親の呪縛に苦しむ大学生の“心の声”を映像化!映画『愛されなくても別に』南沙良さん、馬場ふみかさん、井樫彩監督に名古屋でインタビュー
7月4日(金)から公開の映画『愛されなくても別に』は、毒親のもとで生まれ育ち、人生を奪われてきた3人の大学生たちが、親の呪縛から脱却していく様子が描かれた作品です。主人公の宮田陽彩(みやた・ひいろ)を南沙良さん、同級生の江永雅(えなが・みやび)を馬場ふみかさんが演じ、若干29歳の新鋭監督の井樫彩さんがメガホンを握って令和のリアルを生きる彼女たちの、人生を賭けた青春逃亡劇を描きます。南さん・馬場さんの他、本田望結さん、基俊介さん(IMP.)、伊島空さん、池津祥子さん、河井青葉さんが出演します。

主演の南沙良さん、馬場ふみかさん、井樫彩監督が名古屋でインタビューに応えてくれました。役作りについて、撮影現場の様子、これから観る人へのメッセージなどをガールズトークさながらの雰囲気で話しました。(取材日:2025年7月2日)
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シスターフッドの傑作と名高い同名小説が原作!不幸をきっかけに繋がった二人が、かけがえのない関係に
映画『愛されなくても別に』は浪費家の母親に依存され、大学の学費と毎月家に入れる8万円を稼ぐために日夜アルバイトに明け暮れ、精神をすり減らす宮田陽彩が、同級生・江永雅と出会ったことで空虚な日常が一変する様子が描かれた物語です。浪費家の母(河井青葉さん)に複雑な思いを抱く宮田陽彩を南沙良さんが演じ、過酷な家庭で育った江永雅を馬場ふみかさんが演じます。不幸をきっかけに繋がって共闘するうちに、かけがえのない関係になっていく経緯に心震える人も少なくないでしょう。また過干渉な母親(池津祥子さん)から逃れたいがために新興宗教にのめり込む木村水宝石(きむら・あくあ)を本田望結さんが好演し、三者三様の「不幸」がもつれあうアンサンブルも見応えがあります。
原作はシスターフッドの傑作と名高い、2021年に第42回吉川英治文学新人賞を受賞した同名小説です。テレビアニメ化やコミカライズも大ヒットした「響け!ユーフォニアム」シリーズで知られる作家・武田彩乃さんによる新時代の青春ストーリーが、注目の若手監督・井樫彩さんの手で映画化されました。
名古屋についてのエピソードを尋ねると、井樫監督は「舞台挨拶以外にも、訪れたことがあります」とにこやかに話し、南沙良さんは「今回、名古屋での舞台挨拶が初めてです」とワクワクした表情を見せました。馬場ふみかさんは「去年、日帰りで遊びに来ました」と女子バスケットボールに関心があり、(当時デンソーアイリスの)馬瓜エブリン選手の応援で私的に愛知に来ていたと教えてくれました。3人ともお互いが話すときに頷いたり、フォローしたりと仲が良い雰囲気です。
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初共演の南沙良さんと馬場ふみかさん「温度感が似ている」「自然体でいられる」自転車の二人乗りシーンに注目
原作との出会いについて井樫監督は「2023年初頭に佐藤慎太朗プロデューサーに、『読んでみてください』と原作小説を紹介されたのがきっかけでした」と話しました。また作品の印象や挑戦として「繊細な心情が描かれていると思いました。それを映像としてどう表現するかが挑戦でした」と答えましたキャスティングについて井樫監督は「南さんとは、佐藤プロデューサーと作ったABEMA短編映画『恋と知った日』でご一緒しました。また一緒に作品を作りたいなと思っていた所にこの企画が始まって、陽彩役にピッタリだと感じたんです」と答えました。南さんと陽彩の共通点を伺うと「心の中で気持ちが渦巻いている感じですね」と言い、「でも撮影してみて、役柄がそうだったから自然とそうなっていたのか、関係性ができたからなのか”等身大だな”と印象が変わるところもあって、不思議でしたね」と南さんを見ながら答えました。
馬場さんの起用について井樫監督は「キャスティングを考えている時に、ちょうど馬場さんとドラマを作っていて、江永役に合うかもしれないと思いました」と話しました。南さんと馬場さんは初共演。馬場さんは「何を話したらいいかな…という関係性から始まって、後半は気負わずに話せるようになり、撮影が終わった後は二人でご飯に行きました」と撮影時のお二人の空気感がスクリーンにそのまま映し出されているときっぱり言い、南さんも深く頷きました。
現場で二人の絆を感じたことについて聞くと、馬場さんは「南さんは現場でフラットな状態でいる方で、温度感が似ているのもあって、一緒にいるのが心地よかった」と述べ、南さんは「自然体で現場にいられることが一番ですね」とまとめました。井樫監督は二人の絆を感じるシーンとして「南さんが馬場さんを後ろに乗せて自転車を漕ぐシーン!漕ぐのが下手くそすぎてほぼ素の状態の2人なんですよね」と話を振ると南さん、馬場さんはアハハと大きく笑いました。
過干渉な母親に悩む木村を演じる本田望結さんを起用した理由について井樫監督は、言葉を選びながら「育ちの良さを感じさせるところと、長年子役やフィギュアスケートなどで大人の中で育ってきた感じがピッタリ」と教えてくれました。本田さんとの撮影について馬場さんは「集中力がすさまじくて、勢いがすごくて素敵でした」と称賛し、南さんは「私がハマっていたゲームのアプリを入れてくれて…」とゲームを通して仲を深めたと明かしました。
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井樫監督の“役年表”に馬場さん「他の現場ではあまりやらない」、南さん「役が掴みやすくなった」
主人公の陽彩を演じる南さんに役柄について伺うと「不安定な子だなという印象がありました。でも共感できるところが少なからずあったのでそこを大切にして演じようと思いました」と話しました。自分と異なる部分を役に近づけるためにどんな準備をしたのか質問を重ねると、「監督が”役年表”みたいな資料を作ってくれて、かなり助けられました」とニコリ。井樫監督に、”役年表”を通常も用意するか尋ねると「割とするほうかも…」と明かしました。すかさず馬場ふみかさんが「他(監督)の現場ではあまりないよね」と言い、南さんも同意を表しました。役年表の内容について馬場さんは「夏休みに家族で旅行に行ったとか、だいぶ詳しく書いてあります」と説明すると、南さんは「役がそれで掴みやすくなりました」と振り返りました。
劇中の陽彩は親から逃げ出した直後で苦しみの渦中にあり、雅は家族の苦しみから自力で逃げ切った後の凪のような状況です。雅が親から逃げ出す描写は劇中には描かれていませんが、馬場さんは「クランクイン前にアクティングコーチとのレッスンの機会をいただいて、雅と母親とのやり取りをやってみました。その経験が(劇中で)雅が自分の生い立ちを語るときに、自分の言葉として出てくる…役のキャラクターに近づいていく感じがしました」とアクティングコーチ初体験だったことも合わせて、井樫監督の配慮に感謝したそうです。また、馬場さんは原作と一部違った登場をする大山(伊島空さん)に襲われるハードな場面があります。「これまでに首を絞められたり、何かを投げつけられたりするなどのシーンの経験が結構ありました」とサラっという馬場さんは、本作も「熱量高くやっていましたし、時間をかけた記憶があります」とタフな表情を見せました。
最後に井樫監督は「ただ重いだけの映画ではなく、可愛らしいところだったり人生を掴みとろうとする力強さがあったりする物語なので、ご覧いただけると嬉しいです」とアピールしました。南さんは「陽彩のように、不安を抱えることが安心材料になる方がたくさんいらっしゃると思います。そのような方に寄り添える作品だと思います」とコメントしました。馬場さんは推しポイントとして「水がさまざまな形で出てきます。陽彩と雅の関係を表しているようで私はそれが好きです。水に注目して観て欲しいですね」と結びました。
作品概要
2025年7月4日(金)よりミッドランドスクエア シネマほか全国公開
監督:井樫彩
脚本:井樫彩、イ・ナウォン
出演:南沙良、馬場ふみか、本田望結、基俊介(IMP.)、伊島空、池津祥子、河井青葉
原作:武⽥綾乃「愛されなくても別に」(講談社⽂庫)
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
©武⽥綾乃/講談社 ©2025 映画「愛されなくても別に」製作委員会