親子共演決定の裏話も!村上虹郎さん主演の映画『銃』日南響子さん、武正晴監督、奥山和由プロデューサーに名古屋でインタビュー
11月17日に公開となる映画『銃』は16年前に発表された芥川賞作家・中村文則氏のデビュー作を実写映画化した作品で、主演を村上虹郎さんがつとめています。普通の大学生がある日、偶然拾った拳銃の魅力に支配され、徐々に狂気をはらんでいく様子がモノクロ映像で描かれています。
本作にミステリアスな女性役で出演している日南響子さんとメガホンをとった武正晴監督、奥山和由プロデューサーが名古屋でインタビューに応じてくれました。(取材日:2018年11月8日)
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原作者との信頼関係を築いた奥山プロデューサーと助監督時代の武正晴さん
映画『銃』の原作は愛知県出身の芥川賞作家・中村文則氏のデビュー作です。奥山和由プロデューサーが映画化の相談をしに行ったときには、すでに別に企画が進んでいると一度は断られたそうです。しかし奥山プロデューサーは「なんとなく自分に原作がくる気がした」そうで、まずは「銃」の文庫版に収録されている短編小説「火」を桃井かおりさん主演・監督で映画化し、「そこで信頼関係がうまれた」と当時のことを振り返っていました。
奥山プロデューサーは1995年に公開されたガンアクション映画『SCORE』や石井隆監督によるバイオレンスアクション映画『GONIN』で助監督をつとめていた武正晴監督に全幅の信頼を寄せていたそうで「武さんがやってくれるなら何も言わずにお願いしようと思っていました」と語りました。武監督は「助監督をやっていなかったら、この映画は作れませんからね」と話し、「(『GONIN』は)素晴らしく刺激になる作品だった」と奥山プロデューサーの作品で助監督をしていたことが今作に繋がっていることを明かしました。
スポンサーリンク原作の世界観と銃のリアリティ、映画音楽に注力
武監督は『銃』の映画化にあたり「中村さんの小説の世界観をどうやって自分で入り込んでいくか、そこの苦しさはありました」と話し、奥村プロデューサーも「脚本を作るのがものすごく難しかった。真髄の部分を映画化する人がつかめるかどうかが大切」と苦労を語りました。武監督は「(原作者の)中村さんに会った時に『青春なんですよこの小説』って言われた時に楽になったんです」と話し、奥村プロデューサーは「(中村さんは)『こんなに簡単にオーケーしてしまうとは思っていなかった、打ち合わせでは武さんからの言葉全部が腑に落ちた』と言っていました」と中村さんが武監督に全幅の信頼をしてくれていたことを教えてくれました。
映画『銃』は武監督が小説の核だと思った部分を際立たせるために、ほとんどのシーンがモノクロ映像で描かれています。これは脚本完成前からの武監督の希望で、奥山プロデューサーも快諾したそうです。また武監督は主人公トオルが拾う銃のリアリティやサウンドデザインにこだわり、特に音については「映画音楽を作りたいと思った」と『百円の恋』でも音楽を担当した海田庄吾さんにお願いして作り上げ「最後まで粘りました」と力を入れていたことを教えてくれました。
スポンサーリンク村上親子の共演は不測の事態による産物
映画『銃』には主人公のトオルを演じる村上虹郎さんと実の父親である村上淳さんの共演シーンがあります。他の俳優さんの出演予定が取りやめになったため、村上淳さんにお願いすることになり、虹郎さんも「おもしれー」と受け入れてくれたそうで、「(衣装合わせに来た)村上淳さんも明らかにのっていました」と様子を教えてくれました。また、映画の初号試写の際に村上淳さんが奥山プロデューサーに「上手いよねー」と言ってきたそうで、その雰囲気が「いい感じで親子使ったよなというような感じ」だったと話していました。
2人の共演シーンの撮影について聞くと、武監督は「実際の電車を貸切にしての撮影で時間の制限もあり、一番の見せ場でもあったので、一番緊張感のある撮影でした」と話し、「村上淳さんという男がいてくれたことで現場が締まったし、映画の撮影って幸せな瞬間だなと思いました」と教えてくれました。虹郎さんは淳さんのそばに寄り添っていたそうで、武監督は「あの時の虹郎が本当にいい顔してるよ」と2人の共演シーンを語りました。
スポンサーリンク愛知県出身の日南響子さんがミステリアスな「トースト女」を好演
主人公トオルが合コンで出会いセックスフレンドになるミステリアスな女性を演じた日南響子さんは今回の役のオファーを受けた時に「服を着ていないシーンがほとんどだったので、武監督は大事なことなのでちゃんと話し合い会いましょうと時間をとってくれました」と話していました。日南さんが演じる「トースト女」はトオルの心境が変化するときに一緒にいる大事な役ですが、日南さんは「あまり事前に準備をしすぎずに、虹郎くんに委ねて自然に反応するようにしました」と語りました。
日南さんに映画『銃』の見どころを聞くと「忙しい展開がない中で空気感やジワジワと引っ張られる面白さ、時間がゆったりと流れている作品なので、ゆっくりと物事を飲み込めると思います」と話し「この映画は男性がいい仕草をするのでちょっと悔しくなったり、カッコいいなと思いました」とリリー・フランキーさん演じる刑事がトオルと喫茶店で向き合うシーンが気に入っていることを明かしました。
また「もし日南さんが銃を拾ったら?」と聞くと「私、拾って、同じように磨きます。磨くのが趣味なんです」と答え、レザーの財布やキーケース、靴や鞄を磨いていることを教えてくれました。トオルが銃を磨いているシーンを羨ましいと感じてたそうで、「使うかどうかはわからないけれど、とりあえず飾っておくと思います」と笑顔をみせました。
作品概要
2018年11月17日(土)から伏見ミリオン座ほかにてロードショー
監督:武正晴
脚本:武正晴、宍戸英紀
原作:中村文則『銃』(河出書房新社)
出演:村上虹郎 広瀬アリス 日南響子 新垣里沙 岡山天音 後藤淳平(ジャルジャル) 中村有志 日向丈 片山萌美 寺十吾 サヘル・ローズ 山中秀樹 リリー・フランキー
上映時間:97分
配給:KATSU-do、太秦
© 吉本興業
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