川栄李奈さん初主演、大杉漣さんの遺作となった映画『恋のしずく』瀬木直貴監督に名古屋でインタビュー

10月20日に公開となる映画『恋のしずく』は、日本酒を題材とした作品で、広島県東広島市西条が舞台の青春ドラマです。農大で醸造学を研究し、ワイナリーでの研修を夢見ていた主人公が西条の老舗酒造で研修を受けることになり、酒造りの奥深さを知る物語。川栄李奈さんが初主演を果たしており、今年2月に急逝した大杉漣さんの最後の出演映画でもあります。
映画の舞台が東広島市西条となっていることについて瀬木監督は「広島を選んだわけではなく、出会ってしまったと言う感じです」と話し、日本酒の映画を撮りたいと思って知り合いの紹介や親交のある酒蔵を取材をしている中で広島に出会ったそうです。瀬木監督は「西条駅の前に7つの現役の酒蔵が密集していたんです」と言い「白壁が続いていてレンガ造りの煙突が何本も立っていて、あの光景は日本全国探してもそこにしかないと思います」と西条でしか撮れない風景があることを教えてくれました。
オールロケでオリジナルのストーリーにこだわっている瀬木監督はプロデューサー的な側面も担いながら映画を作っており、現地での人間関係を築き、資金にもある程度責任を負っていくことで自分の好きな映画作りを実現させています。映画では主人公が研修に行く老舗酒造の親子の確執や事業承継が描かれていますが、瀬木監督は現地の人々との交流の中からストーリーが生まれると言い「ある酒蔵の親子の確執を目の前で見て思いついたエピソードです。本人たちが家の話だとわかると思います」と笑いながら話していました。
映画『恋のしずく』は昨年秋に撮影が行われており、大杉漣さんは老舗酒造の蔵元を演じています。撮影現場での様子を聞くと瀬木監督は「刺々しい緊張感ではなく、若い俳優が役に集中できるようにもっていく振る舞いをしていました」と話していました。特に「劇団EXILE」の小野塚勇人さんと親子の確執を演じるシーンの前に大杉さんは打ち合わせを一切しなかったそうです。撮影が終わってからはフレンドリーだったそうですが瀬木監督は「小野塚君はれんさんに挨拶をしたけれど、(大杉さんは)プイっと行っちゃったので、自分が嫌われたのではないかと不安に思ったと言っていました」と撮影時のエピソードを語っていました。
大杉さんは自身が演じた乃神が65年間、どんな空気を吸っていたのかを自分の中に取り入れようと思ってよく散歩に出かけていたことを監督に話していたそうで、大杉さんが「それが役に立ったかどうかわからないんだけどね」と笑顔を見せていたと教えてくれました。瀬木監督は「人間としての優しさや度量の大きさを感じました。奢ることや威張ることがなく、現場を楽しんでおられました」と話していました。映画の中でも川栄さんとお酒を飲むシーンなどでは大杉さんの温かやや優しさが伝わってきます。

『恋のしずく』10月20日(土)丸の内TOEIほか全国ロードショー(10/13(土)広島県先行ロードショー)©2018 「恋のしずく」製作委員会