映画『泣き虫しょったんの奇跡』松田龍平さんと豊田利晃監督に名古屋でインタビュー

9月7日より公開となる映画『泣き虫しょったんの奇跡』はサラリーマンからプロ棋士編入という偉業を成し遂げた瀬川晶司五段の自伝を映画化した作品です。本作では松田龍平さんが青年時代以降の瀬川さんを演じ、松田さんの映画初主演作である『青い春』でタッグを組んだ豊田利晃さんが脚本・監督をつとめています。松田さんと豊田監督に名古屋でインタビューをすることができました。
実在する現役プロ棋士である瀬川晶司五段は中学3年生からプロ棋士養成機関である奨励会で将棋漬けの日々を過ごしますが、26歳の誕生日を含むリーグ終了までに四段に昇格できない場合は奨励会を退会し、二度とプロ棋士にはなれないという規定によって、一度はプロ棋士への夢を諦めます。その後、サラリーマンを経て、前代未聞のプロ編入試験に合格するという偉業を成し遂げました。
自身も高校在学中まで奨励会員だったという豊田監督は「挫折して(将棋を)辞めた人間なので、そこに向かいあうのは辛い行為なんです。」とこれまで将棋をテーマにした作品を撮ってこなかった理由を明かし、原作を読んだ時に感じたこととして「好きなことを追い求めて憎しみに変わってしまった想いを愛に変えて成功したのが瀬川晶司さんの人生で、美しいなと思いました。将棋が好きな人だけでなくて、万人に受け入れられるテーマではないかなと思いました。」と映画化を決めた気持ちを語りました。
また豊田監督は「奨励会員ってだいたい同じような青春の過ごし方をしているんですよ。」と言い、映画には自身の体験も存分に反映されているそうで「僕は落第生で負けてばかりいてプロになれなかったんですが、負けた奴の過ごし方とか表情とか、そういうところは繊細に描いたと思います。」と話しました。
本作では瀬川さんを取り巻く人々との人間ドラマが丁寧に描かれていて、奨励会時代、退会後の日々、プロ編入に向けて動き出してからなど、様々なシーンで周囲の人があったからこその奇跡を感じさせてくれます。特に松たか子さん演じる小学校時代の恩師は原作でも重要な人物として登場し、映画では小学校時代のエピソードや物語の後半でも大きな存在感とともに色濃く描かれています。

撮影現場の様子について松田さんは「役者同士で将棋を指していました。(僕は)あんまり負けたくないから対局しませんでしたが、みんな将棋にはまっていました。」と話し、奨励会の仲間役を演じた駒木根隆介さんはもともと将棋が趣味で一番強かったこと、渋川清彦さんとは同じくらいのレベルだったのでよく指していたこと、永山絢斗さんが一番成長し、今でも嵌っていることなどを教えてくれました。
本作に出演している野田洋次郎さんとプライベートでも交流のある松田さんは「はじめのシーンで(野田さん演じる鈴木悠野に)声をかけるのが、日常と芝居との境界線がない感じで面白かった。笑いが堪えられなくなって、豊田さんに怒られました。」と撮影中のエピソードを語りました。豊田監督も「なんか、恥ずかしそうでしたよね。照れ臭そうな。そういうのが抜けたときにプライベートでも仲が良いというのがこの映画の強味になりましたよね。」と話していました。
また豊田監督が「(会社での同僚役の)石橋静河さんも龍平は幼い頃から知っていて、照れていたよね。」と話し始めると、松田さんは「よく石橋(凌)さんの家に行って、(石橋)静河のことをおんぶしたりしていたので、お姉さんになってキレイだなぁと感じました。」と教えてくれました。