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2019-08-09

「新海監督のビデオコンテが壁でした」映画『天気の子』名古屋舞台挨拶に新海誠監督、醍醐虎汰朗さん、森七菜さんが登場


 

アニメ映画『君の名は。』の新海誠監督による3年ぶりの新作映画『天気の子』は公開から3週連続で週末観客動員1位を記録し、興行収入は59億円を突破しています。雨続きの東京を舞台に離島から家出してきた少年が、空を晴れにできる不思議な力を持った少女と出会ったことで物語が進んでいきます。大ヒットを記念して全国各地で舞台挨拶が行われており、8月5日と6日には愛知県と岐阜県に新海監督とキャストの醍醐虎汰朗さんと森七菜さんが来てくれました。

名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで行われた舞台挨拶の様子をレポートします。(取材日:2019年8月5日)

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新海誠監督「初めてがもらえると思ったんだよね。もう大丈夫です」と醍醐虎汰朗さんを突き放す!?

名古屋駅前のミッドランドスクエアシネマで映画『天気の子』の上映前に行われた舞台挨拶に新海誠監督と主人公の少年・帆高役の声を担当した醍醐虎汰朗さん、ヒロイン・陽菜の声担当したの森七菜さんが登場しました。満席の客席に向けて新海監督は「暑い中、ありがとうございます」と挨拶し、森さんが「お集まりいただ、だだ、き」と少し噛んでしまい「(映画の)本編の中では頑張っているので、楽しんでください」と笑顔をみせてくれました。

大分出身の森さんは名古屋に初めて来たと言い「素敵な街並みでした!大きなビルもあって、公園もあって、こんな場所に住めたらいいな」と初名古屋を楽しんでいる様子。一方の醍醐さんは映画の撮影で1週間半前にも名古屋に来ていたそうで「味噌煮込みうどんを食べました」と話すと、新海監督は「じゃあ、醍醐くんは今晩は食べなくていい。初めてがもらえると思ったんだよね」と醍醐さんと森さんに名古屋で「初・味噌煮込みうどん」をプレゼントしようと考えていたようでした。

「じゃあ初めてってことで」と何とか挽回したい醍醐さんを「あーもう大丈夫です」と突き放す新海監督のやり取りを微笑ましく感じました。

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1カ月に及ぶアフレコ 醍醐さんと森さんの壁は新海監督のビデオコンテ

新海監督は「(映画の中の)彼らは誰もが褒めてくれる行動をするわけではないので、この映画でよかったか不安になったりもしました」と公開直前まで無我夢中で制作を続けていたことを話しました。また「アフレコには1カ月以上の時間をかけて、たっぷりやらせてもらいました」と強いこだわりがあったと言い、醍醐さんと森さんが初めて声優に挑戦したこと以外にも時間がかかった理由として「『君の名は。』に比べて登場人物が多いです。モブ(群衆)キャラがすごく多くて、アフレコスタジオに200人くらいの人が入ったこともありました。何班かに分けて、入れ替え入れ替えでやっていました」と大人数が参加するアフレコが行われていたことが明かされると、醍醐さんと森さんも興味津々の様子で「(そのアフレコ現場に)行きたかったです」と口にしていました。

森さんのアフレコ初日の様子について新海監督が「一切、笑顔がなかったんです。いざアフレコを始めようとなったらひと筋ふた筋、涙を流して・・」と話し、森さんは「新海さんやスタッフの皆さんに、(陽菜役が)この子じゃなければ良かったって思われるのがすごく怖くて、なかなか一言めが出せなかったんです」と極度の緊張状態だったことを明かしました。次第に楽しくなった1カ月間のアフレコを振り返り「本田(翼)さんとは一人暮らしの話とかいろいろしました」と共演者とのエピソードを披露。醍醐さんが「すごい盛り上がってて、女子会みたいにだったよね!」とアフレコスタジオの前まで笑い声が聞こえるほどだったと教えてくれました。本田さん演じる女子大生の夏美と陽菜との会話のシーンは新海監督が「ベクデルテスト」という「ヒロインが恋愛以外の話を名前を持っている女性とする」ことを意識したために入れられたそうです。新海監督の発言ではありませんが、一般的にこのテストをクリアしている作品は興行成績が良いという調査結果もあるそうですよ。新海監督は「ヒロインも現実の世界では普通に他の人との会話があっていいはずで、、」と話し、陽菜を登場人物の一人として立体的に描こうという意図があったようです。

観客からのリクエストで新海監督が森さんと一緒に帆高と陽菜のあるシーンを見事に再現すると醍醐さんが「今聞いてもらったとおり新海監督って(キャラクターに声をあてるのが)本当に上手なんです」と話し、森さんが「今のレベルのものを全キャラクターでやってらして、新海監督の声が壁でしたね」と話すなど新海監督が制作するビデオコンテはキャストにとっての指針であり壁であったことを打ち明けました。2人からの絶賛を受けた新海監督は「最初に(自分の)声を入れるんですけど、(キャストの)皆さんが想像もしなかった声とクオリティーで上書きしてくれるのが楽しかったです。どんどん自分の声が消えていく1ヵ月間が幸せでした」とアフレコの期間を振り返っていました。

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熱烈なファンからの変化球に富んだ質問の数々

この日の舞台挨拶は観客からの質問に答えるティーチインの時間がたくさんあり、客席には既に40回以上も『天気の子』を観たという観客の姿もあり、醍醐さんが「どんなスケジュールなんだ?」と聞かれると「1日5回観たこともある」と答えていました。新海監督の大ファンだという男性が新海監督の作品にドコモタワーが出てくる理由を聞くと、新海監督は「新宿あたりに住んでいるんですけど、どこからでも見えるんですよ。まっすぐに空をさしている姿がきれいだなと思って、なんとなく風景に入れるようになりました。その後、新宿を舞台にし続けているのでどうしても入ってしまうんです」と作品の象徴のようになっているドコモタワーについて語りました。今回の作品では描くかどうか迷ったそうですが「モデルにしようと思った廃ビルのすぐ裏にドコモタワーがあって、どうしても入ってしまうからしょうがないと思って今回も入れました」と話しました。また新海監督の娘で子役として活動している新津ちせさんのエピソードとして「娘はドコモタワーのことをパパのビルと呼んでいます」と会場を笑わせました。

新海監督からのムチャぶりで醍醐さんと森さんがアカペラで映画の主題歌であるRADWIMPSの「愛にできることはまだあるかい」の一節を披露する一幕もあり、戸惑う醍醐さんに対して、腹をくくった森さんの様子が対象的でした。2人は客席に背を向けて音程を確認し、美しいハーモニーでサビのフレーズを歌唱してくれましたが、新海監督からは「醍醐くんはもう一回録りなおしたい(笑)」とツッコミつつ「2人の声そのものが映画の声なので」と素敵な歌声だったと感想を述べていました。

また観客からの制作中の出来事で印象に残っていることは?」という質問に森さんが「大変な時もありましたけど後で振り返ると雨も晴れもいい天気だったよねって思いますね」という完璧な回答をし、醍醐さんが「ステキだねー今の言葉!俺も使おう」と感心していました。同じ質問に新海監督は「映画の後半は、特に帰り道は一人で居酒屋に寄ってビールを飲みながらちょっとやってられないって思ったり、、、、でも楽しかったですけどね。2年半くらい毎日同じところに通うのは辛かったです」と本音をのぞかせました。

新海監督が観客に向けて『天気の子』で流れるRADWIMPSの曲の人気をアンケートしたり、観客からは映画から離れて「好きなタイプ」についての質問も飛ぶなど、意外な展開に戸惑いながらも楽しそうに答えている3人の様子がほほえましかったです。

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「何回観ても気持ちが満杯になる」

舞台挨拶も終盤になり、醍醐さんは「すごくいい経験、貴重な濃い時間を過ごさせてもらったなと思います」と主人公の声をつとめたことに感慨深げな様子をみせました。森さんは「何回でも観たくなるっていう感覚が初めてでした!何回観ても気持ちが満杯になって帰れるのが『天気の子』です。皆さんにも味わっていただけたらと思っています」と作品への強い愛情と自信を観客に伝えました。

新海監督は「『君の名は。』でたくさんの人に(作品を)観てもらうことができたので、もう少し僕にも何かできるんじゃないかと思えました」と前作の公開後に感じたことを話し、これまでは観てほしい人を細かなイメージを持っていたそうですが「(『天気の子』では)初めて、日本の若者という大きな単位に向けて映画を差し出してみたいなという気持ちになりました」とより多くの人に届くような作品を作ったことを語りました。



作品概要

映画『天気の子』

全国東宝系公開中

声の出演:醍醐虎汰朗 森七菜 本田翼 倍賞千恵子 小栗旬

原作・脚本・監督:新海誠

音楽:RADWIMPS

制作:コミックス・ウェーブ・フィルム

©2019「天気の子」製作委員会

 


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