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2026-08-18

安田章大さんが企画、のんさんとW主演 ASDの兄とカウンセラーの妹 大阪の人情が醸し出す温かさを感じる映画『平行と垂直』の小林聖太郎監督に名古屋でインタビュー


 

8月28日(金)より公開の映画『平行と垂直』は、清掃の仕事に就き、周りのサポートを受けながら自立した生活を送る自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴と、カウンセラーとして働きつつ、兄を支えることを当たり前としてきた妹・希の日常が、希自身の結婚話をきっかけに揺れ動く様子を描いたヒューマンドラマです。安田章大さんがASD監修チームの取材や交流を経て、大貴役を丁寧に演じ、妹の希役をのんさんが務めました。そのほか伊島空さん、菅原大吉さん、神野三鈴さん、高山トモヒロさん、谷村美月さんなど、キャスト陣の誠実な芝居によって、映画『平行と垂直』の世界が彩られます。

支え合って生きてきた兄妹が、現在と過去を織り交ぜながら、2人の日々を優しく紡ぐのは、これまで映画『毎日かあさん』(2011年公開)、『マエストロ!』(2015年公開)、『初恋 お父さん、チビがいなくなりました』(2019年公開)などのメガホンをとってきた小林聖太郎監督です。映画の公開を前に、名古屋で小林聖太郎監督にインタビュー。安田章大さんの人柄、のんさんキャスティングの理由、撮影秘話などを話してくれました。(取材日:2026年7月30日)

安田章大さんの印象を語る小林聖太郎監督「初対面の時から普通」「圧がなくてフラット」作業所での質問、不思議な直感での表現を目撃

映画『平行と垂直』は、自閉スペクトラム症(ASD)の兄・大貴と、結婚を控えた妹・希が人生の節目にそっとふれあいながら、自分たちの“これから”を見つめ直す物語です。本作の企画は、安田章大さん(SUPER EIGHT)が山野海さんのオリジナル脚本に心動かされ、旧知の佐藤現プロデューサーに映画化を持ちかけたことからスタート。そこへ企画意図に共感した小林聖太郎監督が加わり、撮影へと進んでいきました。

小林監督に、本作『平行と垂直』の映画企画に初挑戦した安田章大さんの熱量はかなりのものだったのでは……と尋ねると、「熱い想いを持ってグワ~っという感じ」と声を強め、「……ではなく初対面の時から普通、なんですよ。圧がなくてフラットに接することができる感じから始まって、今もそうです」と静かなトーンで答えました。そして、厳密には10年くらい前に、横山裕さん(SUPER EIGHT)に映画『破門 二人のヤクビョーガミ』(2017年公開)に出演してもらった縁で、SUPER EIGHTのライブに何度か行った際、安田さんと顔を合わせていたと補足し、「でも、ほぼ初対面ですね」と微笑みました。小林監督は安田さんの佇まいを「不思議な距離感です。いつの間にかこの辺にいるみたいな感じです」と評しました。

先日のNHKの朝の番組「あさイチ」に安田さんが出演した際、本作に出演するのんさんがインタビューで、安田さんを「計り知れない人」と表していたと小林監督にお話しすると、「安田君の幅の広さ、太さ深さみたいなのを彼女は違う言葉で言ったのだと思います」と大きく頷きました。具体的なエピソードとして、安田さんと一緒にASDなど障がいを持つ人たちがアートを通して社会と繋がる就労継続支援B型の作業所を見学したときのことを挙げました。小林監督は「制作陣が具体的な質問を重ねる中で、後半に安田君がどういうジャンルかすらも言えないような抽象的ですごい質問をしたんです」と話しました。小林監督は「僕を含めてスタッフも『はて?』となるような質問でしたが、作業所の方が『まさに、それなんです!』と安田君と2人だけで通じ合っているらしいことが分かって不思議でしたね。直感でなにか表現したのでしょう」と安田さんの計り知れない一面を明かしてくれました。ちなみに小林監督が着ているTシャツは、その作業所で描かれた絵がプリントされたものだそうです。(嬉しそうにTシャツを見せてくれる監督・・・)こうしたご縁を大事にする小林監督の素顔が表れているようですね。

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監督のオファーを受け、初めて脚本を読んだときの感想を尋ねると、小林監督は「やっていいのかな…とハードルが高く感じました。(障がいのある方を描くので)自分にそんな繊細なことを扱う資格があるのかということがありました」と率直に答えました。脚本をブラッシュアップさせていくことを条件に監督を引き受け、小林監督・佐藤現プロデューサー・脚本の山野海さん・安田章大さんの4人でまず顔を合わせたそうです。「“初めまして”から7、8時間ずっと喋っていました。一緒に旅をする仲間がこんな人だというのを確かめ合ったような、あまり経験したことのない時間でしたね」と振り返り、「ここからスタートして、ゴールを目指していきましょうという感じの入り方でした」と、映画製作の船出を振り返りました。

ASDの兄を持つ妹の希役にのんさんを迎えた理由を聞くと、「希は大変な状況にいる人なんですが、その明るさや前向きさが大事なキャラクターです。それでのんさんが良いのではと思いました」と答え、「のんさんは普通の役が意外と少ない気がします。年齢も職業もその辺にいる人を演じている姿が見たいなという気持ちもありました」と加えました。本作は大阪府堺市が舞台の物語なので、のんさんが大阪弁で話す姿が見られます。これまでとはまた違った等身大の女性を演じるのんさんに新鮮味を感じる方も多いのではないでしょうか。

初共演とは思えない安田さんとのんさんが醸す「きょうだい」感。撮影中の2人がどんな様子だったのか伺うと、小林監督は「二人は音楽をやっているので、ギターの話や音楽絡みの共通の知人の話をしていたようです。絵も描くし、そういうところが通じ合っていたのかなと思います」と振り返りました。安田さんとのんさんの初めてのシーンは、ストーリー中盤の駅でのシーンだったそうです。そのシーンで2人のキャスティングに確信を持ったのでは、と尋ねると、小林監督は「監督って違和感発見装置だと思うんです。そのシーンに嘘がないかな…と見つける係なので、それが発動しなかったということは良いということですかね」と謙遜気味に答えました。そして、「演出面でいろんな策略を練って行くわけですが、策が見えないようにバランスを考えて微調整するのですが、はじめの1週間以降、は違和感発見装置が発動することはほぼなかった」とスムーズに撮影が進んだと述べました。

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繊細なテーマゆえ、取材を徹底的に行って臨んだ映画『平行と垂直』は、兄妹や彼らをとりまく人々の姿に加え、ASDに対する偏見や無理解のために起こるトラブルも描かれており、徹底した専門家チームの監修で繊細な部分を丁寧に紡いだことが伝わってきます。“平行と垂直”にこだわりをもつ大貴は、清掃の仕事でトイレットペーパーを補充する配置にも時間がかかります。歩いているとき、角は直角に曲がり、昼食で持っていくオニギリも四角形など、大貴のこだわりの強さが見て取れます。その大貴の四角いオニギリを我が物顔で頬張る5歳の少女・紗奈が登場するのですが、独特の存在感で大阪弁の長台詞を立て板に水のように話す姿が印象的です。

小林監督に紗奈を演じた河野咲良さんについて聞くと、「何が入っているのでしょうね~。分からない仕組みで動いている」と笑いました。安田さんと河野さんの共演シーンについて、小林監督はしばらく考えて「そういえば、何日目かに安田君が写真集を出して彼女にあげたのかな。家で『この髪型、ええな』、『これも似合うな』と話していたと彼女のお母さんが言っていました。誰目線や?」とツッコミながら教えてくれました。監督の傍らにいた宣伝プロデューサーの丸山さんが大阪の内覧上映会で子役たちと会ったそうで、「(河野さんは)歯が2本抜けて可愛いらしくなっていました」と補足。試写の時の河野さんの様子について丸山さんは「自分のことは言っていませんでしたが、『ええ映画やな』みたいに言っていました」と言うと、小林監督は「誰目線やねん!」と再びツッコミを入れて掛け合いました。丸山さんは「河野咲良ちゃんと言えばミカン。オーディションで好きな食べ物はって聞かれて間髪入れずに『ミカン』と答えていて、ミカンが箱で差し入れられるから現場はミカンでいっぱいでした」と、そんな風に周りから愛されるキャラクターだったと話しました。

子役の活躍は河野咲良さんだけではありません。希の幼少期を演じた武藤凪さんも希の大らかでまっすぐな性格を体現し、大貴の幼少期を演じた髙田幸季さんはクランクイン前にASDの特徴を踏まえた目線や動きのレクチャーを受け、それを役作りに落とし込んでいます。小林監督は「中京大学の辻井正次先生(心理学者で発達障がい研究の第一人者)にASDの監修をお願いしましたが、先生のご都合で名古屋を離れられなかった時に合間の空時間で良ければ…と(髙田君の)指導を名古屋の先生のところで受けさせていただきました」と話しました。「大阪から幼少期の大貴役の髙田幸季君とお母さん、東京から僕と安田君が名古屋で落ち合い、辻井先生のレクチャーを受けました。その後、先生のところに来ていたASDの当事者の人たちが10人ぐらいいたので皆さんといろいろ話しました」と明かし、名古屋との浅からぬ縁を感じさせてくれました。

小林監督はレクチャーについて「辻井先生から、『洋画でも邦画でも子役でASDの役を(違和感なく)できた子はほぼいないですよ』と挑戦状を叩きつけられました」と砕けた表現で話しました。髙田幸季さんとお母さんは辻井先生に発破をかけられたことで奮起し、YouTubeやドキュメンタリーなどを見ていろいろ研究して撮影に臨んだそうです。

「“ありがたさ”と“鬱陶しさ”がないまぜになった大阪人情」による温かさを感じる作品

小林監督は、映画『平行と垂直』の舞台が大阪であることについて「初稿の脚本が大阪弁で書かれていたのは、大阪が他人との距離が近めだというイメージを利用しているところがあるのかな」と類推しました。大阪出身の小林監督が自身のエピソードとして「東京生活が10年ほど経った頃に大阪に帰省して銭湯に行ったんです。入浴後に背中を充分に拭かずにTシャツを着たら、遠くで座っていたオジサンから『あんたまだ背中濡れとるで』と、心配の声を掛けられました」と言い、その時に“ありがたさ”と“鬱陶しさ”がないまぜになった大阪人情を感じたと話しました。その大阪人情が作品世界を温めています。

相手の話を理解し考えることができるものの、なかなか言葉を出せない特性を持つ大貴と、相手の言葉を受けとめるカウンセラーの仕事に就く希は、非言語コミュニケーションも取りつつ「言葉」というものに囚われているように感じます。最後に小林監督にとって、言葉とは何かを問うと「僕たちは言葉でしかコミュニケーションがとれないので話さざるを得ないのですが、お互いに言い間違いや捉え方の違いもあって面倒くさい」と言い、言葉によって救われる場合や何かが生まれることがあるので、「難しいけど、面白いことでもある」とまとめました。ふだん何気なく使っている言葉について改めて見直すきっかけとなりそうです。日々の中で見落としがちな“人を想うこと”の優しさと、誰かと生きることの難しさと温かさ……映画『平行と垂直』は日常の奥にある小さな光をそっとすくい上げてくれる作品です。ぜひ劇場でご覧ください。

8月29日(土)名古屋で『平行と垂直』公開記念舞台挨拶 安田章大さん、小林聖太郎監督が登壇

映画『平行と垂直』の公開2日目に名古屋のミッドランドスクエアシネマで公開記念舞台挨拶が行われ、安田章大さん、小林聖太郎監督が登壇します。チケットはインターネット抽選販売となっていて、受付は終了していますが、プレミアムシートは8月22日(土)からの一般販売(先着)となるので、ぜひチェックしてください。

開催日時:2026年8月29日(土)8:50の回  上映終了後 舞台挨拶 12:00の回 上映開始前 舞台挨拶

<イベント情報>8月29日(土)『平行と垂直』公開記念舞台挨拶の実施決定!!

作品概要

映画『平行と垂直

8月29日(土)よりミッドランドスクエア シネマ、センチュリーシネマ他全国公開

出演:安田章大、のん 伊島空、高山トモヒロ、谷村美月、福田転球、芦川誠、早織、久保田磨希 河野咲良、髙田幸季、武藤凪、林英世/神野三鈴、菅原大吉

監督:小林聖太郎

原案・脚本:山野海

音楽:富貴晴美

企画:安田章大

企画プロデュース:佐藤現

プロデューサー:樫﨑秀明、竹下新悟

ASD監修:辻井正次、伊庭葉子、浮貝明典

配給:東映ビデオ

©2026「平行と垂直」製作委員会

公式HP:https://www.toei-video.co.jp/heikoutosuichoku/

X:@heikou_suichokuInstagram:@heikou_suichoku


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