【5/19公開】映画『モリのいる場所』沖田修一監督に名古屋でインタビュー 愛知・名古屋の上映館

5月19日から公開となる映画『モリのいる場所』は『南極料理人』や『横道世之介』などで知られる沖田修一監督によるオリジナル脚本の作品で、実在の画家・熊谷守一さんの晩年のある一日を描いています。モリという愛称で親しまれていた熊谷さんを演じるのは山﨑努さん、モリに50年以上連れ添っている妻を演じるのは樹木希林さんです。

メガホンをとった沖田監督に名古屋でインタビューをすることができました。山﨑さんへの憧れの気持ちや撮影現場で感じたこと、樹木さんが様々なアイディアを出してくれたことなど、撮影の裏話も含めて映画の魅力をたくさん語ってくれました。
沖田監督は2012年に公開された映画『キツツキと雨』の撮影中に出演していた山﨑努さんから現場の近くに熊谷守一さんの記念館があることを教えてもらったそうです。映画が落ち着いてから東京で山﨑さんの言葉を思い出して東京の記念館を訪れ、写真家の藤森武さんが晩年の熊谷守一さんを撮影した写真集「獨楽」に興味を持ったという沖田監督は「その時点では映画にする事はあまり考えていなかったけれど、いつか山﨑さんともう一度お仕事をしたいと思っていた。」と話していました。

『モヒカン故郷に帰る』(2016年公開)の撮影が終わった頃に、沖田監督が「熊谷守一さんを山﨑努さんに演じてもらう企画」を考えて台本を描き、書き上げた台本を持参して山﨑さんのところに持って行ったそうです。山﨑さんは台本をいたく気に入ったようで「ある一日の話にしていることをよく思ってくださり、やり過ぎだなと思ったところもあったのですが、元々アカデミックな映画ではないので遊びみたいなことを面白がってくれました。」と、とんとん拍子に話が進んだことを教えてくれました。
山﨑さんと樹木さんは共に文学座出身ですが、今作が初共演となります。沖田監督は撮影を振り返り「山﨑さんと樹木さんが並んでいるだけで他に何もいらない位、ただただ楽しかったです。」と笑顔を見せていました。

「山﨑さんはユーモアのセンスがとてもあって、台本の面白さを忠実に演じ、どうしたら笑えるかを一生懸命考えてくれる役者さんです。」と話し、「(山﨑さんが監督に)『これをやると台本の面白さなくなっちゃうよ。いいのかい?』というような注意までしてくれました。」と台本を読み込んで相当準備をされていて、どんなセリフもドンピシャに演じてくれた山﨑さんの素晴らしさを語ってくれました。

また沖田監督は「樹木さんは様々なアイディアを持ってきてくれて、樹木さんのアイディアが映画をもっとよくしてくれているなと思いました。」と話し、樹木さんのアイディアが活かされたシーンもいくつか教えてくれました。

晩年の熊谷さんを撮影したカメラマンの藤森さんに話を聞きに行った沖田監督は「(実際の2人は)痴話喧嘩みたいなものを普段からよくしていたという話を聞いて、息が合わない面白さがいいなと思いました。」と話していました。映画『モリのいる場所』では山﨑さんと樹木さんが長年連れ添った夫婦の空気感を見事に演じていています。
「山﨑努さんが熊谷守一さんを演じる映画を作りたい一心だった。」と話す沖田監督ですが、映画『モリのいる場所』のもう一つの魅力は家の庭にいる生き物たちです。大きなスクリーンに映るアリやトカゲ、蝶などの姿をじっくりと観ていると、まるでその庭にいてモリと同じ視線で生き物を観察しているような気分になります。