2018-03-15

【3/17公開】映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』冨永昌敬監督に名古屋でインタビュー

 

『写真時代』『ニューセルフ』など、伝説的なカルチャーエロ雑誌を世に送り出してきた末井昭さんの自伝的エッセイを冨永昌敬監督が映画化した『素敵なダイナマイトスキャンダル』が3月17日に公開となります。

幼い頃に母親が隣家の若い息子とダイナマイト心中するという壮絶な体験をした末井青年が、工員、キャバレーの看板描きと職を転々としながら、70〜80年代のサブカルチャーを牽引する伝説の雑誌編集長となっていくまでを描いた青春グラフィティで、末井さんを演じるのは柄本佑さんです。

末井さんの文面に魅力を感じ、企画から長い年月をかけて映画化を成し遂げた冨永監督に名古屋でインタビューをすることができました。(取材日:2018年2月14日)

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『素敵なダイナマイトスキャンダル』映画化までの道のり

12年前に原作に興味を持った冨永監督は末井さんが出演するトークイベントを見に行き、喫煙所に末井さんがいった時に追いかけて行って、映画にしたいと話したそうです。冨永監督は当時のことを振り返り、「どうやって映画にするの?」と末井さんが驚いた様子だったことを話してくれました。その後も会うたびに「あの企画は流れちゃった?」と聞かれることもあったそうですが、実際に企画が動き出したのは2-3年前だったそうです。

企画が動き出すまで時間がかかったことについて冨永監督は「何がハードルだったのかわからない。お金のことかもしれないし、その段階では僕もプロデューサーも力がなかったからかもしれない。映画にするという気持ちを持ち続けていた。」とずっと諦めなかった強い想いを話してくれました。

冨永監督は「これをつくっただけでも一部の人達は喜んでくれる。」と話し、「映画にしたいと思っているのは、僕だけじゃないと思って、末井さんに他の人に渡さないでと頼んでいた。」と映画化が実現するまでのエピソードを教えてくれました。

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映画化で何十年ぶりに親友と再会した末井昭さん

冨永監督に完成した映画を観た末井さんの様子を聞いたところ「末井さんは人ごとのように面白がって観ていた。映画と自分を同一視していないと思います。」と話してくれました。末井さんは銀杏BOYZの峯田和伸さんが好きで、映画『素敵なダイナマイトスキャンダル』で主人公の親友・近松を峯田さんが演じていたことをとても喜んでいたそうです。

映画の中に登場する末井さんが強い影響を受けた近松の描いたポスターは、映画化にあたり実際に末井さんが近松さんに何十年かぶりに手紙を書いて、画材を持って頼みに行き、描いてもらったということを冨永監督が教えてくれました。このポスターのことは原作にも書いてあり、末井さんが近松さんに嫉妬をして奮い立たされたデザインだったのですが、近松さんは全く覚えていなかったそうで、当時のデザインを思い出しながら再現してくれたそうです。

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大学生が読めるポップなエロを追求した末井さん

末井さんはエロが好きだったわけではなく、デザインできる場所を求めて雑誌を作り、売れるためにエロをポップにしていたそうです。映画では芸術という言葉を使ってモデルの女性を裸にしていた末井さんと荒木さんの様子が描かれています。冨永監督は「荒木さんが撮っている写真は芸術だけど芸術という言葉は軽んじていて、原作を読んだ時に大笑いしたところ。」と話し、末井さんは紙媒体で表現できる限界に挑戦しながら、芸術でもエロでもなく、様々な企画をただ面白がっている様子が伝わってきます。冨永監督は末井さんをカルチャースターとして描いているつもりはなく、「面白おかしい出来事と悲惨な少年時代のことを同じ感じで書いている末井さんの文体を映画化したいと思った。」と映画の肝になっている点を教えてくれました。

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作品概要

素敵なダイナマイトスキャンダル

3月17日(土)より全国ロードショー

バスも通らない岡山の田舎町に生まれ育った末井昭は、7歳にして母親の衝撃的な死に触れる。肺結核を患い、医者にまで見放された母親が、山中で隣家のひとり息子と抱き合いダイナマイトに着火&大爆発!心中したのだ――。

末井はその後上京し、キャバレーの看板描き、イラストレーターを経て、小さなエロ雑誌の出版社へ。編集長として新感覚のエロ雑誌を創刊する。奮闘する日々の中で、荒木経惟に出会い、さらに南伸坊、赤瀬川源平、嵐山光三郎ら錚々たる表現者たちが末井のもとに参集する。発禁と創刊を繰り返し、「ウィークエンド・スーパー」、のちに伝説となる「写真時代」など、数々の雑誌を世におくり出していく…。

出演:柄本 佑 前田敦子 三浦透子 峯田和伸 松重 豊 村上 淳 尾野真千子 ほか

監督・脚本:冨永昌敬

原作:末井 昭「素敵なダイナマイトスキャンダル」ちくま文庫刊

音楽:菊地成孔 小田朋美

配給:東京テアトル

2018/日本/138分/R15+

公式HP:dynamitemovie.jp

©2018「素敵なダイナマイトスキャンダル」製作委員会

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