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2026-09-27

「マジか」父の欠席を知った市川新之助さん、「カンカン、頑張ってきてね」父の言葉を胸に一人で名古屋舞台挨拶


 

9月25日(金)より公開のドキュメンタリー映画『襲名』は、2022年に行われた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の全貌を真正面から捉えた歌舞伎記録映画です。監督を務めるのは三池崇史さん。祝幕を現代アートの巨匠・村上隆さんが手がけ、市川團十郎さんをはじめとする当代を代表する歌舞伎俳優たちが出演しています。伝統芸能「歌舞伎」の真髄と、その継承の瞬間を映像に刻み、世界へ発信する作品です。

公開2日目、名古屋駅前のミッドランドスクエア シネマで公開記念舞台挨拶が行われ、市川新之助さんが登壇しました。当初は市川團十郎さんも登壇予定でしたが、体調不良のため急きょ欠席。新之助さんは「心細い中ではございますが」と率直な思いを明かしながら、一人で舞台に立ちました。前日の夜から父の体調が安定せず、朝になって名古屋へ来られないことが分かったといいます。新之助さんが「マジか」と思った一方、父からは「カンカン、頑張ってきてね」と声をかけられたことを話しました。この日大阪でも1人で舞台挨拶を行った新之助さんでしたが、家族のもとを離れて一人で登壇するのは初めて。「心細い」としながらも、父の言葉を胸に名古屋の観客と向き合いました。

映画を観て感じた父への思いや、幼い頃の自分への率直な感想、ヴェネチア国際映画祭での経験を語りました。さらに、父や姉との関係、8歳の頃の名古屋公演の思い出、村上隆さんからもらったカブトムシのエピソードも披露。最後は300人を超える観客とのじゃんけん大会で会場を盛り上げ、温かな笑顔と拍手に包まれた舞台挨拶の様子をご紹介します。(取材日:2026年9月26日)

「1人反省会をしていました」映画『襲名』で気づいた、あの頃の自分と父の思い

映画の中には、團十郎さんの体調不良を受け、新之助さんが父に代わって舞台に立つ場面も登場します。今回の舞台挨拶で新之助さんは、現在の自分と映画に映る当時の自分が少し重なったと振り返りました。改めて映画を観ることで、当時は自分でも気づいていなかった不安や、必死に頑張っていた気持ちに気づいたといいます。また、襲名興行が新型コロナウイルスの影響で延期された経緯についても、映画を観て初めて知ったことがあったそうです。父が「お客さんが風邪をひいたらいけない」と観客の健康まで考えていたことを知り、「こんなことまで考えていたんだ」と感じたと話しました。

一方、スクリーンに映る幼い自分を観るのは「恥ずかしかった」と新之助さん。実際の舞台では緊張しても「恥ずかしい」とは感じないそうですが、過去の自分を客観的に観ることで、思わず「1人反省会」をするような気持ちになったと語りました。

「レッドカーペットは小学校で毎日」新之助さんが語る、ヴェネチアでの意外な思い出

『襲名』はヴェネチア国際映画祭のアウト・オブ・コンペティション部門に正式選出され、日本映画として初めてCinema & Arts AwardのBest Filmを受賞しました。この話題が紹介されると、会場から大きな拍手が起こりました。ヴェネチアを訪れた新之助さんは、水上タクシーでホテルへ向かいながらセリフの練習をしたことや、現地の観客が上映前から拍手を送り、上映後にも大きな拍手を送ってくれたことを振り返りました。「映画への情熱を感じました」と、海外の観客の熱気を語りました。そして話題はレッドカーペットへ。実は新之助さんにとって、レッドカーペットは特別に珍しいものではありませんでした。当時通っていた小学校の教会の中にはレッドカーペットがあり、毎日のようにその上を歩いていたといいます。

一方、ヴェネチアでは歌舞伎の衣装と鬘を身につけた父・團十郎さんがレッドカーペットへ。「勇気があるな」と思ったという新之助さん。カーペットへ向かう前からスマートフォンで撮影され、團十郎さんが「恥ずっ」と言っていたというエピソードも披露しました。今後も海外へ行きたいという思いも語りました。

「似ているところは本当にない」!? 新之助さんが語った父と姉、そして8歳の名古屋

父・團十郎さんについて「尊敬できるところはたくさんある」としながらも、「似ていると思うところは本当にない」と話した新之助さん。姉の麗禾さんと父のほうが似ているといい、どんなところが似ているのかと聞かれると「言いたくないです」と笑いながらかわす一幕もありました。運動についても「僕はインドア派」と話し、アウトドア派の麗禾さんとは対照的な一面を明かしました。一方で、父が早起きして体のメンテナンスをしたり、サウナに行ったり、早く寝たりする姿には「健康生活」として尊敬していると語りました。

そして、名古屋で行われた襲名興行の思い出へ。会場に「観に来た方」と問いかけると、多くの観客が手を挙げました。8歳の頃に名古屋を訪れた際には、大きな温泉に行ったり、歌舞伎の演目「外郎売」を演じたりした思い出も。公演の後半に体調を崩したことは当時の大変な記憶でしたが、周囲の人たちに支えてもらいながら最後までやり切ることができ、「今となってはいい思い出」と振り返りました。

村上隆さんが手がけた巨大な「祝幕」 新之助さんが語ったカブトムシの思い出

『襲名』では、十三代目市川團十郎白猿襲名披露公演のために現代美術家の村上隆さんが手がけた「祝幕」の制作過程も描かれています。高さ7メートル、幅32メートルという巨大な祝幕は、2022年11月の歌舞伎座公演でお披露目されました。ミッドランドスクエア シネマのスクリーンは高さ6メートル、幅14メートル。祝幕とスクリーンの大きさを比較して紹介されると、そのスケールの大きさに改めて驚かされます。祝幕が完成する前には、新之助さんは父とともに村上隆さんを訪ねた完成前の祝幕を見たことも。その際、村上さんからカブトムシをもらったという新之助さん。司会から「逃げたりしなかったですか?」と聞かれると、「逃げてはいないです」と答え、夜になると元気に動き回っていたカブトムシの様子を語りました。

映画の中には、新之助さんが楽屋でカブトムシをもらって喜ぶ場面も登場します。舞台挨拶ではさらに、歌舞伎座でカブトムシがいなくなり、みんなで探したことがあったというエピソードも披露。映画に登場するカブトムシとは別の出来事ですが、作品を観たことで当時の記憶がよみがえったと話しました。

「チョキ出します!」300人超が熱狂、新之助さんの“必勝法”でじゃんけん大会

舞台挨拶の後半には、祝幕のデザインをあしらった非売品の手ぬぐいを懸けたじゃんけん大会も行われました。新之助さんと観客300人がじゃんけんで対戦し、最後まで勝ち残った1人に手ぬぐいがプレゼントされるという企画です。新之助さんは必勝法を知っているのかじゃんけんがとても強く、数回のじゃんけんであっという間に残り3人に。さらに「チョキ出します」など、次に出す手を予告する心理戦も繰り広げ、じゃんけん大会そのものをエンターテインメントとして盛り上げました。

最後に新之助さんは、父が不在となったことで不安を感じていたことを改めて振り返りながらも、会場の温かな笑顔に迎えられたことで「すごい楽しかったです」と笑顔を見せました。そして「また、映画『襲名』、観に来てください」と呼びかけ、温かな拍手に包まれながら舞台挨拶を締めくくりました。

父・團十郎さんの突然の欠席という出来事から始まった一人での舞台挨拶でしたが、映画の中で描かれた「襲名」という大きな節目を振り返りながら、ヴェネチアでの経験や家族の思い出、そして名古屋との縁まで、さまざまなエピソードを語った新之助さん。満席の会場は、最後まで温かな空気に包まれていました。

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作品概要

『襲名』

9月25日(金)全国ロードショー

2022 年に行われた「十三代目市川團十郎白猿襲名披露」の全貌を真正面から捉えた、壮麗なる歌舞伎記録映画である。監督は世界で知られる三池崇史。祝幕は現代アートの巨匠・村上隆が手がけ、出演には市川團十郎をはじめとする当代随一の名優たちが顔を揃える。豪華絢爛な制作陣と出演者によって、日本の伝統芸能「歌舞伎」の真髄と継承の瞬間を未来へと残し、その魅力を世界へと発信することを目指す。

出演:市川團十郎 市川新之助 ほか

監督:三池崇史

祝幕:村上 隆

製作:紀伊宗之

プロデューサー:田中傳次郎 坂美佐子

制作プロダクション:オー・エル・エム PlanD

協力:日本俳優協会

特別協力:松竹

配給:K2 Pictures

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