2023-10-26

伏見ミリオン座で開催の映画『花腐し』名古屋先行上映会 荒井晴彦監督と綾野剛さんが舞台挨拶に登壇

 

11月10日(金)より伏見ミリオン座他にて全国公開となる映画『花腐し』(読み: ハナクタシ)は第123回芥川賞を受賞した松浦寿輝氏による同名小説「花腐し」が原作で、監督をつとめる新井晴彦さんの手により“ピンク映画へのレクイエム”というモチーフが取り入れられて大胆に脚色された作品。綾野剛さんが主演を務め、柄本佑さん、さとうほなみさんが共演する、ふたりの男とひとりの女が織りなす切なくも純粋な愛を描いた物語です。

名古屋の伏見ミリオン座で舞台挨拶付き先行上映が行われ、上映前に荒井晴彦監督と綾野剛さんが登壇し、初対面のエピソードや壮絶な撮影現場の裏話をたっぷりと語りました。(2023年10月24日)

伏見ミリオン座での先行上映会 岐阜出身の綾野剛さんに「おかえりなさい」

映画『花腐し』(読み: ハナクタシ)は綾野剛さんが主人公の映画監督・栩谷(くたに)を演じ、相対する脚本家志望の伊関役を柄本佑さん、そして、ふたりと奇縁を結ぶ女優・祥子役にさとうほなみさんが出演する、ふたりの男とひとりの女が織りなす、切なくも純粋な愛の物語です。第123回芥川賞を受賞した松浦寿輝氏による同名小説「花腐し」が原作で、『Wの悲劇』(84)、『ヴァイブレータ』(03)などで5度のキネマ旬報脚本賞を受賞した荒井晴彦さんが“ピンク映画へのレクイエム”というモチーフを取り入れ大胆に脚色、自らメガホンを取って映画化した作品です。

名古屋での初お披露目となる伏見ミリオン座で行われた先行上映会には、本作をいち早く見ようと詰めかけた大勢のファンが集まりました。満席の会場から大きな歓声と拍手を受けて、上映前のスクリーンの前に登場した2人。最初に綾野さんは「素敵な劇場に来られてとても嬉しい」と笑顔を見せ、ふたりの男とひとりの女が織りなす、濃密な愛の物語である作品の「ムードを壊さないようにしたいんですが」と前置きしつつ、「映画とこの時間の寒暖差を感じてもらうのも一つの醍醐味だと思います。みなさんにとっていい時間になれば」と挨拶。

荒井さんは客席を見渡し「18歳未満お断りの映画なんだけど、(18歳未満の人が)いそうな感じがするね(笑)」と笑いを誘いました。また、岐阜県出身の綾野さんには「おかえりなさい」という声援も飛び、「帰る場所があるっていいですね。ただいまです」と、温かな雰囲気の中で舞台挨拶がスタートしました。

荒井晴彦監督から綾野剛さんへの口説き文句は“誕生日一緒だね”

脚本家として数々の名作を生み出し、監督としても高い評価を受ける荒井監督。綾野さんにとっては「実際に存在しているのかすらわからない。都市伝説化していた」というほど偉大な映画界の大先輩。『火口のふたり』(19)に続く、監督4作目となる本作のオファーについて綾野さんは「本当に嬉しかったです。役者を始めて20年経ちますが、継続していく理由を見つけるのがどんどん大変になっていく。その中で続けているとこんなご褒美があるんだなと感じました」と話しました。そして「ぜひやりたいです!」と即答し、顔合わせに臨んだことを明かしました。

ところが、当の荒井監督はそれを知らず、「誕生日が同じだということをネットで見つけて、よし、これで口説こう!と。“誕生日一緒だね”って。それで断られたらどうしようかと思っていた(笑)」と、初対面の心境を明かすと、綾野さんは「口説かれましたね(笑)」と笑顔で答え、「最初は緊張しましたが、本当にチャーミングで愛情深い方でした」と、撮影を通して感じた荒井監督の魅力を教えてくれました。

綾野剛さん「(柄本)佑くんの芳醇な声を聞いていると、ついうっとりしてしまう」

本作で綾野さんが演じたのはピンク映画業界に生きる映画監督の栩谷。脚本家志望だった伊関との出会いをきっかけに、かつて同棲していた女優に思いを巡らせていきます。お互いが愛した女について語り合う伊関役の柄本佑さんについて「同じ作品に出演したことはありますけど、ここまで会話を交わす役は初めて。個人的に佑くんのファンだったので嬉しかったです」と共演を喜び、「佑くんの芳醇な声を聞いていると、ついうっとりしてしまうので別の集中力が必要でしたけど、僕が演じた栩谷も同じ状態でしたからね」と、役との親和性の高さを語りました。

また「本格的に役者を始めたのが同じ2003年。同期だとわかって驚きました」と、意外な共通点も明かしました。一方、柄本さんを5歳の頃から知る荒井監督は「あいつは天才肌だからね。説明風なセリフがあると棒読みしたり、飛ばしたりするし(笑)」と暴露し、会場を笑わせました。

雨のシーンの撮影裏話を告白「冒頭の方の雨のシーンはマックスに雨量が多い」

本作の情緒を生み出している雨のシーンについて質問が及ぶと、綾野さんは「実は映像に映るようにするためには普通の雨じゃダメなんです。イメージで言うなら、雨粒の大きさが一円玉ぐらい。ホースをグニュって潰すとビューッとなるじゃないですか?それが何本も降ってくる感じ。雨降しチームが本当に素晴らしかったんですが、本当に嵐のようで。3秒でずぶ濡れでした(笑)」と、映像ではわからない現場の壮絶さを語り、「予告にもある雨の中で倒れるシーンでは、変な倒れ方をすると呼吸ができないぐらい。本当に溺れるよう。そんな雨の中で(祥子役の)ほなみさんも僕も佑くんも平然とやってました」と、雨のシーンを振り返りました。

また荒井監督も「しかもモノクロですからね。普通の量では映らないから、さらに雨の量を増やしたんです」と、モノクロームとカラーの映像が交錯する、本作ならではの裏話を披露。綾野は「冒頭の方の雨のシーンはマックスに雨量が多いので、ここか!と思って見てもらえたら。ある意味ではちょっとほくそ笑んでいいシーンだと思います」と注目ポイントをアピールしました。

「結果として綾野ファンに大サービスの映画になりました」と荒井晴彦監督 綾野剛さん主導で観客とも記念撮影も!

「ものすごく体力が必要な映画だから、見る前に少しでも楽しい時間を過ごして欲しい」という綾野さんの気遣いと、ユーモアあふれる荒井監督のトークによって、終始笑いが絶えない和やかな雰囲気で行われた舞台挨拶。最後に綾野さんは「僕にとってとても大切な作品になりました。ここまで見方を決めることができない作品に出会ったことはありません。これはみなさんに見ていただいて完成される作品。見終わった後にそれぞれの中で育んでいただくことで、映画が育っていく。ぜひよろしくお願いいたします!」と、観客に呼びかけていました。

そして荒井監督が「意図していた訳ではないんですけど、結果として綾野ファンに大サービスの映画になりました。映画の最後まで見てくれたら、おまけがついています」と言うと、すかさず「あっ、エンドロールの後にまだ映像がありますからね」と綾野がフォロー。さらに「そこまで言うの?」と荒井監督がツッコミを入れ、最後まで息の合ったやり取りで会場を盛り上げました。

そして舞台挨拶は終了…と思いきや、綾野さんが観客との写真撮影を提案。思わぬサプライズに会場内から喜びの声と大きな拍手が起こった。綾野は客席全体が入るよう自らアングルを試行錯誤しながら撮影。観客は大いに盛り上がり、映画を見る前の最高の時間を楽しんでいました。

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作品概要

映画『花腐し』

11月10日(金)伏見ミリオン座ほか全国公開

出演:綾野 剛 柄本 佑 さとうほなみ 吉岡睦雄、川瀬陽太、MINAMO、Nia、マキタスポーツ、山崎ハコ、赤座美代子 / 奥田瑛二

監督:荒井晴彦

原作:松浦寿輝『花腐し』(講談社文庫)

脚本:荒井晴彦 中野太

製作:東映ビデオ、バップ、アークエンタテインメント

制作プロダクション:アークエンタテインメント

2023年/日本/137分/5.1ch/ビスタ/モノクロ・カラー/デジタル(R18+)

配給:東映ビデオ

Ⓒ2023「花腐し」製作委員会

hanakutashi.com

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