフにした私小説の香りを漂わせる作品が多いことから、今作『Good Luck』の主人公と恋人のモデルは、足立監督と晃子プロデューサーですか?・・・と尋ねてみました。「自分の作品を見て、演出に未熟さや甘さを感じると逃げ出したくなるところは太郎と同じです。」と言及つつも、「今作では僕たち夫婦をモデルにはしてないです。多少は反映していますが・・・」と足立監督。
その一方で、晃子プロデューサーは「映画祭とかパーティーに呼ばれても、数合わせとか、勝手に自分で思っているんですよ。人見知りと自意識の高さと両極端なんです」と足立監督の人柄をズバリ。「数年前まではまだ子供が二人共小さかったので、自分が監督と一緒に映画祭に出向く事が出来なかったために、遠隔(ラインや電話で)で監督の士気を高めていたんですよ。」と、恋人ユキを彷彿とさせるエピソードを教えてくれました。
足立監督デビュー作『14の夜』(2016年)、映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』(2023年)では少年期を、また『喜劇愛妻物語』(2020年)、『劇場版 それでも俺は、妻としたい』(2025年)は結婚後の様子をモデルに描いてきた足立紳監督。20代、30代の結婚前をモデルにした作品は珍しいのでは…と伺うと足立監督は「若者…半端な年頃のことを描いたことがなかったなと思ったし、オジサンが町をウロウロしているより、若者の方がしっくりするような気もして年齢や役柄の設定が決まりました。ロードムービーにしようというのは別府というロケーションがそうさせましたね」と話し、旅先で出会った女性に”あわよくば”、とほのかな恋心を抱く設定はフィクションだと明言する足立監督の姿は、奥様である晃子プロデューサーを意識してのことだったのでしょうか。
豊後大野の風景やサウナで整って、多幸感いっぱい「半分夢なのか、という雰囲気になれば」と足立監督 癖が強い登場人物たちにも注目
別府駅近くの別府ブルーバード劇場・かまど地獄や鬼山地獄・別府タワー、豊後大野の稲積鍾乳洞・日本のナイアガラと称される原尻の滝など素晴らしいロケーションが目白押しの映画『Good Luck』。短編のはずが長編になってしまうほど別府や豊後大野の風景に魅了された足立監督・足立組の気持ちが分かります。実際スクリーンに映し出される旅館や清川ロッジも趣があります。足立監督は「旅館の三国屋さんをお借りして、そこにスタッフ・キャストが宿泊して前半の拠点にしました」と言い、晃子プロデューサーは「三国屋さんの女将さんの仕事着をそのまま借りて撮影したんですよ」と息の合った様子で説明しました。
続いて「残り2泊くらいが川の近くのロッジで撮影と宿泊でした」と足立監督が述べると、晃子プロデューサーが「撮影は長時間でしたが、終わるとみんなサウナに行くんです」と言葉を継ぎ、足立監督が「みんな水着を着て、男女問わずぎゅうぎゅうでサウナに入りました」と頬を緩めました。続けて晃子プロデューサーは「夜中に水風呂代わりに川に入って、はしゃいでいるのは40代、50代っていうのが面白かったですね」と和気あいあいとした撮影現場だったと振り返りました。足立組の肩の抜けた空気感が、そのまま地元の風景と相まって作品から感じられます。劇伴と言われるBGMもなく、鳥のさえずり・水音など自然の音が私たちの心を緩めてくれます。主要な登場人物はもちろん、旅先に登場する人達が何かしら癖が強いキャラクターが多い映画『Good Luck』。お店、服装、歩き方(大奥風?)、受け答えや語尾など風変わりな人の見本市のようで、足立監督が言う「夢見心地」感を際立たせています。監督自身が「ちょっと変な感じにしてみたんです」と話していますので、ふいに笑いがこみ上げるシーンは、もう遠慮なく笑ってしまいましょう。
足立監督が脚本を書いた映画『百円の恋』でタッグを組んだ愛知県知多市出身の武正晴監督は、それ以降も『嘘八百』シリーズなど多くの作品を共に作った盟友と言える関係です。晃子プロデューサーは「お互いの売れていない、つらい時に一緒にいた大切な方です」としみじみと語りました。これまでもお互いの撮影現場を行き来しており、本作『Good Luck』の時も武監督がふらりと現れたそうです。晃子プロデューサーは「4日間いてくれて、最終的にはエキストラを演出してくれました」と笑い交じりに明かし、足立監督は「地方で、最寄駅からとても遠いところだったのに」と現場まで足を運んでくれたことに感謝を見せました。そんな足立監督夫妻が信頼する武監督があるシーンに出演しています。ヒントは美味しそうに何かを食べているシーンです。探してみてくださいね。絶好調に人生低迷中なふたりの、ちょっとおかしくて切ない旅を描いた足立紳監督最新作『Good Luck』、名古屋のシネマスコーレ(JR名古屋駅太閤口・ビッグカメラ南西角)で”ゆるっと”ご覧ください。
シネマスコーレで12月27日から公開 足立紳監督の舞台挨拶が決定!!
映画『Good Luck』の名古屋公開初日の12月27日(土)15:55の回の上映後に、足立紳監督の舞台挨拶が決定しました。
客席からかなり近いところで足立監督のお話が聞ける貴重なチャンスですよ!詳しくはシネマスコーレのホームページまで。
◤2025年12月のラインナップ◢
シネマスコーレ2025年12月のスケジュール、完成しました!今年もあとひと月。1本でも多く、多様な映画体験ができますように。毎日ご来場、お待ちしております🎬🎄❄
※下記からはスケジュールを文字でもご確認いただけます。https://t.co/fOxZDTRPhA https://t.co/tZMfUoKu00 pic.twitter.com/HOENEc0DSC— シネマスコーレ (@cinemaskhole) November 26, 2025
作品概要
12月27日(土)よりシネマスコーレにて”ゆるっと”ロードショー
なんか いいこと ないかな
人生迷走中のふたりの、寄り道だらけのロードムービー
連続テレビ小説「ブギウギ」(NHK)の脚本や、『雑魚どもよ、大志を抱け』『劇場版 それでも俺は、妻としたい』など立て続け話題作を手がける足立紳の監督最新作
以下の映画祭に出品決定!
第20回大阪アジアン映画祭インディ・フォーラム部門
第27回ウディ・ファーイーストFF
第27回上海国際映画祭
第20回オランダ カメラ・ジャパン部門
第9回ウィーン日本映画祭Japannualメイン部門
第1回栃木国際映画祭(クロージング)
第17回下北沢映画祭(オープニング)
第13回バルセロナ・アジアン映画祭
第51回ソウル・インディペンデント映画祭
<ストーリー>
⼤⼭太郎は⾃主映画を作っている⾃称・映画監督だ。30歳間際だが⼀緒に暮らす⼥性に⾷べさせてもらっている。そんな太郎が⾃主映画のコンクールで⼊選して⼤分県で⾏われる映画祭に⾏く。太郎は意気揚々と現地に向かうが、上映会では主催の⼥性から映画を厳しく批判されて落ち込んでしまう。太郎はパーティーにも出席せずに翌⽇フラフラと隣町へ⾏く。そこで太郎の映画を観ていたという砂原未希という⼥性に声をかけられ、太郎と未希は⼀泊⼆⽇だけの⼩さな旅をすることになる。旅の中で、太郎は映画作りに⾃信を持てない⾃分を未希にさらけ出す。正体不明ではあるが、明け透けな性格の未希にはなぜか太郎は素直な⾃分でいられるのだ。そして未希にほのかな恋⼼も抱き始める太郎だったが。。。ふたりがたどり着く、旅の結末は?
出演:佐野弘樹 天野はな 加藤紗希 篠⽥諒 剛⼒彩芽 板⾕由夏
監督・脚本︓⾜⽴紳
企画、プロデュース:釘宮道広 森田真帆
プロデューサー:坂井正徳 足立晃子
配給宣伝:ムービー・アクト・プロジェクト
配給協力:ミカタエンタテインメント
©︎2025「Good Luck」製作委員会(別府短編プロジェクト・TAMAKAN・theROOM)
https://mapinc.jp/film/good-luck/